花王・佐賀大学・筑波大学の研究グループは、高齢女性にとって尿ケア用紙パンツの吸収体が薄いほど歩行安定性が向上し、歩行時の身体のふらつきが軽減することを明らかにした。
研究は66~75歳(平均70歳)の健常高齢女性15人を対象に、吸収体の厚さが異なる3種類の紙パンツ(7mm、12mm、16mm)を使用してもらい、歩行動作を解析した。
評価はシート式圧力センサーによる歩幅や歩隔、歩行速度などの計測、無線型筋電計による歩行中の左右腓腹筋の筋力変化の計測、マーカーレス3次元動作解析装置による左右膝関節や左右つま先など全身33カ所の評価点の動作の解析の3つの方法で行った。
この結果、吸収体が薄いほど、左右の足運びのバランスが良くなり身体が安定するので歩隔が狭くなる、左右の足の最大筋力が均等に近づく、高齢者に特徴的な歩行時の身体のふらつきが軽減することが分かった。
また、はき心地や歩きやすさなどの心理面でも、吸収体が薄いほど違和感が減り、装着感が良くなることを確認した。
今後、この知見を高齢者向け紙パンツ開発へと応用することで、高齢者の転倒やフレイル予防対策に貢献する。