厚生労働省の中央社会保険医療協議会(厚労相の諮問機関)は10月28日、総会を開催し、医薬品などの費用対効果評価の実施範囲・規模の拡大などが論点として示されたが、現状ではまだ評価結果が得られていないことから、まずは実績を積み重ねていくことや分析体制の強化を求める意見が出されていた。
費用対効果評価制度は昨年度から運用が開始された。市場規模が大きいか、著しく単価が高い医薬品・医療機器を対象に、企業による分析・公的分析、総合的評価を経て、費用対効果の悪い品目は価格を引き下げ、医療費の減少につながる品目などは価格を引き上げる。現在、12品目が選定されて分析が行われているが、まだ評価結果が出ている品目はない。
このため、委員からは体制強化により、分析できる品目数を拡大し、実績が蓄積された後に、現行の仕組みの妥当性を検証する必要があることが先決などの意見が出されていた。
なお、委員から指摘のあった分析体制の強化については、公的分析の実施主体である国立保健医療科学院保健医療経済評価研究センターの担当者を6人から8人に増員しており、実際に公的分析作業を行う機関としては、当初の聖路加国際大学と立命館大学に、今年度から慶応義塾大学が加わった。さらに、企業における分析体制の強化も重要なことから、慶応大学に今年度から医療経済評価(HTA)コースが設けられており、6月時点で51人が参加し、1年半で全単位を取得できることになっている。