ネスレヘルスサイエンスカンパニー(神戸市)は、経口栄養補助食品(ONS)を活用すると、通常の介護に比べデイサービス利用者1人当たりの利用期間が15カ月間増加し、総売り上げに相当するLife Time Value(顧客生涯価値)が99万7500円増加するとの推計結果を発表した。
12月7~8日に神戸商工会議所会館で開催された「日本デイケア学会第29回年次大会兵庫大会」で発表した。
デイサービスの半数近くは赤字で、利用率の低下が赤字の一因であると報告されている。同社の研究結果から、デイサービスを利用する高齢者の27.2%が低栄養もしくは低栄養のリスクがあることが確認されている。
そこで、同社は早期の栄養評価・栄養介入によるデイサービス利用継続率向上が、介護事業者の運営コストにどのような影響を与えるか検討した。
同社のこれまでの研究結果から、低栄養もしくは低栄養リスクのある利用者がONSを継続摂取することで、体重・BMI・握力・ふくらはぎ周囲長が摂取前と比べ有意に増加することが確認されている。
これらの利用者がONSを継続摂取することで、通常の食事提供のみを継続した場合に比べ、入院や入所などによるデイサービスの利用中止率が減少する。
この結果、デイサービスの利用中止による損失額はONSを活用した介護では1月あたり4万2560円、通常の介護では1月あたり8万5120円となり、利用者の補填を考慮しない場合、1年後には約50万円、事業者の収支に差が出ると推察される。