歯科用貴金属価格改定の数式を提示 厚労省

2021年 1月 27日

 厚生労働省は1月27日に開催した中央社会保険医療協議会の総会で、これまで資料に記載していなかった歯科用貴金属価格の随時改定に関する算定の根拠となる数式を示した。

 歯科用貴金属については、価格変動に速やかに対応するため、一定の価格変動が生じた場合、年4回の改定機会を設けている。しかし、昨年10月の改定時に改定を見送った4項目の14カラット金合金について、計算の誤りにより本来改定を行うべきであったことが判明したことから、再発防止策として数式を資料に記載することにした。

 これに関して、診療側の委員が「歯科用貴金属の公示価格改定の計算方式には不透明な部分があり、明瞭化・可視化していくことが重要」と指摘。今後、歯科用貴金属の実勢価格と公示価格の鞘の問題や、改定のタイムラグの問題が一層解消するよう、より分かりやすい制度にしていくことを求めた。

 今回の議題にはなかったが、支払側委員から、1月22日に発出された厚労省からの新型コロナ感染症に関する診療報酬上の臨時的な取扱いの事務連絡について質問が出た。

 同連絡では、新型コロナ感染症から回復後、引き続き入院管理が必要な患者を受け入れた医療機関は、一般病床以外の病床でも救急医療管理加算950点を最大90日間算定できるとされている。

 この点について、委員は「中医協委員に全く諮られず、事務的な手続きも行われなかったのはなぜか」と疑問を呈した。

 これに対し、厚労省からは「コロナ患者が後方病床に転院することが想定されるようになったため、中医協で決めた救急医療管理加算の特例についても算定範囲を広げるべきということで、後方支援病院、回復期病床や療養病床でも950点が取れるという扱いにすることが適当と考え、事務連絡で明確化した」と説明した。

 委員は病床が逼迫しつつある中で、緊急性や中等症以上の患者を一般病床で受け入れて後方支援する、という考え方に理解を示したものの、「診療報酬で対応するのであれば、委員への事前説明や持ち回りの手続きなどをすべきだった」と指摘した。

 一方、支払側委員は「事務局の進め方に異論はない。中医協で細かな運用まで議論することは不可能。今後も迅速に行うという方針で進めてほしい」と述べた。

 質問を行った委員以外の支払側委員も、緊急性を理解しつつ、事前の説明などの「工夫が必要」との意見を述べ、厚労省からは今後、事務連絡でいいのか、中医協に諮るのか検討する考えが示された。

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2割負担は先送り 介護保険部会が「意見」🆕

 第133回社会保障審議会介護保険部会が12月25日に開かれ、「介護保険制度の見直しに関する意見」が確定した。
 
 議論が続いた「一定以上所得」の判断基準については、第10期介護保険事業計画(2027~29年度)の開始前までに結論を得ることとなった。
 
 これは利用者負担が2割となる基準で、現行制度では年金収入+その他の合計所得が年280万円以上340万円未満である(単身世帯の場合)。340万円以上は「現役並み所得」とされ、3割負担だ。
 
 介護保険制度の持続可能性確保のためにその基準を拡大し、2割・3割負担となる層を広げるかどうか。
 
 具体的には、「一定以上所得(2割負担)」の下限を260万円~230万円の範囲で引き下げる案が示され、長く議論されてきたが、決着には至らなかった。「現役並み所得」の判断基準は「引き続き検討を行う」と、期限も示されなかった。
 
 そのほか、軽度者への生活援助サービスを給付から切り離して総合事業に移行する案も結論は出ず、「引き続き包括的に検討する」となった。

制度見直しの議論続く 介護保険部会🆕

 第132回社会保障審議会介護保険部会が12月22日に開かれ、前回に続き「介護保険制度の見直しに関する意見(案)」などが議論された。
 
 今回提示された案では、「一定以上所得の判断基準」について、これまで同様、年金収入+その他の合計所得を「年260万円~230万円の範囲」とした。まだ具体的な方向は見えない。委員の中には「2割負担の対象を拡大すべきでない」との意見も根強い。
 
 「拡大すべきでない」論者の意見は、
 
 ・医療ではOTC類似薬への新たな負担など、高齢者の負担増が確実。介護でも負担増は避けるべき
 
 ・負担増から利用控えが起こると、子世代にしわ寄せがくる。介護離職が増えるのでは
 
 ・現役世代の負担軽減は重要だが、サービスを使えなくなった親を子が援助すれば結局子の負担は増える
 
 などがある。持続可能性を高めるには被保険者の範囲や公費負担も見直すべき、との意見もあった。

2割負担、ケアマネジメントの在り方は 部会

 第131回社会保障審議会介護保険部会が12月15日に開かれ、「介護保険制度の見直しに関する意見(案)」などが議論された。
 
 「介護保険制度の見直しに関する意見」は2022年12月に“第1弾”が公表されている。このとき結論が出されなかった、〈「一定以上所得」「現役並み所得」の判断基準〉〈補足給付の在り方〉〈ケアマネジメントに関する給付の在り方〉〈軽度者への生活援助サービスに関する給付の在り方〉などについて、これまで部会で議論が続けられた。
 
 これらは「次期計画に向けて得ることが適当」「第10期計画の開始までに出すのが適当」「引き続き検討」とされた。次期計画とは現在の第9期(2024-26年度)、第10期は27-29年度である。
 
 「一定以上所得の判断基準」は「次期計画に向けて」だったが、まだ決着していない。2割負担の拡大、すなわち適用される所得の引き下げにつながることから、反対意見が根強かった。現行制度では、2割負担となる所得基準は年280万円以上だ。これをどこまで引き下げるか。年260万円~230万円の範囲が提案されている。
 
 引き下げ幅が大きいほど、2割負担となる人は増える。ただ引き下げと同時に「配慮措置」も提案されている。①新たに負担増となる場合、増加の上限を月額7000円とする、②預貯金等が一定額以下の人は申請により1割負担に戻す、の2つだ。

訪問介護の倒産止まらず 報酬引き下げなど響く

 東京商工リサーチの調査によると、訪問介護事業者の2025年の倒産(負債1000万円以上)が11月末までに85件に達し、これまで最多だった23年67件、24年81件をすでに超え、3年連続で最多を更新した。  人手不足や24年度の介護報酬改定で訪問介護の基本報酬が引き下げられたことに加え、人件費やガソリン代、運営コストの上昇が要因と見込まれる。  25年の訪問介護事業者の倒産は11月末までに85件(前年81件)で、3年連続で年間最多を更新した。...

2割負担対象も預貯金に応じ1割の案 部会

 第130回社会保障審議会介護保険部会が12月1日に開かれ、「持続可能性の確保」「論点ごとの議論の状況」などが議論された。
 
 今回、「持続可能性の確保」は
 
 ●「一定以上所得」「現役並み所得」の判断基準
 ●補足給付に関する給付の在り方
 ●ケアマネジメントに関する給付の在り方
 
 の3つの論点に絞って議論された。
 
 「一定以上所得」「現役並み所得」の「一定以上」とは、介護保険サービス利用時の自己負担を2割とする所得層で、「現役並み」とは自己負担3割の所得層だ。簡単にいえば所得の多い人は自己負担も多く、という応能負担の考え方に基づく施策である。現行の「一定以上所得」「現役並み所得」の基準は以下の通り。

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