厚生労働省は1月27日に開催した中央社会保険医療協議会の総会で、これまで資料に記載していなかった歯科用貴金属価格の随時改定に関する算定の根拠となる数式を示した。
歯科用貴金属については、価格変動に速やかに対応するため、一定の価格変動が生じた場合、年4回の改定機会を設けている。しかし、昨年10月の改定時に改定を見送った4項目の14カラット金合金について、計算の誤りにより本来改定を行うべきであったことが判明したことから、再発防止策として数式を資料に記載することにした。
これに関して、診療側の委員が「歯科用貴金属の公示価格改定の計算方式には不透明な部分があり、明瞭化・可視化していくことが重要」と指摘。今後、歯科用貴金属の実勢価格と公示価格の鞘の問題や、改定のタイムラグの問題が一層解消するよう、より分かりやすい制度にしていくことを求めた。
今回の議題にはなかったが、支払側委員から、1月22日に発出された厚労省からの新型コロナ感染症に関する診療報酬上の臨時的な取扱いの事務連絡について質問が出た。
同連絡では、新型コロナ感染症から回復後、引き続き入院管理が必要な患者を受け入れた医療機関は、一般病床以外の病床でも救急医療管理加算950点を最大90日間算定できるとされている。
この点について、委員は「中医協委員に全く諮られず、事務的な手続きも行われなかったのはなぜか」と疑問を呈した。
これに対し、厚労省からは「コロナ患者が後方病床に転院することが想定されるようになったため、中医協で決めた救急医療管理加算の特例についても算定範囲を広げるべきということで、後方支援病院、回復期病床や療養病床でも950点が取れるという扱いにすることが適当と考え、事務連絡で明確化した」と説明した。
委員は病床が逼迫しつつある中で、緊急性や中等症以上の患者を一般病床で受け入れて後方支援する、という考え方に理解を示したものの、「診療報酬で対応するのであれば、委員への事前説明や持ち回りの手続きなどをすべきだった」と指摘した。
一方、支払側委員は「事務局の進め方に異論はない。中医協で細かな運用まで議論することは不可能。今後も迅速に行うという方針で進めてほしい」と述べた。
質問を行った委員以外の支払側委員も、緊急性を理解しつつ、事前の説明などの「工夫が必要」との意見を述べ、厚労省からは今後、事務連絡でいいのか、中医協に諮るのか検討する考えが示された。