福祉用具販売移行で問題点指摘 厚労省検討会

2022年 4月 1日

 厚生労働省の「介護保険制度における福祉用具貸与・販売種目のあり方検討会」は3月31日、第2回会合を開催し、厚労省が提示した論点をめぐり構成員が意見を述べた。

 この日示された論点は①現行制度における福祉用具貸与と特定福祉用具販売の考え方の再整理の必要性②利用者の状態を踏まえた対応③福祉用具の使用に関するモニタリング・メンテナンス④介護支援専門員による支援⑤経済的な負担‐の5項目。

 貸与と販売に関しては、介護給付費削減のため現在貸与となっている手すり、スロープ、歩行器、歩行補助つえなどの福祉用具を販売に切り替えるという、財務省の財政制度等審議会の指摘を踏まえて論点となっている。

 構成員からは貸与の維持を求める意見が多く出されたが、その根拠として、退院決定から退院までの日数が少なくなっている中で、購入では在宅で使う福祉用具の提供が間に合わないこと、購入になると不要になったものが廃棄されて行政の負担が増加すること、不要になったものがネットで販売されたりすることが挙げられた。

 また、販売になると利用を手控え、その分ヘルパーなどに頼ったり、重度化したりすることでむしろ介護給付費が増加する恐れがあること、販売の場合は経年劣化や適切な保管がなされないなどで安全性が確保されなくなる可能性があることなどの意見もあった。

 さらに、そもそも購入の方が安く済むという指摘については、メンテナンスを含めた費用が計上されていないことや、安くみえる項目だけがピックアップされていることを問題視する見方も示された。

 モニタリング・メンテナンスに関しては、貸与の場合は使用状況の確認や使用方法の指導・修理などが指定基準で規定されているが、販売はこれらの規定がない。この点に関しては、モニタリング・メンテナンスをきちんとすることを条件に、貸与と販売の選択制を採用してもいいのではないかとの意見が複数の意見から出されていた。

 第3回会合は4月21日に開催し、引き続き今回の論点に関して構成員が意見を述べる予定だ。

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中山間地域の訪問介護への定額導入など提案

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 「人口減少…に応じたサービス提供体制の構築等」の論点は①地域の類型の考え方、②地域の実情に応じたサービス提供体制の維持のための仕組み、③地域の実情に応じた包括的な評価の仕組み、④介護サービスを事業として実施する仕組み、⑤介護事業者の連携強化、⑥地域の実情に応じた既存施設の有効活用、⑦調整交付金の在り方、と多岐にわたる。
 
 以下、①~⑤について事務局からの提案をまとめる。
 
 ①については、サービス需要が減少する「中山間・人口減少地域」ではサービス提供の維持・確保を前提に新たな柔軟化のための枠組みを設ける必要がある。その対象は「特別地域加算」の対象地域が基本となるが、拡充も考えられる。また、市町村の中でもエリアによって人口減少の進み方は異なるため、市町村内の一部エリアも対象とできないか。
 
 「中山間・人口減少地域」は、介護保険(支援)計画の策定時に、都道府県が市町村の意向を確認して決定する。「大都市部」「一般市等」では、現行制度の枠組みを活用したサービス基盤の維持・確保が求められる。
 
 委員からは、地域類型を定める根拠となる高齢者人口について、「その場合の高齢者とは何歳以上か、定義を定める必要がある」との指摘が相次いだ。
 
 ②は「中山間・人口減少地域」のサービス提供体制の維持・確保のために、特例介護サービスの枠組みを拡張する。新たな類型は下図の赤い部分だ。

介護保険見直しの議論始まる 介護保険部会

 第125回社会保障審議会介護保険部会が9月29日に開かれ、「地域包括ケアシステムの深化、持続可能性の確保」などが議論された。
 
 具体的な論点は①地域包括ケアシステムの実現・深化に向けた支援体制の整備、②医療介護連携の推進、③持続可能性の確保、の3点。
 
 事務局は①について、地域の状況に応じたサービス提供体制や支援体制の構築が重要、との前提で、地域の性格によって課題を以下のように位置づけた。
 
 中山間・人口減少地域…サービス基盤の維持・確保
 都市部…新たな事業者や人材の持続的な確保
 一般市等…前2者それぞれへの対応
 
 そのうえで中山間・人口減少地域では、前回の部会で議論されたサービス提供体制の確保のための方策について、介護保険事業計画に反映することが重要、との方向性を提示する。
 
 さらに、者向け住まいについては、「有料老人ホームにおける望ましいサービス提供のあり方に関する検討会」の議論もふまえ、介護保険部会で議論して整理する。介護予防や人材確保、生産性向上に関する事項も含めて…

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 具体的な内容は、これまでの同部会での議論を踏まえた以下の6項目で、②~⑥は中山間・減少人口地域でのサービス提供体制の維持・確保についての提案である。
 
 ①地域の類型の考え方
 ②地域の実情に応じたサービス提供体制の維持のための仕組み
 ③地域の実情に応じた包括的な評価の仕組み
 ④介護サービスを事業として実施する仕組み
 ⑤介護事業者の連携強化
 ⑥地域の実情に応じた既存施設の有効活用
 
 ①地域の類型の考え方は、全国を「中山間・人口減少地域」「大都市部」「一般市等」の3つに分類し、状況に応じたサービス提供体制を構築していくことが重要、とする。「中山間・人口減少地域」についてはサービス提供の維持・確保を前提として新たな柔軟化のための枠組みを設けることを提案する。

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