〈医療と介護2040 管理者02〉の記事一覧
介護報酬のコロナ上乗せ特例に異議あり!

介護報酬のコロナ上乗せ特例に異議あり!

中澤まゆみ ノンフィクションライター
 デイサービスやショートステイなど、通所系・短期入所系事業者に対して、厚生労働省が6月1日から特例措置で始めた介護報酬の上乗せに、混乱が広がっている。
■利用者は悩み事業所は困惑
 この「特例」では毎月一定の回数に限り、実際にサービスを提供した時間に基づく報酬よりも「2区分上位の報酬」を算定できる。たとえば2時間以上3時間未満の場合、4時間以上5時間未満の報酬を受け取ることが可能だ。しかし、介護報酬は利用者の自己負担に直結している。サービスを提供していない時間の報酬を上乗せし、それに対して利用者に負担を求めるという、なんともおかしな措置である。
 6月中旬、友人から、「ふう、なんだかなぁ」というため息とともに、SNSメッセージが入った。母親が利用するデイサービス事業所から……

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高齢化の急坂を上るために—医療と介護の来歴を語る④

高齢化の急坂を上るために—医療と介護の来歴を語る④

髙橋紘士×中村秀一
【髙橋】 社会保障の諸制度のなかでも後発である介護保険の財源調達の仕組みには、ほかの制度にない特徴がありますね。
■地方自治体が保険者の社会保険
【中村】 この対談の2回目で、介護保険ができる前の公的な高齢者ケアの問題点について述べました。老人福祉法しか根拠法がなく、財源は税金のみで、サービスの量も十分でなく、受益者についても低所得層に限られる…などです。高齢者数が増えることは確実でしたので、こういうシステムは限界であることが明らかになってきました。国民の4人に1人が高齢者という時代が目前で、新しい介護システムが必要となったわけです。では、どういう制度にするか、大きな議論があったわけですけれど、なかでも財源は最大の課題でありました。
【髙橋】 介護保険制度が議論された90年代後半は、国全体の経済状態が良くなかったですし。
【中村】 そこで、措置方式で利用者を“選別”するのではなく、だれもが一定割合を負担すれば等しくサービスを受けられる応益負担の仕組みを目指しました。その仕組みに変えていくためには、社会保険方式を導入する必要がありました。そこで介護「保険」の構想となり……

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医療のフリーアクセスと供給体制を問いかける新型コロナ(下)

医療のフリーアクセスと供給体制を問いかける新型コロナ(下)

田中秀明 明治大学公共政策大学院教授
■ゲートキーパーとしてのかかりつけ医
 医療においてアクセスの保障は重要であるが、問題はその方法にある。今回の新型コロナウイルス感染症に関して諸外国の対応を報道などで聞くと、英国やオーストラリアなどでは、自分に感染の疑いがあると、病院に行くのではなく、まずはかかりつけ医に相談する。かかりつけ医は「ゲートキーパー」である、地域において患者や国民に最も近いところ位置するプライマリーケアの中心的な存在である。
 日本では、風邪などでよく受診する近所の診療所はあっても、ゲートキーパーの役割を果たすかかりつけ医は、政府が普及させようとしているものの、まだまだ未発達である。重篤な状態であれば、救急車で病院に搬送し治療する必要があるが……

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医療のフリーアクセスと供給体制を問いかける新型コロナ(上)

医療のフリーアクセスと供給体制を問いかける新型コロナ(上)

田中秀明 明治大学公共政策大学院教授
 新型コロナウイルスの感染者数が再び増加し、いわゆる第2波の到来になっている。政府は、緊急事態宣言の解除後(5月25日)、経済を優先して人々の往来を促しているが、医療体制は、入院患者の増大などにより、再び逼迫しつつある。感染症対応の最前線で、医療関係者が自らの命を顧みず日夜奮闘しており、改めて敬意と感謝を表したいが、その背後には、日本の医療制度の問題が垣間見える。危機は既存の制度や仕組みの矛盾を顕在化させるからだ。それらはこれまで先送りされていた問題である。本稿では、そうした問題の中でも、フリーアクセスと医療資源の配分に焦点を当てて議論する。
■フリーアクセスの“副作用”
 医療においては、一般に、アクセス、費用、質の3つの間にトレードオフの関係がある。3つを同時に成り立たせることは難しいことから、多くの国は……

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第8期計画指針案を承認 社保審介護保険部会

 社会保障審議会(厚労相の諮問機関)介護保険部会は7月27日、第91回会合を開催し、第8期介護保険事業計画(2021~23年)の基本指針案を承認した。頻発する災害発生や新型コロナ感染症の流行を踏まえ、災害や感染症対策に関する体制整備を初めて盛り込んだ。
 熊本県南部の豪雨災害で特別養護老人ホームの入所者14人が死亡したり、新型コロナ感染症の拡大により介護施設でクラスターが発生したりするなど、高齢者施設で……

「地域」と「在宅」が表舞台に—医療と介護の来歴を語る③

「地域」と「在宅」が表舞台に—医療と介護の来歴を語る③

髙橋紘士×中村秀一
【髙橋】 前回までは高齢者ケアや社会保障について、国の政策としての側面から、介護保険創設以前の状況を中心に語っていただきました。ここからは、もう1つの主体である地域にスポットを当てたいと思います。介護保険がなかった時代に、地域包括ケアシステムでいうところの互助、地域住民によるセルフヘルプが自然発生的に起こりました。それが連綿と持続し広がって、介護保険創設に至るパワーの一角を形成したのではないでしょうか。
■民間や地域の力も重要な資源に
【中村】 バブルが弾ける直前の1990年ごろは景気がとても良かったから、まず民間がこの領域に入ってきたんです。各地に福祉公社ができたり……

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高齢化社会から高齢社会へ—医療と介護の来歴を語る②

高齢化社会から高齢社会へ—医療と介護の来歴を語る②

髙橋紘士×中村秀一
■老人医療が大きな問題となった
【髙橋】 介護保険は大改革ですが、その創設に至るまで、バブルが弾けて低成長が続くなかで費用をどうやって賄うのかという大問題がありました。消費税が導入された1989年、高齢者保健福祉推進十か年戦略(ゴールドプラン)が策定されます。中村さんはそのとき…。
【中村】 1989年の年末にゴールドプランの制定が厚生、大蔵、自治の3大臣合意で決定されたとき、私は厚生省の老人保健福祉部の企画官でした。翌年、ゴールドプラン推進のため、老人福祉法など福祉8法の改正が行われ、それに企画官で携わり、そのまま老人福祉課長に就任しました。
【髙橋】 ゴールドプランを作るキーパーソンの役割を果たされた。こうした前段階があって、介護保険が可能になったと思っています。このころは行政官として、どんな思いでしたか。
【中村】 1973年の老人医療費の無料化によって、医療分野では……

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