米国の医薬品大手ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)は23日、開発中の新型コロナウイルスワクチンの大規模検証試験として、最終段階となる第3相臨床試験を開始したと発表した。
同試験では、パンデミックにとりわけ大きな影響を受けた国の人を試験に組み入れることを目指しており、北米・南米・アフリカの3大陸で最大6万人のボランティアを登録し、単回ワクチンとプラセボの比較で有効性を検証する。米国の試験では、アフリカ系、ヒスパニック系/ラテンアメリカ系、アメリカ先住民、アラスカ先住民からの参加を予定している。
J&Jは毎年10億回分のワクチンを供給するという目標に向け、ワクチンの製造能力を拡大している。同社は緊急のパンデミック下で、非営利として広く購入可能な価格で多くの人にワクチンを提供することを表明しており、今回のワクチンの安全性と有効性が確立された場合、緊急使用が認められれば、来年初頭に利用可能になる見込み。
ワクチンは同社の医薬品部門であるヤンセンファーマグループのヤンセンファーマが開発しており、同社のAdVacテクノロジープラットフォームが活用されている。これは、欧州委員会に承認されたヤンセンのエボラ出血熱ワクチンの開発と製造に加え、開発中のジカ熱、RSウィルス、HIVのワクチン候補の臨床試験でも使われている。
新型コロナウイルスワクチンの開発に成功した場合、同テクノロジーにより、ワクチンはマイナス20℃で2年間、2〜8℃で最低でも3カ月間安定して保管できると推定されているため、ワクチンを流通させる上で、新たな流通設備を構築する必要はないという。