中央社会保険医療協議会(厚労相の諮問機関)の調査実施小委員会が1月13日に開催され、診療報酬改定の基礎資料となる医療経済実態調査について議論した。
同調査では診療報酬改定前後2年度の損益状況の変化を把握することを目的に行うが、2020年度は新型コロナの影響を大きく受けているため、19年度と単純に比較しても、20年度の診療報酬改定の影響を把握することが難しい。そこで、影響が比較的少ないと思われる月単位で比較する、単月調査を加える案を厚労省が提案した。
これに対し、診療側委員からは、どの月を選んでも影響をまぬかれないことや月単位の収支を算定することが困難なこと、さらには通常の調査でも回答率が5割強であるのに、さらに調査項目を増やすことで回答率が下がる可能性があることなどから、単月調査をすべきではないとの意見が出された。
これらの意見について、厚労省から実際に行うか否かは今後決めることにして、準備だけは進めたいとの考えが示された。また、支払側委員からは通常の調査は不可能だとして、単月調査を実施すべきとの意見が述べられた。
医療経済実態調査については、有効回答率が低いことが課題となっている。この日の会合では、前回調査で非回答施設から寄せられた理由として「業務多忙」「任意の調査には協力しない」「調査内容が複雑」といったものが多いことが紹介された。
また、調査内容・方法等についての意見・要望では「調査内容が難しいので簡素化してほしい」「損益、資産・負債等を施設単位で算出することが困難」が多かった。
そこで同省では、これまで協力してもらった医療機関などに行っていた経営状況のフィードバックの提供を事前に伝えることや、前回調査から導入した電子調査票の利用を促すこと、さらに医療法人の事業報告書などを活用する方法を検討することで、有効回答率を向上させていく方針が示された。