PCR検査の保険適用検討 非コロナの入院患者も

2020年 4月 24日

 中央社会保険医療協議会(中医協、厚労相の諮問機関)の第456回総会が424日、開催され、新型コロナウイルス感染症以外で入院する患者に対し、医師が必要と判断してPCR検査を行った場合にも保険適用を検討する方針を示した。また、事務局が提案した在宅医療や訪問看護ステーションなどの特例措置を承認した。初めてオンラインで開催され、YouTubeで公開した。

 総会では、城守国斗・日本医師会常任理事から、無症状でも新型コロナウイルスに感染している患者がいる可能性があるとして、「病院でのクラスターを避けるため、入院する非コロナウイルス感染症患者へのPCR検査に保険適用があってもいいのではないか」との意見が出された。

 事務局はこれに対し、知見を得て検討したいと回答したが、吉森俊和・全国健康保険協会理事が「検討している時間はないのでは」と述べ、早期に結論を出すよう求めた。

 一方、新型コロナウイルスの感染が拡大する中、患者や家族、施設などから医療機関や訪問看護ステーションに対し、訪問を控えるよう求めるケースが出てきている。

 このため、在宅医療に関しては、3月に月2回訪問診療を行っていた場合、4月は訪問診療1回と電話などの診療1回、あるいは2回の電話などの診療でも、月2回訪問の在宅時医学総合管理料(在医総管)と施設入居時等医学総合管理料(施設総管)を算定可能とした。

 5月以降については、5月に限り訪問診療1回と電話などの診療1回で同様の算定が行えるが、それ以降は訪問診療1回と電話などの診療1回となった場合、診療計画を変更し、月1回訪問の管理料を算定する。

 3月に月1回訪問診療を行っていた場合は、4月は電話などの診療でも月1回訪問の在医総管などを算定できるが、5月以降は通常通りの取り扱いとする。

 なお、新型コロナウイルスの感染症患者あるいは感染が疑われる患者に対し、往診などを実施する場合、必要な感染予防策を講じると、院内トリアージ実施料(300点/回)を加算できる。

 訪問看護ステーションに関しては、月に1日訪問看護を行った上で、電話などにより病状確認や療養指導を行った場合、訪問看護管理療養費の算定が可能となる。さらに、新型コロナウイルス感染症患者あるいは感染が疑われる患者に対して訪問看護を行う場合、必要な感染予防策を講じて看護を行うと、特別管理加算(2500円/月)を加算できるとした。

 訪問薬剤管理指導では、電話や情報通信機器で薬歴管理や服薬指導、服薬支援、薬剤服用状況、薬剤保管状況、残薬の有無の確認などを実施した場合、訪問薬剤管理指導の代わりに薬剤服用歴管理指導料を算定できる。

 また、歯科診療についてもオンライン診断を認め、歯科医師が電話などでの診療が可能と判断した場合、初診料として185点を算定。電話などでの診療を行う前に歯科疾患管理料・歯科特定疾患療養管理料を算定していた患者に対し、電話などで診療・処方・医学管理などを行う場合は、管理料として55点を算定可能になった。

 緊急事態宣言で指定された特定都道府県が開設する臨時の医療施設については、結核病棟入院基本料を準用することとし、各種加算については通常通りの施設基準・算定要件とした。自治体がホテルなどを臨時の医療施設とする場合でも、基本的な入院医療の体制が整えられていれば算定の対象となる。

このカテゴリーの最新の記事

このカテゴリはメンバーだけが閲覧できます。このカテゴリを表示するには、年会費(年間購読料) もしくは 月会費(月間購読料)を購入してサインアップしてください。

24年の介護事業者の倒産過去最多 半数が訪問介護🆕

 東京商工リサーチの調査によると、2024年の介護事業者の倒産が過去最多の172件(前年比40.9%増)に達したことがわかった。これまで最多だった2022年の143件を29件上回った。
 
 ヘルパー不足や集合住宅型との競合、基本報酬のマイナス改定などが影響した訪問介護が過去最多の81件、多様化したニーズに対応できなかったデイサービスも過去2番目の56件、有料老人ホームも過去最多の18件といずれも増加している。
 
 介護事業者の倒産は16年に年間100件を超えた。コロナ禍で利用控えなどにより増加し、コロナ関連支援で21年は一時的に減少したが…

23年度の介護施設の高齢者虐待が過去最多 厚労省

 厚生労働省の調査によると、2023年度の介護施設の職員らによる高齢者への虐待は1123件(前年度比31.2%増)で3年連続増加し、過去最多となった。同省は12月7日、高齢者施設などの関係団体に対し、虐待防止策を徹底するよう要請した。  虐待の種別(複数回答、以下同)では「身体的虐待」(51.3%)が最も多く、「心理的虐待」(24.3%)、「介護等放棄」(22.3%)、「経済的虐待」(18.2%)と続き、性的虐待も2.7%あった。...

今後の検討事項を提示 第116回介護保険部会

 12月23日、第116回社会保障審議会介護保険部会が開かれ、「主な検討事項(案)について」「介護保険をめぐる状況について」などが議論された。  同部会が2022年12月に公表した「介護保険制度の見直しに関する意見」をふまえ、今後の検討テーマとして  ①地域包括ケアシステムの推進  ②認知症施策の推進・地域共生社会の実現  ③介護予防・健康づくりの推進  ④保険者機能の強化  ⑤持続可能な制度の構築、介護人材確保・職場環境改善 の5つが提案され、了承された。委員の意見を以下に紹介する。...

包括ケア型の高齢者住宅・施設などが76万戸不足

 タムラプランニングアンドオペレーティングは「自治体別高齢者住宅・施設等の需給予測データ2024年度版」を発行した。  47都道府県と政令指定都市(20市)・中核市(62市)・首都圏(109市)関西圏(73市)の全市、東京23区がとりまとめた介護保険事業支援計画と介護保険事業計画から、要介護者向け高齢者住宅・施設など(包括ケア居室)を供給量として把握し、この地域に住む要介護3以上の認定者数を需要量として、供給と需要の差に着目して推計した。...

情報二次利用など議論 第115回介護保険部会

 12月10日、第115回社会保障審議会介護保険部会が開かれ、「医療等情報の二次利用に係る現状と今後の対応方針について」「要介護認定の認定審査期間について」「ケアマネジメントに係る諸課題に関する検討会の中間整理について」などが議論された。
 
 現在、医療DXが推進され、「全国医療情報プラットフォーム」の構築や電子カルテ導入、電子カルテ情報の標準化などが掲げられている。得られた情報については「医療介護の公的データベースの利活用を促進するとともに、研究者、企業等が質の高いデータを安全かつ効率的に利活用できる基盤を構築する」(骨太の方針2024)など、実用化に向けた議論が各所で行われている。
 
 医療・介護関係のデータベース、現行ではNDB・介護DB・DPCDB・障害福祉DB・予防接種DB…ジャンル別にと独立している。これらをクラウド上の…

1週間無料でお試し購読ができます  詳しくはここをクリック

新着記事は1カ月無料で公開

有料記事は990円(税込)で1カ月読み放題

*1年間は1万1000円(同)

〈新着情報〉〈政策・審議会・統計〉〈業界の動き〉は無料

【アーカイブ】テーマ特集/対談・インタビュー

コラム一覧

【アーカイブ】現場ルポ/医療介護ビジネス新時代

アクセスランキング(1月6-12日)

  • 1位
  • 2位
  • 3位 90% 90%
メディカ出版 医療と介護Next バックナンバーのご案内

公式SNS