循環器疾患など増加 高齢者の急性期入院有病率

2020年 5月 20日

 順天堂大学が行った大規模疫学解析により、日本の高齢者の急性期入院の有病率は、年齢の推移とともにがんが減少していく一方で、循環器疾患や脳血管障害などが増加傾向にあることが分かった。この研究で85歳以上と定義した超高齢者では、肺炎が増加していた。

 同大革新的医療技術研究開発センターの野尻宗子准教授らの研究グループが、全国の診療データを集約したNDBを解析した結果、DPC病院入院患者(高齢者)の有病率と疾患の併存状況が明らかになった。

 また、超高齢者では男女ともに循環器疾患の有病率が高く、次に高血圧症と糖尿病が多かった。男性では脳血管疾患や糖尿病、心筋梗塞、呼吸器疾患(慢性閉塞性肺疾患など)、がん、女性はリウマチや大腿骨骨折、骨粗しょう症が高いことも示された。

 主因子分析により、どのような疾患が併発しやすいかを解析したところ①心筋梗塞・高血圧・脂質異常症・糖尿病②うっ血性心不全・不整脈・腎不全③パーキンソン病・認知症・脳血管疾患・肺炎④がん・消化器系疾患⑤関節リウマチ・股関節骨折の大きく5つの疾患が併存するグループに分けられた。

 さらに、併存する疾患として、超高齢の男性では主に脳血管疾患・認知症・肺炎・統合失調症が、女性では肺炎・認知症・大腿骨骨折・骨粗しょう症が多く、続いて男性では骨粗しょう症、女性ではがん・消化器系疾患が入院に関連する疾患であることが明らかになった。

 今回の成果は人口の高齢化が進む日本社会で医療資源の適正配分と効率化のための基礎データとなる。なお、論文は学術誌Scientific Reports のオンライン版で公開された。

このカテゴリーの最新の記事

このカテゴリはメンバーだけが閲覧できます。このカテゴリを表示するには、年会費(年間購読料) もしくは 月会費(月間購読料)を購入してサインアップしてください。

11月に大阪で体験展示会 アシストスーツ協会🆕

 アシストスーツ協会(東京都中央区)は11月20、21日、大阪では初めての体験展示会「アシストスーツEXPO in OSAKA 2025」を開催する。協会加盟社のアシストスーツの試着・体験会のほか、現場改善に役立つリスク評価やアシストスーツを含む導入対策に関する講演を行う。  会場はグラングリーン大阪北館6階のJAM BASEカンファレンス 6-1&6-2(大阪府大阪市北区大深町6番38号)。参加費無料。事前申し込みは不要で自由に入退出できる。...

「眠りCONNECT」が在宅でも利用可能に

 パラマウントベッドは介護施設向けに販売してきた見守り支援システム「眠りCONNECT」に、新たに在宅療養環境でも利用できるラインアップを追加した。これにより、Wi-Fi環境が整っていない介護施設や自宅などでも使えるようになった。  眠りCONNECTは、体動センサーの「眠りSCAN」を中核とした、利用者の睡眠状態などを遠隔で確認できるシステム。2023年10月から介護施設を中心に提供を開始し、契約介護施設数は25年3月時点で600施設以上に拡大している。...

移乗機構付き車いす「Lifmy」開発 ジャトコ

 自動車部品メーカーのジヤトコ(静岡県富士市)は移乗機構付き車いす「Lifmy(リフミィ)」を開発した。
 
トイレでの着脱衣や便器への移乗といった、より繊細な介助が求められる場面でも、介護の負担を抑えながら、利用者の自立を支える。
 
 ベッドでの立ち上がりから車いすへの乗り移り、座るまでの動作を科学的に分析し、安全性に配慮した独自設計の機構を搭載した。これにより、利用者が自立した動作が行えるようサポートし、介護する人の身体的負担を軽減する。
 
 安定感に優れた座面機構によって、座ったまま安全・快適に移動できるとともに、転倒リスクの軽減に配慮した設計とした。

「よぶぞー」の累計アプリ会員登録が1万人突破

 IT FORCEが提供する、日本初の介護タクシー予約アプリ「よぶぞー」の累計アプリ会員登録数が1万人を突破した。  介護タクシーは日時や迎車場所だけでなく、身体の状態に応じた器具、介助の有無などの確認が必要なため予約が複雑で、従来は電話予約が主流だった。さらに、同社の調べによると、配車までの平均通話時間は7〜15分、電話回数が2.5回と、予約が取りにくいことが課題となっていた。...

約7割の病院が赤字に 6病院団体による調査

 6病院団体(日本病院会・全日本病院協会・日本医療法人協会・日本精神科病院協会・日本慢性期医療協会・全国自治体病院協議会)は、2024年度診療報酬改定後の病院の経営状況について、各会員を対象に、緊急調査を実施した。  1816病院から得た回答の結果、医業利益(営業利益)が赤字病院の割合は69.0%、経常利益の赤字病院の割合は61.2%となったことが分かった。  同調査では、その要因として①人件費・物価の高騰②医療費価格③利益悪化による赤字の拡大を挙げている。...

1週間無料でお試し購読ができます  詳しくはここをクリック

新着記事は1カ月無料で公開

有料記事は990円(税込)で1カ月読み放題

*1年間は1万1000円(同)

〈新着情報〉〈政策・審議会・統計〉〈業界の動き〉は無料

【アーカイブ】テーマ特集/対談・インタビュー

コラム一覧

【アーカイブ】現場ルポ/医療介護ビジネス新時代

アクセスランキング(10月20-26日)

  • 1位
  • 2位
  • 3位 90% 90%
メディカ出版 医療と介護Next バックナンバーのご案内

公式SNS