介護分野の文書負担軽減で対応案示す 厚労省

2021年 3月 17日

 厚生労働省は3月17日、介護分野の文書負担の軽減について、1~2年以内に実施する簡素化・標準化に関する8つの項目への対応案などを社会保障審議会の専門委員会に提示し、承認された。

 8つのうち、「変更届の頻度等の取り扱い」「更新申請時に求める文書の簡素化」など5つについては対応案を、「様式例の整備(総合事業)」「様式例の整備(加算の添付書類等)」など3つに関しては、次年度での検討の方向性を示した。

 具体的には、例えば変更届の頻度等の取り扱いでは、運営規定に関する「員数」について、実人数で記載すると、職員数の変動により頻繁に運用規定の見直しや変更届の提出が必要になることから、人員配置基準を満たす範囲内で、「〇人以上」と記載することが可能であることを、解釈通知に明記した。

 事業所の方針で実人数を記載する場合も、職員の数に変更があったとするのは、1年のうちの一定の時期を比較して、変更している事項があった場合でよいという解釈を、2015年3月の課長会議資料で示しているので、改めて通知により明確化するとした。

 また、変更届に添付を求める書類を標準化するため、標準添付書類を整理。介護保険法により、変更届は10日以内に届け出なければならないと定められているが、登記事項証明書の変更など、やむを得ない事情で遅延した場合は、遅延理由書まで求める必要はないということを指定権者に周知する、との対応案が示された。

 オンラインで開催されたこの日の会合では、自治体の取り組みを後押しするためのインセンティブ交付金の評価結果も示された。それによると、特定処遇加算の申請様式の簡素化については、9割以上の都道府県が対応していた。

 政令指定都市・中核市では約99%、全市町村でも8割以上が実施しており、特定処遇加算の申請様式の簡素化が進んでいることが示された。

 押印と原本証明の見直しによる簡素化に関しては、都道府県で6割強、政令指定都市・中核市では約74%、全市町村では約65%が実施していた。これは、昨年3月の老健局長通知で、押印を求める文書は、申請書と誓約書、介護給付費算定の体制などに関する届出書の3つに限り、添付書類への原本証明も求めないとしたことによるものと厚労省は説明した。

 さらに昨年12月に、さらなる押印を不要とする省令が施行されたことから、今後、押印の簡素化一層が進むとの見通しを示した。

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2割負担は先送り 介護保険部会が「意見」🆕

 第133回社会保障審議会介護保険部会が12月25日に開かれ、「介護保険制度の見直しに関する意見」が確定した。
 
 議論が続いた「一定以上所得」の判断基準については、第10期介護保険事業計画(2027~29年度)の開始前までに結論を得ることとなった。
 
 これは利用者負担が2割となる基準で、現行制度では年金収入+その他の合計所得が年280万円以上340万円未満である(単身世帯の場合)。340万円以上は「現役並み所得」とされ、3割負担だ。
 
 介護保険制度の持続可能性確保のためにその基準を拡大し、2割・3割負担となる層を広げるかどうか。
 
 具体的には、「一定以上所得(2割負担)」の下限を260万円~230万円の範囲で引き下げる案が示され、長く議論されてきたが、決着には至らなかった。「現役並み所得」の判断基準は「引き続き検討を行う」と、期限も示されなかった。
 
 そのほか、軽度者への生活援助サービスを給付から切り離して総合事業に移行する案も結論は出ず、「引き続き包括的に検討する」となった。

制度見直しの議論続く 介護保険部会🆕

 第132回社会保障審議会介護保険部会が12月22日に開かれ、前回に続き「介護保険制度の見直しに関する意見(案)」などが議論された。
 
 今回提示された案では、「一定以上所得の判断基準」について、これまで同様、年金収入+その他の合計所得を「年260万円~230万円の範囲」とした。まだ具体的な方向は見えない。委員の中には「2割負担の対象を拡大すべきでない」との意見も根強い。
 
 「拡大すべきでない」論者の意見は、
 
 ・医療ではOTC類似薬への新たな負担など、高齢者の負担増が確実。介護でも負担増は避けるべき
 
 ・負担増から利用控えが起こると、子世代にしわ寄せがくる。介護離職が増えるのでは
 
 ・現役世代の負担軽減は重要だが、サービスを使えなくなった親を子が援助すれば結局子の負担は増える
 
 などがある。持続可能性を高めるには被保険者の範囲や公費負担も見直すべき、との意見もあった。

2割負担、ケアマネジメントの在り方は 部会

 第131回社会保障審議会介護保険部会が12月15日に開かれ、「介護保険制度の見直しに関する意見(案)」などが議論された。
 
 「介護保険制度の見直しに関する意見」は2022年12月に“第1弾”が公表されている。このとき結論が出されなかった、〈「一定以上所得」「現役並み所得」の判断基準〉〈補足給付の在り方〉〈ケアマネジメントに関する給付の在り方〉〈軽度者への生活援助サービスに関する給付の在り方〉などについて、これまで部会で議論が続けられた。
 
 これらは「次期計画に向けて得ることが適当」「第10期計画の開始までに出すのが適当」「引き続き検討」とされた。次期計画とは現在の第9期(2024-26年度)、第10期は27-29年度である。
 
 「一定以上所得の判断基準」は「次期計画に向けて」だったが、まだ決着していない。2割負担の拡大、すなわち適用される所得の引き下げにつながることから、反対意見が根強かった。現行制度では、2割負担となる所得基準は年280万円以上だ。これをどこまで引き下げるか。年260万円~230万円の範囲が提案されている。
 
 引き下げ幅が大きいほど、2割負担となる人は増える。ただ引き下げと同時に「配慮措置」も提案されている。①新たに負担増となる場合、増加の上限を月額7000円とする、②預貯金等が一定額以下の人は申請により1割負担に戻す、の2つだ。

訪問介護の倒産止まらず 報酬引き下げなど響く

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2割負担対象も預貯金に応じ1割の案 部会

 第130回社会保障審議会介護保険部会が12月1日に開かれ、「持続可能性の確保」「論点ごとの議論の状況」などが議論された。
 
 今回、「持続可能性の確保」は
 
 ●「一定以上所得」「現役並み所得」の判断基準
 ●補足給付に関する給付の在り方
 ●ケアマネジメントに関する給付の在り方
 
 の3つの論点に絞って議論された。
 
 「一定以上所得」「現役並み所得」の「一定以上」とは、介護保険サービス利用時の自己負担を2割とする所得層で、「現役並み」とは自己負担3割の所得層だ。簡単にいえば所得の多い人は自己負担も多く、という応能負担の考え方に基づく施策である。現行の「一定以上所得」「現役並み所得」の基準は以下の通り。

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