新型コロナで認知症悪化も 受診減など影響か

2020年 8月 20日

 日本認知症学会が814日に公表した、新型コロナウイルスの感染拡大が認知症の医療や介護に与えた影響に関する調査の結果、認知症の人が受診や介護サービスの利用を控える中で、少なからぬ人で症状の悪化が認められたことが分かった。

 調査は525日から約2週間、同学会の専門医1586人を対象に実施し、46都道府県から357件の回答を得た。

 その結果、認知症の人の症状悪化について「少数認める」が32%で、「多く認める」の8%と合わせ、40%の専門医が症状の悪化を認めていた。悪化した症状は、認知機能の悪化が47%、BPSD(行動・心理症状)の悪化が46%、合併症の悪化が34%だった。

 受診については、「やや減少している」が 60%で、「著しく減少している」の22%と合わせると、受診の回数が減少したとの回答は82%にのぼった。また、介護サービス利用全般については、「やや減少している」が48%、「著しく減少している」が16%で、減少したとの回答は合計64%となり、受診と同様に、介護サービス利用の減少が認められた。ちなみに、訪問系サービスの「減少あり」が50%だったのに対して、通所系サービスの「減少あり」は69%となっている。

 各種サービスの利用低下と、認知症の人の症状が悪化したことの関係については「このアンケートから結論付けることはできない」としつつも、新型コロナ感染症の拡がりで、さまざまな制約が生じ始めて約2カ月しか経過していなかったにもかかわらず、症状の悪化を認めた専門医がかなりの数にのぼったことが明らかになった。

 具体的には、うつ症状や施設での家族面会が中止になったことによる不安定、デイなどの活動がなくなったことでの中核症状の進行、外出制限による活動量やADLの低下などが見られたという。

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中山間地域の訪問介護への定額導入など提案🆕

 10月9日、第126回社会保障審議会介護保険部会が開かれ、「人口減少・サービス需要の変化に応じたサービス提供体制の構築等」「地域包括ケアシステムの深化(相談支援の在り方)」などが議論された。
 
 「人口減少…に応じたサービス提供体制の構築等」の論点は①地域の類型の考え方、②地域の実情に応じたサービス提供体制の維持のための仕組み、③地域の実情に応じた包括的な評価の仕組み、④介護サービスを事業として実施する仕組み、⑤介護事業者の連携強化、⑥地域の実情に応じた既存施設の有効活用、⑦調整交付金の在り方、と多岐にわたる。
 
 以下、①~⑤について事務局からの提案をまとめる。
 
 ①については、サービス需要が減少する「中山間・人口減少地域」ではサービス提供の維持・確保を前提に新たな柔軟化のための枠組みを設ける必要がある。その対象は「特別地域加算」の対象地域が基本となるが、拡充も考えられる。また、市町村の中でもエリアによって人口減少の進み方は異なるため、市町村内の一部エリアも対象とできないか。
 
 「中山間・人口減少地域」は、介護保険(支援)計画の策定時に、都道府県が市町村の意向を確認して決定する。「大都市部」「一般市等」では、現行制度の枠組みを活用したサービス基盤の維持・確保が求められる。
 
 委員からは、地域類型を定める根拠となる高齢者人口について、「その場合の高齢者とは何歳以上か、定義を定める必要がある」との指摘が相次いだ。
 
 ②は「中山間・人口減少地域」のサービス提供体制の維持・確保のために、特例介護サービスの枠組みを拡張する。新たな類型は下図の赤い部分だ。

介護保険見直しの議論始まる 介護保険部会

 第125回社会保障審議会介護保険部会が9月29日に開かれ、「地域包括ケアシステムの深化、持続可能性の確保」などが議論された。
 
 具体的な論点は①地域包括ケアシステムの実現・深化に向けた支援体制の整備、②医療介護連携の推進、③持続可能性の確保、の3点。
 
 事務局は①について、地域の状況に応じたサービス提供体制や支援体制の構築が重要、との前提で、地域の性格によって課題を以下のように位置づけた。
 
 中山間・人口減少地域…サービス基盤の維持・確保
 都市部…新たな事業者や人材の持続的な確保
 一般市等…前2者それぞれへの対応
 
 そのうえで中山間・人口減少地域では、前回の部会で議論されたサービス提供体制の確保のための方策について、介護保険事業計画に反映することが重要、との方向性を提示する。
 
 さらに、者向け住まいについては、「有料老人ホームにおける望ましいサービス提供のあり方に関する検討会」の議論もふまえ、介護保険部会で議論して整理する。介護予防や人材確保、生産性向上に関する事項も含めて…

中山間地域のサービス提供柔軟に 介護保険部会

 第124回社会保障審議会介護保険部会が9月8日に開かれ、「人口減少・サービス需要の変化に応じたサービス提供体制の構築」などが議論された。
 
 具体的な内容は、これまでの同部会での議論を踏まえた以下の6項目で、②~⑥は中山間・減少人口地域でのサービス提供体制の維持・確保についての提案である。
 
 ①地域の類型の考え方
 ②地域の実情に応じたサービス提供体制の維持のための仕組み
 ③地域の実情に応じた包括的な評価の仕組み
 ④介護サービスを事業として実施する仕組み
 ⑤介護事業者の連携強化
 ⑥地域の実情に応じた既存施設の有効活用
 
 ①地域の類型の考え方は、全国を「中山間・人口減少地域」「大都市部」「一般市等」の3つに分類し、状況に応じたサービス提供体制を構築していくことが重要、とする。「中山間・人口減少地域」についてはサービス提供の維持・確保を前提として新たな柔軟化のための枠組みを設けることを提案する。

人材確保に向け処遇改善を議論 給付費分科会

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日本の人口55万人減少 日本人減も外国人は増加

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