産科病棟で自動運転モビリティの実証を開始

2021年 6月 16日

 国立成育医療研究センターと次世代型車いすメーカーのWHILLは、出産後の患者を病室まで自動運転で移動させる「WHILL自動運転システム」の実証実験を開始した=写真。これまで病院外来や空港などでの活用事例はあったが、病棟内での利用は国内初となる。

産科病棟での実証試験

 同センター6階産科病棟に1台導入し、LDR(陣痛・分娩・回復室)から出てきた出産後の患者を、WHILL自動運転システムにより病室の前まで搬送する。

 病室までは自動運転モードで走行し、利用終了後は無人運転でナースステーション前にあるWHILL保管場所に戻る。当初は病棟西エリアで運用し、東エリアへ拡張するのに伴い、台数を増やす。

 出産直後の患者は、身体の痛みなどのため車いすでLDRから病室に戻ることが多く、医療スタッフが車いすを押して移動する。その際、医療スタッフは新生児を乗せたカートや患者の荷物などを運ぶ作業もあり、大きな業務負荷がかかっていた。

 実証実験では周産期管理を要する患者を対象とした場合にも安全を確保し、快適な利用が可能か、同伴する医療スタッフにとって、従来の車いす搬送と比べ負担軽減が図れているかといったことや、利用における改善点などを検証する。

 将来的には現在の病室前までの移動サービスから、患者がベッドへの移動がより楽になるよう、各病室内まで自動運転で入っていくシステムを構築することを検討する。

 WHILL自動運転システムはデザイン性と走破性に優れたパーソナルモビリティに、自動運転・自動停止機能などを搭載した「WHILL自動運転モデル」と、複数の機体を管理・運用するシステムから構成される。

 あらかじめ収集した地図情報と、センサー群で検知した周囲の状況を照らし合わせ、自動走行・自動運転を行う。

このカテゴリーの最新の記事

このカテゴリはメンバーだけが閲覧できます。このカテゴリを表示するには、年会費(年間購読料) もしくは 月会費(月間購読料)を購入してサインアップしてください。

自治体向けに「オンライン受診相談サービス」🆕

 KDDIとファストドクターは、KDDIが運営する「スマホdeドック」の付加サービスとして、自治体・企業・健康保険組合向けに「オンライン受診相談サービス」を提供することになり、導入する自治体の第1弾として、香川県高松市で10月1日からサービスを開始した。  スマホdeドックは血液検査セットとウエブサービスを組み合わせ、自宅にいながら一般的な健康診断と同等の検査が行えるサービス。検査結果で「C/D」判定を受けた人を対象に、KDDIからオンライン受診相談の案内メールを送信する。...

がん服薬アドヒアランスの評価で共同研究🆕

 がん研究会有明病院(東京都江東区)とスズケンの子会社コラボプレイスは、同社が開発した服薬管理システム「CubixxDT(キュービックスDT)」を使い、服薬アドヒアランスの評価を行う共同研究を開始した。  服薬アドヒアランスとは、患者が医療従事者の指示や治療計画に基づき治療を受けること。特に薬物治療でアドヒアランスが低い場合、治療効果が十分に得られない可能性がある。  キュービックスDTは、治療薬を充填する専用服薬パックと、データをサーバーに自動送信する専用通信機器で構成されている。...

小児用歩行トレーニングロボ開発 AssistMotion

 信州大学発のベンチャーであるAssistMotion(長野県上田市)は、身長90㎝から着用可能な小児用歩行トレーニングロボット「curara(クララ)」を長野県立こども病院と共同開発した。
 
 同社はリハビリ用歩行トレーニングロボットcuraraの事業を展開している。今回、同病院とともに、脳性まひなどの子どもが使用する小型軽量なcuraraを開発した。
 
 小児は成長により体格の変化が大きいため、Sサイズ(身長115cm~)とSSサイズ(身長90cm~)の2つのサイズを…

据置式手すり新製品を10月発売 マツ六

 据置式手すり「たよレール」シリーズを展開するマツ六(大阪市天王寺区)は、新製品「たよレールUPDATE(アップデート)」を10月に発売する。
 
 立ち上がり動作を考えた「高さ」と「低さ」とし、膝立ち位・端坐位からの立ち上がりに使いやすい高さ(最低55cm)から、立位の補助に使いやすい高さ(最高85cm)までをカバーした。
 
 握っても押上げてもいいように、手すり上段の断面は丸みをおびた逆三角形とした。手すり棒をぎゅっと握ることも…

医療処置が必要な人の大分県内での旅行が容易に

羅漢(福岡県糸島市)が運営する介護職・看護師が付き添い、旅行や外出をする民間救急らかんと、別府・大分バリアフリーツアーセンター(大分県別府市)が業務提携した。らかんと地域の異業種連携は、佐賀県嬉野バリアフリーツアーセンターに次いで2例目となる。 らかんは酸素・吸引・点滴などの医療処置が必要な人にも、介護職・看護師が付き添うことで、安心・安全に旅行ができる「むにたび」を提供している。...

1週間無料でお試し購読ができます  詳しくはここをクリック

新着記事は1カ月無料で公開

有料記事は990円(税込)で1カ月読み放題

*1年間は1万1000円(同)

〈新着情報〉〈政策・審議会・統計〉〈業界の動き〉は無料

【アーカイブ】テーマ特集/対談・インタビュー

コラム一覧

【アーカイブ】現場ルポ/医療介護ビジネス新時代

アクセスランキング(9月30-10月6日)

  • 1位
  • 2位
  • 3位 90% 90%
メディカ出版 医療と介護Next バックナンバーのご案内

公式SNS