新型コロナ診療報酬の取り扱い決着せず 中医協

2020年 8月 20日

中医協トップ用サイズ変更

新型コロナ感染症に関する診療報酬の臨時的取り扱いなどを議論したが承認は得られなかった

 中央社会保険医療協議会(厚労相の諮問機関)は819日、第464回総会を開催し、新型コロナ感染症に関する診療報酬上の臨時的取り扱いについて議論した。厚労省から実績要件に関する臨時的取り扱いなどに関する提案が示され、診療側委員は賛成したものの、支払側委員が了承しなかったため、会長預かりとなった。

 厚労省案では、基本診療料のうち、年間の手術件数など一定期間の実績を求める要件について、新型コロナ感染症患者を受け入れた医療機関は、要件を満たさなくても、引き続き施設基準を満たしているものとして取り扱うこととする。また、職員が新型コロナウイルス感染症に感染、あるいは濃厚接触者となって出勤ができない医療機関も、新型コロナ感染症患者受け入れ医療機関と同様の取扱いとする。

 緊急事態宣言の期間は、外出自粛要請などによる患者の受療行動の変化により、施設基準を満たすことができなくなる可能性があることから、全ての医療機関を新型コロナ感染症患者受け入れ医療機関とみなし、緊急事態宣言の対象が一部の都道府県であっても、対象は全ての都道府県とする。

 さらに、今年度の診療報酬改定で要件が見直された一部の項目については、経過措置が設けられているが、このうち患者の診療実績に関する要件について、来年331日までは、今年331日時点で届け出ていた区分を引き続き届け出てよいこととする。ただし、患者の受け入れ実績などと関係しない事項は、経過措置の期限を930日までとし、実績などの評価方法も同日までとするとした。

 こうした提案をめぐり、支払側委員から「受け入れ機関と職員が出勤できない機関を同様の対応をするのは理屈がつかない。また、地域によって相違がある中で、どうして対象を全ての都道府県とするのか。経過措置の延長についても、どれくらいの医療機関が要件を満たせないのか、エビデンスがないため判断できない」との意見が出され、事務局案を保留する考えを示した。

 これに対し、事務局は「全国でどれくらいができている、できていないということではなく、コロナの影響があるという前提の中で、さまざまな影響にどう対応をするのかという、いわば『定性的』な考え方に基づき提案している」と説明した。

 また、診療側委員は「地域ごとに違いはあるだろうが、地域が連続していることや患者の動線も県をまたいでいることから、全国一律で考えることが妥当」「コロナ感染症患者を受け入れた病院と職員が感染した病院を同様に扱うことについては、1人でも院内感染が出た場合は1病棟を閉め、他の病棟から職員を配置しなければならない」などと述べ、臨時的取り扱いや経過措置への理解を求めたが、支払側委員が納得しなかったため、会長預かりとすることになった。

このカテゴリーの最新の記事

このカテゴリはメンバーだけが閲覧できます。このカテゴリを表示するには、年会費(年間購読料) もしくは 月会費(月間購読料)を購入してサインアップしてください。

2040年度に介護職員数が約57万人不足 厚労省推計

 厚生労働省の推計によると、65歳以上の高齢者数がピークを迎える2040年度に必要な職員数は約272万人で、現状のままでは約57万人不足することが分かった。26年度に必要な職員数は約240万人で同約25万人不足する。
 
22年度の介護職員数は約215万人。40年度に必要な職員数を確保するには…

この記事は有料会員のみ閲覧できます。

訪問看護ステーション数が過去最多に 全訪看

 全国訪問看護事業協会がまとめた4月1日現在の全国の訪問看護ステーションの稼働数は1万7329カ所で、前年に比べ1632カ所(12.3%)増加して過去最高となった。
 
 2023年度中に新規に開設された事業所数は2437カ所で、同469カ所(23.8%)増えた。訪問看護ステーション数は10年度以降、右肩上がりで増加しており…

新たな介護予防サービスを3区で開始 横浜市

 横浜市はフレイルを予防・改善し、多くの高齢者が自立した生活を続けられることを目的に6月から新たな介護予防サービスを南・栄・泉の3区で開始した。
 
 健診データ・診療データ・要介護認定情報またはフレイルチェックシートを活用し、フレイルなどの高齢者を把握する。身体機能や栄養状態、口腔機能の低下が懸念される人に介護予防サービス利用の案内を送付。個人の状態に合わせて…

子どものいる世帯2割弱 1人暮らしが過去最多に

 厚生労働省の「2023(令和5)年国民生活基礎調査」によると、昨年6月1日時点の全国の世帯総数は5445万 2000世帯で、このうち1人暮らしの世帯が1849万5000世帯で全世帯の34.0%を占め、調査を開始した1986年以来、過去最多となったことが分かった。  18歳未満の子どもがいる世帯は983万5千世帯で、全世帯の 18.1%。世帯数・割合とも過去最少だった。  高齢者世帯は 1656 万世帯(全世帯の...

1週間無料でお試し購読ができます  詳しくはここをクリック

新着記事は1カ月無料で公開

有料記事は990円(税込)で1カ月読み放題

*1年間は1万1000円(同)

〈新着情報〉〈政策・審議会・統計〉〈業界の動き〉は無料

【アーカイブ】テーマ特集/対談・インタビュー

コラム一覧

【アーカイブ】現場ルポ/医療介護ビジネス新時代

アクセスランキング(7月15-21日)

  • 1位
  • 2位
  • 3位 90% 90%
メディカ出版 医療と介護Next バックナンバーのご案内

公式SNS