後期高齢者医療の2割負担 対象所得で5案提示

2020年 11月 20日

 厚生労働省は11月19日に開催した社会保障審議会(厚労相の諮問機関)医療保険部会で、後期高齢者の医療費の窓口負担の引き上げについて、対象となる所得基準で5つの案を提示した。

第134回医療保険部会

 後期高齢者の負担割合は現在、3割負担となっている課税所得が145万円以上の現役並み所得層(後期高齢者の約7%)を除くと、1割負担となっている。このうち世帯全体が住民税非課税の低所得層を除く、一般層を対象に負担を2割に引き上げる方針が示されている。

 厚労省は一般層のうち2割負担となる層を、所得を基準として①介護保険の2割負担の対象者の割合(上位20%)と同等の本人収入240万円以上(現役並み区分を除くと上位13%、約200万人)②現行2割負担である70~74歳の平均収入額(約218万円)を上回る同220万円以上(同18%、約285万人)③平均的な収入で算定した年金額(単身187万円)を上回る同200万円以上(同23%、約370万人)④本人に課税の対象となる所得がある同170万円以上(同31%、約520万人)⑤本人に住民税の負担能力が認められる同155万円以上(同37%、約605万人)の5つに分類し、選択肢として挙げた。

 また、75歳以上の高齢者は、ほぼすべてが外来受診しており、そのうち5割弱が毎月受診している。窓口負担の2割引き上げの影響を受ける人の多くが外来受診者であり、2割負担とした場合、約6割の人が高額療養費の限度額に該当せず負担が2倍となる。

 そこで、長期にわたる外来受診について、急激な負担増を抑制するため、2割負担になる人の外来受診の負担増加額を、最大の場合の月9000円の半分である月4500円とする、2年間の経過措置を設ける案も提示した。この措置の対象となる人は、2割負担となる人の約6割になる。

 この日の会合では、5案のうち①の介護保険の2割負担の人は、本人収入が280万円以上なので、整合性がないとの意見が複数の委員から出された。また、一般層全体(約945万人)を選択肢に入れるべきとの意見や、②が妥当とする意見を複数の委員が述べていた。 

 前回の会合同様、経済界や保険者などの委員は、現役世代への負担減や医療保険制度の持続可能性などの観点から2割負担への引き上げを求め、医療関係者や老人団体の委員は、受診控えにより重度化し、かえって医療費が増加するなどの理由で反対の意見を述べたため、結論は次回以降に持ち越された。

 なお、この日の会合では、大病院への患者の集中を防ぎ、かかりつけ医機能を強化するため、大病院で紹介状なしに受診する場合、初診料に5000円を上乗せする定額負担を、7000円以上に引き上げるとともに、対象病院を拡大する案も示された。

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2割負担は先送り 介護保険部会が「意見」

 第133回社会保障審議会介護保険部会が12月25日に開かれ、「介護保険制度の見直しに関する意見」が確定した。
 
 議論が続いた「一定以上所得」の判断基準については、第10期介護保険事業計画(2027~29年度)の開始前までに結論を得ることとなった。
 
 これは利用者負担が2割となる基準で、現行制度では年金収入+その他の合計所得が年280万円以上340万円未満である(単身世帯の場合)。340万円以上は「現役並み所得」とされ、3割負担だ。
 
 介護保険制度の持続可能性確保のためにその基準を拡大し、2割・3割負担となる層を広げるかどうか。
 
 具体的には、「一定以上所得(2割負担)」の下限を260万円~230万円の範囲で引き下げる案が示され、長く議論されてきたが、決着には至らなかった。「現役並み所得」の判断基準は「引き続き検討を行う」と、期限も示されなかった。
 
 そのほか、軽度者への生活援助サービスを給付から切り離して総合事業に移行する案も結論は出ず、「引き続き包括的に検討する」となった。

制度見直しの議論続く 介護保険部会

 第132回社会保障審議会介護保険部会が12月22日に開かれ、前回に続き「介護保険制度の見直しに関する意見(案)」などが議論された。
 
 今回提示された案では、「一定以上所得の判断基準」について、これまで同様、年金収入+その他の合計所得を「年260万円~230万円の範囲」とした。まだ具体的な方向は見えない。委員の中には「2割負担の対象を拡大すべきでない」との意見も根強い。
 
 「拡大すべきでない」論者の意見は、
 
 ・医療ではOTC類似薬への新たな負担など、高齢者の負担増が確実。介護でも負担増は避けるべき
 
 ・負担増から利用控えが起こると、子世代にしわ寄せがくる。介護離職が増えるのでは
 
 ・現役世代の負担軽減は重要だが、サービスを使えなくなった親を子が援助すれば結局子の負担は増える
 
 などがある。持続可能性を高めるには被保険者の範囲や公費負担も見直すべき、との意見もあった。

2割負担、ケアマネジメントの在り方は 部会

 第131回社会保障審議会介護保険部会が12月15日に開かれ、「介護保険制度の見直しに関する意見(案)」などが議論された。
 
 「介護保険制度の見直しに関する意見」は2022年12月に“第1弾”が公表されている。このとき結論が出されなかった、〈「一定以上所得」「現役並み所得」の判断基準〉〈補足給付の在り方〉〈ケアマネジメントに関する給付の在り方〉〈軽度者への生活援助サービスに関する給付の在り方〉などについて、これまで部会で議論が続けられた。
 
 これらは「次期計画に向けて得ることが適当」「第10期計画の開始までに出すのが適当」「引き続き検討」とされた。次期計画とは現在の第9期(2024-26年度)、第10期は27-29年度である。
 
 「一定以上所得の判断基準」は「次期計画に向けて」だったが、まだ決着していない。2割負担の拡大、すなわち適用される所得の引き下げにつながることから、反対意見が根強かった。現行制度では、2割負担となる所得基準は年280万円以上だ。これをどこまで引き下げるか。年260万円~230万円の範囲が提案されている。
 
 引き下げ幅が大きいほど、2割負担となる人は増える。ただ引き下げと同時に「配慮措置」も提案されている。①新たに負担増となる場合、増加の上限を月額7000円とする、②預貯金等が一定額以下の人は申請により1割負担に戻す、の2つだ。

訪問介護の倒産止まらず 報酬引き下げなど響く

 東京商工リサーチの調査によると、訪問介護事業者の2025年の倒産(負債1000万円以上)が11月末までに85件に達し、これまで最多だった23年67件、24年81件をすでに超え、3年連続で最多を更新した。  人手不足や24年度の介護報酬改定で訪問介護の基本報酬が引き下げられたことに加え、人件費やガソリン代、運営コストの上昇が要因と見込まれる。  25年の訪問介護事業者の倒産は11月末までに85件(前年81件)で、3年連続で年間最多を更新した。...

2割負担対象も預貯金に応じ1割の案 部会

 第130回社会保障審議会介護保険部会が12月1日に開かれ、「持続可能性の確保」「論点ごとの議論の状況」などが議論された。
 
 今回、「持続可能性の確保」は
 
 ●「一定以上所得」「現役並み所得」の判断基準
 ●補足給付に関する給付の在り方
 ●ケアマネジメントに関する給付の在り方
 
 の3つの論点に絞って議論された。
 
 「一定以上所得」「現役並み所得」の「一定以上」とは、介護保険サービス利用時の自己負担を2割とする所得層で、「現役並み」とは自己負担3割の所得層だ。簡単にいえば所得の多い人は自己負担も多く、という応能負担の考え方に基づく施策である。現行の「一定以上所得」「現役並み所得」の基準は以下の通り。

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