〈医療と介護2040 管理者02〉の記事一覧
第58回 在宅介護を守る「倫理」と「制度改革」

第58回 在宅介護を守る「倫理」と「制度改革」

 臨床倫理は介護の現場でも問われる。介護の臨床倫理はとりわけ認知症の人と接するときに問われる。自己決定は尊厳と表裏一体だから、認知症が重度となって自己決定が難しい人の尊厳をどう保つのか。この問いが介護職を悩ませる。
 
 暮らす人が何も自己決定できないような居住空間は、たとえそこにベッドやクローゼットがあっても“生活の場”とはいえない。施設ですらなく、あえていえば収容所だ。
 
 「住まう」という言葉には、自立と尊厳が込められているような気がする。「住まう人」とは単にそこで暮らす人ではなく、自立し尊厳をもって生きる人ではないか(この自立とは、他人の力を借りずに生きることではない)。だから、「住まう」には本人の覚悟も必要だ。
 
 住まう人への在宅医療や在宅介護は、その自立と尊厳を維持するためのサービスといえる。在宅ケア提供者は常にこのことを意識してほしい。
 
■ケアの倫理を検討する
 国立市では、地域ケア会議で要支援1、2の人の事例検討を長く行ってきた。事例検討から、要支援1、2の人には何が必要なのかを検討する。
 
 自分の身の回りのことはある程度できるから、身体介護的なサービスではないだろう。昼間、身体を動かしたり友人と会話したり、一緒に食事したりできる居場所が必要だろう。ケアマネジャーや行政も参加して、そんなことを議論してきた。
 
 2025年度からは、要介護3、4を中心に、ケアの倫理について検討することになった。事例検討ではケアプラン検証ではなく…

病院と患者をつなぐアプリの提供開始 ユカリア

病院と患者をつなぐアプリの提供開始 ユカリア

 ユカリアは病院と患者のコミュニケーションを支援する、AIを活用したアプリ「ユカリアメルジュ」のサービス提供を開始した。  外来・入院・退院後の各シーンで患者・家族と病院をつなぎ、情報提供や各種説明をサポートすることで、医療従事者の負担軽減と患者の理解促進を目指す。...

すい臓がんなど早期発見へ MRI検査サービスを拡大

すい臓がんなど早期発見へ MRI検査サービスを拡大

 ユカリアの完全子会社であるスマートスキャンは、MRI検査サービス「スマート脳ドック」を導入している一部施設に提供中の「がんドック」のメニューを順次拡大する。  これにより、進行するまで自覚症状が乏しく、発見が遅れがちなすい臓がん、前立腺がん、子宮・卵巣がんの早期発見にも対応できるようになる。...

整備補助金の減額でサ高住の増加ペースが鈍化

整備補助金の減額でサ高住の増加ペースが鈍化

住宅型有料の居室数が老健を上回る 高齢者住宅のデータベースとコンサルティングを提供するタムラプランニングアンドオペレーティングは、「高齢者住宅データ〔全国版〕」2025 年度上半期号を発行した。  それによると、4月時点で集計した全国の高齢者住宅・施設の13...

ケアプランデータ連携普及率で都城市が1位に

ケアプランデータ連携普及率で都城市が1位に

 善光総合研究所(東京都港区)が採択された宮崎県の「ケアプランデータ連携システム活用促進モデル地域づくり支援事業」で、都城市の124事業所へのシステム導入が完了し、人口10万人以上の市町村におけるケアプランデータ連携システムの普及率が36.2%を達成した。...

墨田区に障害者支援や宿泊などの複合福祉施設

墨田区に障害者支援や宿泊などの複合福祉施設

 日常福祉合同会社は墨田区京島にある商店街「向島橘銀座商店街(通称:キラキラ橘商店街)」の2階建て約400㎡の昭和建築をフルリノベーションし、福祉から観光・まち・文化をつなぐ複合福祉施設「TACHIBANA TERMINAL─ 橘銀座多機能複合拠点」を開設した。...

介護・医療施設内の消臭に特化した5製品を発売

介護・医療施設内の消臭に特化した5製品を発売

 花王のグループ会社でBtoB衛生関連事業を手がける花王プロフェッショナル・サービス株式会社(KPS)は、介護・医療施設内の消臭に特化した「パワフル消臭ストロング」シリーズを発売した。
 
 介護施設や医療施設の尿臭・便臭に特化しており、花王の消臭技術とKPSの施設衛生のノウハウの融合によって高い消臭効果を実現した。

習志野市の複合型地域福祉拠点に在宅診療所開設

習志野市の複合型地域福祉拠点に在宅診療所開設

 医療法人社団悠翔会(東京都港区)は25番目の拠点となる「悠翔会在宅クリニックみもみ」を社会福祉法人福祉楽団の運営する複合型地域福祉拠点・実籾パークサイド(千葉県習志野市)内に開設した。
 
 実籾パークサイドは児童養護施設を中心に、高齢者や障害者支援の事業所も整備された複合型の福祉拠点である。

簡単に送迎計画作成の「らくぴた送迎」提供 施設の枠を超えた福祉介護・共同送迎サービス「ゴイッショ」も展開〔ダイハツ工業〕🆕

簡単に送迎計画作成の「らくぴた送迎」提供 施設の枠を超えた福祉介護・共同送迎サービス「ゴイッショ」も展開〔ダイハツ工業〕🆕

 ダイハツ工業は2018年から提供している送迎支援システム「らくぴた送迎」により、デイサービスの業務負担の約3割を占める送迎の効率化を進めている。さらに22年から提供を開始した福祉介護・共同送迎サービス「ゴイッショ」によって、地域全体での効率的な送迎システムの構築を目指している。
 
■利用者カードを車両の枠に移動して作成
 らくぴた送迎を開発することになったのは、2015年4月に社内で福祉の専門チームを立ち上げ、同社の社員がダイハツディーラーと一緒に全国の介護施設へ福祉車両の訪問営業をする中で、デイサービスでは送迎計画の作成に苦労しているという声を数多く聞いたことがきっかけだ。
 
そこで聞いた現場の苦労の声を基にして、らくぴた送迎の開発を進め、システムと専用スマートフォンにより「送迎前」「送迎中」「送迎後」の各シーンで課題を解決するソリューションとして提供を開始した。
 
 クラウドサービスなので、パソコンとインターネットが使える環境なら、ソフトをインストールする必要がなく送迎計画を作ることができる。申し込み後に1事業所あたり1ライセンスを発行する。利用料は1万5000円/月(税込み1万6500円/月)。
 
 送迎中・送迎後のサービスを利用するには専用モバイル端末(スマートフォン)が必要で、3000円/台(同3300円/台)とモバイル端末保証料273円/台(同300円/台)でレンタルする。
 
 送迎計画の作成では、まず準備として「利用者マスタ」「車両マスタ」「職員マスタ」「事業所マスタ」の各項目に必要情報を入力する。
 
 利用者マスタには利用者の情報を入力するが、らくぴた送迎が連携している「ワイズマン」だけでなく、他の介護記録ソフトからもCSVデータを読み込むことで、すべての利用者の名前や住所、生年月日、電話番号、利用日などの基本データを一括して入力できる。
 
 あとは車いすや歩行器のあるなし、家の道が狭い場合等の軽自動車専用、相性が合わない利用者、希望する移動時間、薬などの持ち物といった詳細情報を入力することで利用者マスタは完成する。家と利用者の写真等も入れられるので、初めて行く職員もスマホを使えば家や利用者を間違えることはない。
 
車両マスタには車の種類や乗れる人数、車いす搭載の可不可など、職員マスタには担当業務や運転可能な車両サイズなど、事業所マスタには事業所の情報を入力する。
 
 計画策定画面にはカレンダー機能があり、日を選ぶとその日の車両と利用者のデータが画像の形で出てくる。作成者は、利用者の名前が表示されたホワイトボードのマグネットのような四角い枠をドラッグし…

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