三菱総合研究所は国内の治験形態の転換(CTX)により国際共同治験への参加を促進し、ドラッグラグ・ドラッグロスの解消を目指す日本CTX研究会を設立した。
CTXとは治験を効率的・効果的に実施するため、治験の組み立て方や運用、通例などの形態を転換すること。
海外で取り組まれている治験の分散化(分散型臨床試験:DCT)による治験の効率化、患者の治験参加機会増加、治験計画段階からの前向きの質保証、適正な市場価値に基づく費用算定の考え方が、日本では本格的に導入されていない。
国際的な潮流に対応するには、CTXを推進して国際共同治験への参加を向上させることが急務となっている。
CTXを推進させるためには、産官学患の連携が求められる。三菱総研はステークホルダー間の垣根を取り払い、利害関係を超えた連携の場となる日本CTX研究会設立のため、準備委員会を今年4月に発足させて協議を進めてきた。準備委員会には製薬企業やCRO(開発業務受託機関)など、12社が参加した。
日本CTX研究会では、CTX推進の最初のテーマとしてDCTを取り上げる。これはデジタル技術を活用し、医療機関に来院することなく、患者の自宅など遠隔地で実施する治験のこと。オンライン治験やリモート治験とも呼ばれる。
DCTは新型コロナの流行を機に世界的に取り組みが加速したが、日本では導入に向けて規制整備が進みつつある段階だ。
本格導入にはDCT導入の遅れによる治験でのジャパンパッシングに関する危機感、あるいはDCT導入に向けた不明点や不安などの共通認識を、ステークホルダー間で持つことが重要だ。また、普及に向けてはDCT導入の実績・エビデンスも重要となる。
日本CTX研究会では、ステークホルダー間のDCTに関する共通認識の醸成、DCT導入・普及の課題の深掘り、それを解決するために必要な規制や制度、支援など国としての取り組みを提言することで、実績・エビデンスを創出しやすい環境づくりに取り組む。