厚生労働省は5月24日、「外国人雇用対策の在り方に関する検討会」に、中間取りまとめに向けた骨子案を提示した。この日も含め5回の検討会で関係者から行ったヒアリングや検討会のメンバーからの意見などを踏まえ、課題と対応の方向性を示した。
コロナ禍での外国人労働者の困窮状況は、行政サービスへのアクセスなど複合的な要因が重なって発生していることから、外国人を支援するNPO法人や事業協同組合・企業組合などとハローワークが連携する必要があり、ハローワークでは多言語相談体制の整備、地域コミュニティ・学校などを通じた各種情報の発信などを強化する。
また、職場・地域での定着には、受け入れから考えることが重要で、外国人と日本人がより働きやすい職場を構築していくため、ハローワークが支援ツールを活用した雇用管理改善指導・援助を行う。
さらに、国内企業への就職を希望する留学生の半分程度しか国内就職できていないことから、大学とハローワークとの連携協定の締結などで、留学生の国内就職を促進する。
なお、骨子案の議論に先立ち、外国人スタッフへの日本語コミュニケーション研修や、外国人雇用企業への社内コミュニケーション研修などを行っている内定ブリッジの淺海一郎代表取締役からヒアリングを行った。
淺海代表取締役は、外国人にとっては言葉の裏にある意図や文化、日本の商習慣が分からず、価値観・行動規範が異なるため、学校で学ぶ日本語とオフィスの日本語には大きな差があると指摘。外国人に日本語のスキルアップを求める一方、日本人には伝わらない日本語をどう伝えるかを研修する必要があるとして、受け入れ側の環境整備を図る重要性を強調した。
ただ、日本企業の3割が外国人向けのマニュアル作成をつくる意思がなく、日本人の意識改革を行う考えもないとのアンケート結果を紹介し、外国人が日本で就職し定着するには、こうした企業の意識が変わる必要があることも指摘した。