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「社会的処方」にこれだけの問題点 むしろ多職種連携への認識を深めよう(下)

「社会的処方」にこれだけの問題点 むしろ多職種連携への認識を深めよう(下)

藤井博之(日本福祉大学教授)
4.「社会的処方」というとらえ方への懸念
●処方という用語でいいか
 第1に、医療における社会的要因への関わりを社会的処方という用語で表現することは、処方権を巡る職種間の利害対立を引き起こす可能性がある。実際には社会福祉職側の反発は政治力の違いで表に出ないかも知れないが、それ自体も問題である。
 第2に、社会的つながりははたして「処方」できるのか? という根本的疑問がある。医師や医療専門職が社会的要因と病気の関係を認識することは大事だが、社会とのつながりを……

「社会的処方」にこれだけの問題点 むしろ多職種連携への認識を深めよう(上)

「社会的処方」にこれだけの問題点 むしろ多職種連携への認識を深めよう(上)

藤井博之(日本福祉大学教授)
■はじめに
「社会的処方Social Prescribing」をめぐる経過を紹介し、この用語と考え方の問題点を多職種連携の視点から指摘したい。
「社会的処方」は英国で行われている、健康や病気の社会的要因に取り組む治療・予防方法である。社会的要因はSocial Determinants of Health (SDH)と表現され、公衆衛生学と臨床医学に跨がり健康・疾病と社会環境の関連を捉える政策と個別臨床の重要な概念である。私自身は、医療社会化運動に源流をもつ戦前からの「社会医学」の実践を志向し、診療や病院管理、地域活動で社会的要因にどう取り組むか関心を払ってきた。
 一方で「社会的処方」という用語には違和感がある。ここでは、①英国での取り組みの経緯と……

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