旭化成と子会社の旭化成ファーマは1月末から宮崎県延岡市で、健康長寿社会の実現に向けた取り組みを開始する。
同社延岡支社と延岡市が昨年12月22日に締結した骨粗鬆症による骨折予防を目的とした「自分の足で100年歩ける健康長寿のまちづくりに関する協定」に基づき行うもの。
2026年末までの6年間を2年ごと3期に分けて段階的に実行する。第1期に現状把握のための調査と課題解決の仮説を策定し、第2期で地域を限定した実地での試行と課題を検証。第3期に延岡市全域で事業として実施し、成果の確認と事業継続性などの最終評価を行う。
同社創業の地である延岡市で、骨疾患治療薬の開発・製造を手がける旭化成ファーマが持つ骨領域に関する多くの知見や、旭化成のデータ解析などの技術を、高齢化が進む社会課題の解決手段として有効活用し、同市と国立循環器病研究センター、宮崎大学、東京大学の専門家との連携を通して、地域住民の健康長寿社会の実現に向けて取り組んでいく。
延岡市では全国の市町村で初となる「地域医療を守る条例」を制定し、2011年度から全市民を対象とした「健康長寿のまちづくり市民運動」など、さまざまな健康づくりの取り組みを展開している。
日本では骨粗鬆症の患者が約1280万人いると言われているが、骨粗鬆症は痛みなどの自覚症状がないことも多く、適切な予防や治療が行われていないことも少なくないという。骨粗鬆症による骨折者数は、この20年間で患者数が約2倍に増加しており、高齢化に伴い今後も増加することが見込まれている。
骨粗鬆症による骨折は、患者本人や家族のQOLを低下させる要因にもなり、経済的な負担も少なくない。旭化成ファーマは昨年12月から一般人向けに骨粗鬆症に関する基本的な情報をわかりやすく解説したホームページを開設し、疾患啓発活動にも積極的に取り組んでいる。
また、旭化成の中期経営計画「Cs+ for Tomorrow 2021」では、「Care for People, Care for Earth(人と地球の未来を想う)」という姿勢の下、「持続可能な社会への貢献」と「持続的な企業価値の向上」との好循環により、サステナビリティの実現を目指している。
今回は延岡市が目指す「健康長寿のまちづくり」と、旭化成グループが目指す地域社会における「サステナビリティの実現」という方針が一致し、共同で「骨粗鬆症による骨折予防を目的とした健康長寿のまちづくり」に取り組んでいくことになった。