新型コロナ感染症に関する診療報酬の臨時的取り扱いなどを議論したが承認は得られなかった
中央社会保険医療協議会(厚労相の諮問機関)は8月19日、第464回総会を開催し、新型コロナ感染症に関する診療報酬上の臨時的取り扱いについて議論した。厚労省から実績要件に関する臨時的取り扱いなどに関する提案が示され、診療側委員は賛成したものの、支払側委員が了承しなかったため、会長預かりとなった。
厚労省案では、基本診療料のうち、年間の手術件数など一定期間の実績を求める要件について、新型コロナ感染症患者を受け入れた医療機関は、要件を満たさなくても、引き続き施設基準を満たしているものとして取り扱うこととする。また、職員が新型コロナウイルス感染症に感染、あるいは濃厚接触者となって出勤ができない医療機関も、新型コロナ感染症患者受け入れ医療機関と同様の取扱いとする。
緊急事態宣言の期間は、外出自粛要請などによる患者の受療行動の変化により、施設基準を満たすことができなくなる可能性があることから、全ての医療機関を新型コロナ感染症患者受け入れ医療機関とみなし、緊急事態宣言の対象が一部の都道府県であっても、対象は全ての都道府県とする。
さらに、今年度の診療報酬改定で要件が見直された一部の項目については、経過措置が設けられているが、このうち患者の診療実績に関する要件について、来年3月31日までは、今年3月31日時点で届け出ていた区分を引き続き届け出てよいこととする。ただし、患者の受け入れ実績などと関係しない事項は、経過措置の期限を9月30日までとし、実績などの評価方法も同日までとするとした。
こうした提案をめぐり、支払側委員から「受け入れ機関と職員が出勤できない機関を同様の対応をするのは理屈がつかない。また、地域によって相違がある中で、どうして対象を全ての都道府県とするのか。経過措置の延長についても、どれくらいの医療機関が要件を満たせないのか、エビデンスがないため判断できない」との意見が出され、事務局案を保留する考えを示した。
これに対し、事務局は「全国でどれくらいができている、できていないということではなく、コロナの影響があるという前提の中で、さまざまな影響にどう対応をするのかという、いわば『定性的』な考え方に基づき提案している」と説明した。
また、診療側委員は「地域ごとに違いはあるだろうが、地域が連続していることや患者の動線も県をまたいでいることから、全国一律で考えることが妥当」「コロナ感染症患者を受け入れた病院と職員が感染した病院を同様に扱うことについては、1人でも院内感染が出た場合は1病棟を閉め、他の病棟から職員を配置しなければならない」などと述べ、臨時的取り扱いや経過措置への理解を求めたが、支払側委員が納得しなかったため、会長預かりとすることになった。