成年後見制度の基本は“福祉” 普段の支援は市民後見人こそ適任🆕

2026年 4月 15日

インタビュー 飯間敏弘さん(東京大学大学院教育学研究科特任助教)

 2000年4月に介護保険制度と同時に施行された成年後見制度は、高齢者施策の車の両輪と言われたものの、潜在需要の2%程度しか使われていないのが現状だ。そこで同制度が改正されることになったが、これにより利用は進むのか。地域後見推進プロジェクトで成年後見制度の研究や市民後見人の養成に関する取り組みを行っている飯間敏弘さんに聞いた。

地域後見推進プロジェクト
――地域後見推進プロジェクトとは。

 東京大学大学院教育学研究科生涯学習論研究室と地域後見推進センターの共同研究に基づき、後見に関するさまざまな問題の調査・研究や後見人の養成・支援などを行っています。

 成年後見制度の発足後、研究会を立ち上げて制度の研究を行っていたところ、法律の専門職が後見人になった場合、制度の目的の1つである財産管理はしっかり行うものの、もう1つの目的である身上保護には熱心でない人が多いことが明らかになりました。

 市民の方が法律の専門家より地元の社会資源をよく知っていますし、時間もあって、きめ細やかに身上保護を行えることが分かりましたので、市民に後見人を務めてもらった方がいいということになり、市民後見人を養成することになりました。

飯間先生

 ただ、東大は研究大学なので、養成の実務については弁護士を中心に地域後見推進センターを設立して実施し、生涯学習論研究室はカリキュラムやプログラムなど、ソフトの部分の研究や開発などを行うことにしました。

 2012年の改正老人福祉法の施行により、市民後見人の養成や活用推進が市町村の努力義務となってからは、市民後見人養成研修の支援など、自治体向けの事業も行っています。

負の遺産を引き継いだ成年後見制度
――1896年にできた禁治産制度から2000年に成年後見制度に変わり、さらに今回改正されることになりました。改正前の制度をどう見ていますか。

 禁治産制度はフランスの制度を基に作られました。基本的には家制度を守る内容だったことから、準禁治産の対象として「浪費者」も入っていたのが大きな問題点の1つです。

 例えば、家督を継いだ長男が家の財産を散財しているような時に、長男に準禁治産宣言をして別の家族が財産を代わりに管理する、というようなことです。

 本人ではなく家の財産を保護することや浪費者に対する強い制約といった意味合いがあったことから、本人保護という制度本来の目的から逸脱していたと言えます。

 もう1つの大きな問題は、禁治産を宣告されると戸籍に記載されるため、「戸籍が汚れる」といった理由で制度が使われなかったことです。

 成年後見制度では戸籍に記載するのではなく、登記することにしました。また、家を守るのではなく、個人主義にして、判断能力が不十分な人を法的に支援する制度に意味付けを変えました。

 これにより利用者も増えたので、その点では良かったのですが、禁治産宣告をされると後見人がつき、準禁治産宣告をされると保佐人がつくという形はほぼそのまま残り、これに「補助」が新設されて3類型になりました。

 これにより、良くも悪くも基本的な仕組みは昔の制度が引き継がれることになったのです。

 それには事情があり、1999年に民法を改正する時に類型を一本化しようという話が出ていたのですが、禁治産宣告をされると医師を始めとする国家資格を取得できないとか、選挙権などの権利を失うといった「欠格条項」が200ぐらいの法律に散らばっていて、一本化するにはそれを全部改正しなければならず、無理だということで残ってしまった経緯があります。

 その後、欠格条項は廃止されて制約がなくなりましたので、今回の改正では3類型を廃止して「補助」に一本化されることになりました。

「終わる後見制度」の実現に危惧も
――今回の改正をどう評価しますか。

 だいぶ良くなると思います。これまでの制度は使いにくい、問題があると言われていました。その大きな原因が、いわゆる「終わらない後見」です。後見を一旦始めると本人が死ぬまで続く。だから利用されなかった。

 新しい制度になると、例えば不動産を売りたいから後見制度を始めたけれども、売ってしまったので終わらせたい、ということができるようになるため、利用促進につながるでしょう。

 また、親族が後見人を変えることを望んでも、これまでは原則として交代できませんでしたが、改正により、今よりは容易になると思われます。

――なぜ1度始めたら終われないとなっていたのでしょう。

 後見を開始する要件として「本人の判断能力の程度」のみが民法に規定されていたからです。

 その書きぶりだと、本人が死んだら後見は終わりますけれど、原則として本人の判断能力が回復しない限り、終わらない。だから今回の法律の条文では必要性の要件を入れました。これにより、必要がなくなれば終わらせられるようになりました。

――「1度開始したら終わることができない」と書かれているのではなく、開始の要件がそうだから終わらせることができなかったということですね。

 そういうことです。これについてはもう法律を変えるしかなかった。運用でどうなるものではありませんから。

――地域後見推進プロジェクトでは、これまでの成年後見制度について、いくつか課題と問題を指摘しています。最初に利用者数の伸び悩みが挙げられていますけれど、先ほどの話では今回の改正でかなり改善しそうですね。

 すると思いますが、運用のあり方に関して、私は少し危惧しています。1つは「終わる後見にする」というものの、本当に終わらせられるのか、ということです。

 家族と住んでいるとか、施設に入っているとか、支援者がいる場合はいいけれど、全く支援を受けていない人、例えば認知症の高齢男性がアパートに1人で住んでいて、身内も支援者もいないという時に、後見を終わらせてしまったら、その後、その人は1人でどうするのか。詐欺に遭うかもしれないし、ゴミ屋敷になってしまうかもしれない。

 このような問題に対応し、後見を終わらせる件数を増やすためには、社会的な支援体制、いわゆる受け皿を整備する必要があります。そこで考えられているのが、社会福祉協議会が行っている「日常生活自立支援事業」を受け皿として活用する方法です。

 また、後見人の交代をしやすくするという論点については、先ほど申し上げたように、特に法律の専門職が身上保護をあまりやってくれない、変えたいと思っても変えられない、だからこれを変えられるようにするというのがそもそもの目的でした。

 しかし、改正法の条文では、身上保護をやらない人を解任させるのは難しいとも読めます。そこで、家庭裁判所が運用ないし法解釈によって、そうした人の解任、欠格にしない形での解任ができるようにしてほしい、というのが個人的な希望です。さもないと、何のために改正したのか分からなくなりますから。

「特定補助人」の適用は慎重に
――専門職が後見人に選任される割合が急増し、親族が選任される割合が急減したとありますが、これはどういうことでしょうか。

 不正、つまり横領の問題です。横領している多くが親族で、これを見過ごしていると制度の信頼に関わるというので、専門職が選任されるようになりました。

――改正で親族が後見人に選任されやすくなるのですか。

 それはなんとも言えませんが、不正が大幅に減っているのは確かです。

――減っている要因は。

 「後見制度支援信託」と「後見制度支援預貯金」を作ったことです。例えば本人が1億円の預金を持っていて、そのうちの9800万円を支援信託か支援預金に入れ、後見人が使えるのは200万円だけというようにする。そうすると不正が起きにくくなるわけです。

 これにより、不正は減ったけれど本人のために自由にお金が使えなくなるという面もあり、諸刃の剣と言えます。

――成年後見制度の利用件数全体に占める後見類型の割合の高さも課題として指摘していましたが、今回の改正で3類型を「補助」に一本化しましたから解決しますね。

 ただ、「特定補助人」の問題があります。本人の判断能力が著しく低い場合は補助人を特定補助人にすることができることになりました。

 審議会の議論では、遷延性意識障害の人、いわゆる植物状態の人が例に出され、こういった重篤な人については特定補助人のような、最初から権限をたくさん持っている人をつけた方がいいのではないかということで、できたのが特定補助人です。

 しかし、1人暮らしをしている認知症の高齢者にも適用するのではないか、という話になっており、そうなると、当初は適用数が後見対象者の10%を超えないだろう、と私は思っていたのですが、2~3割ぐらいになってしまうのではないか、と感じています。

 実際にどうなるかは運用次第なので分かりませんが、適用がすごく増えてしまうと、現行の後見類型とあまり変わらないことになりますので、注視する必要があります。

地域後見推進センターで講義を聞く参加者たち

地域後見推進プロジェクトの講義風景

市民後見人の活用にはサポート体制が必要
――市民後見人の普及と活用が十分ではないという点について。

 後見人の交代が容易になれば、活用は促進されると思います。成年後見制度は判断能力が不十分な人を法的に支援する、保護する仕組みだと説明がされていますが、基本的には、後見の多くの部分は福祉です。

 不動産を売るとか、本人が契約してしまったのを取り消すとか、遺産分割協議をやらなければならないとか、そうした法律的な支援が必要になる局面はあるけれど、それは一時的なものなので、その時だけ弁護士や司法書士が関わればいい。

 それ以外は日常的な支援なので、法律の知識はそれほど必要なく、一般の市民でもいい。いや、上述のように、むしろ市民の方がいい。だから市民後見人の活用が求められるのです。

――市民後見人の養成が自治体に義務付けられていますが、活用されていますか。

 養成したけれど、あまり活躍していないという話も聞きます。市民後見人を活用するのは簡単な事案、すなわち懸案事項が解決していて、本人の状況は安定していて、後見人は月に1、2回訪問して日常的な金銭管理だけ行う、というようなケースが多いようです。

 しかし、ちょっと難しいケースでも、専門職や社会福祉協議会のサポートがあれば、市民後見人でも対応できるはずです。市民後見人の活用の幅を広げるには、そうしたサポート体制を構築することが必要です。

 地域後見推進プロジェクトでは、これまで4000人ぐらいが市民後見人の養成プログラムを終了しています。個人で行っている人もいますが、多くは市民後見NPOなどを設立して活動しています。

 法人の場合、弁護士や司法書士、医師などいろいろな専門職が参加しているところも多く、難しい課題については専門家がサポートしますので、市民後見人が活躍しやすくなります。

 また、法人のいいところは基本的に永続することです。例えば知的障害者の支援を本人が30代から始めたら、死ぬまで何十年も支援を続ける必要があります。これを個人で受けてしまうと、後見人の方が先に死んでしまう可能性がありますので、法人で受けた方がいい。

 しかも、法人では1人の案件に担当者を2人つけ、都合が悪い時は別の人が行くなど、人員の融通が効きますし、不正防止にもなります。こうした点を考慮すると、個人で受けるより、法人でやる方がいいのかなと思います。

任意後見の利用促進は監督人のあり方もカギ
――市区町村長申し立ての大幅な増加について問題視していますね。

 全然知らない人が後見の申し立てをするとか、いつの間にか成年被後見人になったりすることがないように、申し立ては本人や4親等内の親族等に制限されています。しかし、身寄りがなく、申し立てをしてくれる人がいない人が増えたため、作ったのが市区町村長申し立てです。

 ただ、これが増えすぎて、今は4分の1ぐらいが市区町村長申し立てになっており、自治体の負担が重くなっています。

 このため、今回の改正で、補助開始の申し立てをできる人と任意後見開始の審判を請求できる人を、事前に本人が公正証書で指定できるようにしました。申し立て権者を増やすことによって市区町村の申し立ての増加に歯止めをかけるのが狙いです。

――成年後見に対する自治体の取り組みの温度差にも言及しています。

 小規模の自治体は予算も人も限られているので、厳しい面があります。そこで、複数の市町村が広域連携を組み、共同で市民後見人の養成を行うところが増えていて、地域後見推進プロジェクトにも支援要請が来ています。

――任意後見についても見直されました。

 任意後見では本人の行為能力が一切制限されませんので、任意後見の方が法定後見より明らかにいい制度なのですが、これまでほとんど使われてきませんでした。

 その最大の理由は、制度上、任意後見では100%任意後見監督人がつくことです。監督人がつくと、月1万円ぐらいの監督人報酬が発生し、基本的に本人が死ぬまで続きますので、これを嫌って使われていませんでした。

 今回の改正で、明らかに監督が必要でない場合は監督人を選任しないことができることになったため、利用促進が図られるのではないかと思います。

 問題なのは、明らかに監督の必要がないのはどういう場合か、ということです。審議会の議論などを聞いていると、専門職が任意後見人を務めている場合などのようで、これでは適用の幅がかなり狭くなるので、運用によって広げていってほしいですね。

 もう1つ大事なのは、任意後見監督人になる人についても、公正証書で指定することができるようになったことです。子どもや身内のような、本人に近い人を指名すると、おそらく選任されないと思いますが、自分の知っている弁護士とか司法書士とかの専門職の名前を書いておけば、かなり高い確率で選任されると思います。

 全然知らない弁護士が監督人になって、あまり仕事もしないのに死ぬまで毎月報酬を支払い続けるのはバカらしいけれど、自分の知っている人ならしっかり仕事をしてくれるだろうし、報酬をあげてもいいかな、と思う人が多いはずなので、任意後見を利用する人が増えることが見込まれます。

 

いいま・としひろ
東京大学大学院教育学研究科特任助教。2000年に東京大学法学部卒業後、東大大学院法学政治学研究科助手、同政策ビジョン研究センター特任研究員等を経て、2015年より現職。専門は成年後見制度。成年後見の法制度のあり方に関する研究や市民後見人の養成等の教育実践に取り組んでいる。

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いち早く若年性認知症の人の支援に着手 多様な相談にワンストップで対応〔東京都〕🆕

 若年性認知症の人の数は認知症高齢者に比べはるかに少ないが、年齢的に働き盛りで家計の問題があったり、成人していない子どもがいたりするなど、支援する上での課題が高齢者に比べて多岐に渡る。東京都は他の自治体に先駆け、多様な相談内容にワンストップで対応する「若年性認知症総合支援センター」を設けて支援を行っている。
 
■12年に若年性認知症総合支援センターを設立
 東京都の65歳以上の認知症高齢者数は現在約54万人、一方、65歳未満の若年性認知症の人は約4000人と推計されている。このため、必然的に認知症高齢者への支援が先行していた。
 
 若年性の人の支援が強化されることになったのは、2007年からスタートした「東京都認知症対策推進会議」での議論を通じてである。同会議で認知症の人と家族の支援体制の構築が協議され、その中で高齢者同様、若年性の人と家族への支援の必要性も打ち出された。
 
 これを受け、都は、2008年に、上記の推進会議の下に「若年性認知症支援部会」を設置し、さらに議論を積み重ねた後、「若年性認知症支援モデル事業」を09年から3年間実施することとし、募集に応募した事業者の中から2事業者を選定した。
 
 その1つが、相談内容へのワンストップ対応支援などを提案した目黒区の「NPO法人いきいき福祉ネットワークセンター」である。事業を通じてモデルの有用性が示されたことから、都はこのモデルを採用した若年性認知症総合支援センターを12年に目黒区に設置し、同法人が事業を受託した。
 
 その後、16年には日野市に「東京都多摩若年性認知症総合支援センター」を設け、都内で介護・福祉事業を展開する社会福祉法人マザアスに事業を委託して2センター体制とし、こちらが多摩地域を、従来からある若年性認知症総合支援センターが23区を担当することになった。
 
■事業の4つの柱
 若年性認知症総合支援センターにはそれぞれ3人の「若年性認知症支援コーディネーター」がいる。目黒は受託法人の理事長で、自らも若年性認知症支援コーディネーターである駒井由起子さんがセンター長を務めている。事業は4本の柱から成り、これらは駒井さんがモデル事業に応募した際に提案した内容がそのまま引き継がれている。
 
 1つ目の柱はワンストップ相談窓口として相談支援とサービス調整を行うこと。相談支援は電話だけでなく、訪問・面談によりきめ細かく対応する。
 
 サービス調整では、医療機関や地域包括支援センター、市区町村の担当者、ケアマネジャー、介護保険事業所などと連絡を取り合い、情報提供を行うとともに、サービス利用に必要な手続きに関する助言や同行支援なども行う。その際、対象者の情報を記入した「若年性認知症支援連携シート」を使って情報を共有する。
 
 2つ目は、地域の相談支援機能の向上のため、区市町村の地域包括支援センターなどを対象に相談支援研修を行うこと。具体的には、基礎研修とフォローアップ研修をそれぞれ年1回実施しており、駒井センター長によると…

早期診断・早期対応へ 年間100件以上の認知症初期集中支援を実施 〔東京都世田谷区〕🆕

 軽度認知障害(MCI)から認知症への移行や認知症の進行を遅らせるには、認知症の疑いのある人、あるいは認知症の人に、早い段階で支援を行うことが重要だ。その取り組みを行うのが全国の自治体に設置されている「認知症初期集中支援チーム」である。東京23区内の年間支援数が自治体によってかなり差がある中、世田谷区では年間100件以上の支援を実施し、そうした人たちの早期診断・早期対応につなげている。
 
■区内28カ所のセンターに支援の窓口
 世田谷区の人口は今年4月1日現在約92万6000人で、65歳以上人口は約19万人。ただ、高齢化率は20.57%で全国平均の29.0%に比べれば低い。都心に近く、流出入率の高い20~30代の単身世帯が多いためだ。介護保険の要支援・要介護者数は4万2808人で、そのうち認知症高齢者数は2万5781人である。
 
 高齢化率は低いものの、いくつかの県を上回る人口の多さと、東京・多摩地域屈指の商業都市である立川市の全人口に匹敵する高齢者数に対応するため、世田谷区では区内を5つの地域に分けて総合支所を設け、さらに各地域を分割した28地区すべてに地区行政の窓口である「まちづくりセンター」を設置している。
 
 同センターの建物には「あんしんすこやかセンター(地域包括支援センター)」と社会福祉協議会の地区事務局も入っており、3者が連携して区民の困りごとなどに対応してきた。2022年度からは、この3者に児童館が加わり「毎月開催する4者連携会議で地区の課題を把握・共有し、地域包括ケア地区展開として地域づくりを行っている」(世田谷区高齢福祉部介護予防・地域支援課課長の横尾拓哉さん)。
 
 この連携は認知症初期集中支援チームの活動にも貢献している。同課係長の北畠たまみさんによると「例えば、まちづくりセンターのミニコミ誌作成の委員だった人が日時や会場を頻繁に間違えるようになったとか、社協のサロンに定期的に参加していた人が会場までたどり着けなくなったとか、帰り道で迷うようになった」などまちづくりセンターや社会福祉協議会の活動で気になった情報をあんしんすこやかセンターに伝えることで、初期集中支援の対象者の発掘につながる」からだ。
 
■認知症初期集中支援事業
 認知症初期集中支援事業は国の「認知症施策5カ年計画(オレンジプラン、2013~17年度)」で打ち出され、制度化に向け13年度から全国の14自治体でモデル事業を開始した。世田谷区は東京都で唯一の自治体として参画し、モデル事業の段階から国と連携して取り組んできた。
 
 同事業では、在宅で生活している概ね40歳以上の認知症の人(疑いを含む)と家族を対象に、認知症初期集中支援チームが原則6カ月間、定期的に家庭を訪問する。
 
 この間に、認知症に関する正しい情報を提供したり、認知症の進行や介護に関する心理的負担の軽減を図ったり、適切な医療や介護サービスにつなげたりすることで…

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誰もが活躍できる地域づくりへ 国に先駆け認知症施策推進基本計画を策定〔和歌山県御坊市〕🆕

 2019年に「認知症の人とともに築く総活躍のまち条例」を制定した和歌山県御坊市は、国の認知症施策推進基本計画に先駆け、21年4月に市の第1期認知症施策推進基本計画を策定した。同市では「総活躍」というキーワードのもと、認知症の人も含め誰もが活躍できる地域づくりを進めている。
 
■認知症条例から基本計画へ
 市民の高齢化が進み、高齢者の7人に1人以上が認知症という状況を踏まえ、御坊市ではそれまでの認知症施策を総合的な取り組みに再構築するため、誰もが活躍できるまちづくりを目指す「ごぼう総活躍のまちづくりプロジェクト」を16年に立ちあげた。
 
 このプロジェクトを進める中で、認知症の人が支援されるだけでなく、主体的により良く暮らしていくためには、市の責務と使命、理念を示した条例をつくるべきではないかとの声が関係者の間から出てきた。
 
 それを受け、18年に認知症本人とその家族、認知症サポート医、介護関係者、市の職員ら13人が参加して「条例作成ワーキングチーム」を発足。4回の会議を重ね、翌年、条例を制定した。
 
 条例は9条から成り、第3条で基本理念、第4条で市の責務を掲げ、第5条から第8条で認知症の人、市民、事業者、関係機関の役割を明記している。
 
 基本理念では「認知症になっても自分らしい暮らしができること、いつまでも新しいことに挑戦できること、認知症の有無にかかわらず、すべての市民が活躍できること」を掲げている。
 
 この理念を実現するために策定したのが認知症施策推進基本計画である。「国に計画を策定する動きがあり、いずれは市町村に策定が義務付けられることが想定されていたこと、それに条例を作った勢いもあったので、国に先立って作ってしまうことになった」と同市健康長寿課主任の丸山雅史さんは背景を説明する。
 
 また、21年度は10年間の第5次御坊市総合計画と第8期介護保険事業計画の初年度であったことから、これらの計画とシームレスに連携しながら総活躍のまちづくりを進めようと考えたことも、この年に基本計画を策定した理由である。
 
 ちなみに、24年度からスタートした第9期介護保険事業計画に合わせて第2期認知症施策推進基本計画を策定しており、それが現在の計画となっている。
 
■御坊市認知症施策推進基本計画
 同計画では7つの指針を定め、指針1で「認知症・認知症の人への先入観の払拭」を掲げている。先入観が払拭されれば残り6つの指針で提示している取り組みが進展し、逆に他の指針の取り組みが進展すれば先入観が払拭されるとの考えからだ。
 
 この「先入観の払拭」は、認知症基本法の国・地方公共団体の責務で「国民は、共生社会の実現を推進するために必要な認知症に関する正しい知識及び認知症の人に関する正しい理解を深め…

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「家族の権利宣言」発表 認知症本人と同じように家族への支援求める🆕

インタビュー 川井元晴さん(認知症の人と家族の会共同代表理事・山口県支部代表世話人、脳神経筋センターよしみず病院副院長)
 
 45周年を迎えた「認知症の人と家族の会」は、6月の総会で「認知症の人とともにある家族の権利宣言」を発表し、認知症本の人への支援と同様に、家族への支援の必要性を訴えた。認知症の人と家族が住み慣れた地域で、自分らしく暮らし続けていくために大切なことは何か。共同代表理事の1人である川井元晴さんに聞いた。
 
■業務量増加への対応で代表理事を2人体制に
――福井県支部世話人の和田誠さんとともに共同代表理事という形になったのは。
 
 当会が設立されてから4代目の代表理事となる今回、定款を変え初めて2人体制になりました。役員についても、会の発足当初から活動に参加していた会員や理事から、若い世代へバトンを受け渡すような形で改選しています。
 
 その理由として、ここ数年、認知症に関する状況が大きく変わってきていることがあります。アルツハイマー病の治療薬が上市されて使えるようになったことや、共生社会の実現を推進するための認知症基本法が策定され、自治体が認知症施策推進基本計画を立てるようになったことなど、医療的にも社会的にもかなり様変わりしています。
 
 認知症本人と家族についての社会的ニーズがとても多くなっている上、会への問い合わせや共同研究などが増えている中で、1人の代表理事だけでは対応が難しいことから、共同代表理事という体制となりました。
 
――今回の総会では、家族の権利宣言の発表もありました。趣旨は。
 
 認知症基本法には「認知症の人と家族等」と、主語に家族も入っていますが、認知症本人の発信がとても大きなウエイトを占めていて、どうしても本人視点に重きが置かれます。このため、家族が置いていかれるような不安や危機感を持っている会員がいることから、家族も大事なのだということを宣言しました。
 
 宣言自体は抽象的ですけれども、その解説版を作成中で、宣言と解説版をセットにして、各都道府県支部の世話人や自治体、地域の人たちと、権利宣言をどう活用していったらいいのかを考えていくことにしています。
 
――認知症施策推進基本計画については。
 
 各自治体が基本計画を策定するにあたり、本人と家族が参画することになったのはとても重要です。
 
 ただ、私は山口県支部の代表世話人も兼務しており、県の基本計画の策定会議に参加していますが、行政の書類が独特な様式と内容で書かれているため、策定案を議論するのに、本人と家族はついていくのが精一杯のような状況で、行政の会議に本人と家族が参画する上での課題と改善点が浮き彫りになった感じがします。
 
――本人の意見をどう聞いたらいいか、計画を策定する人たちは悩んでいるようですが。
 
 意見が聞けるのは診断当初の人や軽度認知障害の人など、症状が比較的軽めの人が想定され、その中でもしっかりと自分の考えを自分の言葉で発信できる人ということになりますと、意見を言える人は限られるでしょう。
 
 基本法の対象は認知症の人と家族全体なので…

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