出産育児一時金の増額を見送り 厚労省

2020年 12月 3日

 厚生労働省は12月2日に開催された社会保障審議会(厚労相の諮問機関)医療保険部会で、出産育児一時金の増額を当面見送る方針を示した。与党議員から増額を求める要望が出されていたが、出産費用が年々増加しているにもかかわらず、その要因が明らかでないことなどから、まずは出産費用の実態を把握することにした。

 現在、生まれた子供1人あたり42万円の出産育児一時金が支給されている。ただ、正常分娩の場合は自由診療で行われ、価格の設定方法が多様なうえ、直接支払いの請求様式も詳細な費用区分を求めていないことから、どのような医療行為が行われ、それに対してどのような価格が設定されているか、把握できていないのが現状だ。

 また、平均出産費用が東京都では53万6884円なのに対し、鳥取県は34万1385円であるなど、ばらつきが大きいものの、費用項目ごとの分析や在胎週数による分析などを行っておらず、どのような要因により差があるのかが不明である。分娩の約4割を占める異常分娩の費用分析も行われていない。

 さらに、出産育児一時金は、12週以降の人工妊娠中絶にも支給していることから、12週を待って人工妊娠中絶を行う人がおり、母体保護の観点から望ましくないとの指摘もある。

 このように、出産費用をめぐっては不透明な点が多いことから、出産費用一時金を増額する前に、出産費用の実態を明らかにし透明性を確保するため、請求様式を見直して、費用を詳細に把握した上で検討することにした。

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