首都圏で最大規模の在宅医療を提供する医療法人社団悠翔会(東京都港区)は7月1日、鹿児島県・与論島のパナウル診療所(前院長・古川誠二氏)を承継開業した。
「悠翔会在宅クリニック柏」の院長を務めていた小林真介医師が新院長に就任する。
(左から)悠翔会の佐々木淳理事長、古川医師、小林院長
同診療所は古川医師が1991年に開設し、30年間、医師1人であらゆるニーズに対応。離島医療を志す若い医師たちを年に40~50人受け入れ、離島医療研修のメッカでもあった。
さらに、パナウル診療所は外来診療で島民の病気やけがに対応していただけでなく、島で在宅医療を行う唯一の在宅療養支援診療所でもあった。
しかし、2021年に古川医師は自身の年齢や故郷の徳島に帰ることを理由に、診療所を閉院した。
古川医師は閉院後も週に1回、与論徳洲会病院の外来で診療をしていたが、島民と与論町から診療所再開を求める声が寄せられていたため、古川医師が悠翔会に診療所の再開を要望した。
その結果、悠翔会が診療所を引き継ぐことになり、鹿児島大学出身の小林医師が新院長に就任することになった。
また、閉院後に診療所の建物を所有していた社会福祉法人ハレルヤ福祉会と与論町の協力により、パナウル診療所を在宅療養支援診療所としても再開することができた。
なお、島には7月1日の診療所開設に合わせて、「つむぎ訪問看護ステーション」と、与論徳洲会病院の運営する「訪問看護ステーションゆんぬ」の2つも立ち上がった。
在宅医療が再開したことで、患者の生活を24時間支える体制が整い、最期まで住み慣れた自宅で安心して暮らし続けられる地域になるための基盤が整備されることになる。
パナウル診療所には小林院長のほか、2人の看護師、3人の医療事務が勤務する。このうち4人が地元での採用で、うち2人はかつてパナウル診療所で仕事をしていた看護師と医療事務のスタッフだ。