急性期入院料見直しで公益委員が裁定 中医協

2024年 1月 31日

 中央社会保険医療協議会(厚生労働相の諮問機関)は1月31日、来年度の診療報酬改定に向けた個別項目の議論を行い、急性期一般入院料1における平均在院日数の基準と重症度、医療・看護必要度の評価項目の見直しに関して、支払側委員と診療側委員の間で意見が真っ向から対立したため、公益委員が仲裁案を示し了承された。

 支払側委員からは、人口減少と高齢化が進む中で、病床機能の分化や強化を推進する必要があることから、急性期一般入院料の基準を14日以内とすべきとの意見が出された。
 重症度、医療・看護必要度については、これまでの議論の中で示された4つの見直し案のうち、救急搬送後の入院・緊急に入院を必要とする評価日数を1日としたり、該当患者の割合をさらに引き上げたりする最も変化の大きい案にすることを求めた。

 これに対し、診療側委員からは、重症度、医療・看護必要度の見直し案は医療機関の裁量の幅を狭め、しかもコロナ特例が終了した10月以降、急性期病院の経営は厳しくなっているとして、4つの見直し案の中で最も変化の小さい案より、さらに影響が小さい見なしを検討すべきとした。

 平均在院日数の基準に関しては、現行の18日から変更するべきではないとするとともに、重症度、医療・看護必要度の当該患者割合の基準も慎重に検討すべきと主張した。

 公益委員はこれらの意見を基に検討を行い、平均在院日数の基準を16日以内とした上で、重症度、医療・看護必要度の見直し案については、評価日数を2日とし、最も変化による影響の小さい案を採用した。

 また、該当患者割合については、基準を2つに分けた上で、①治療・処置に関するA項目が3点以上または手術に関するC項目が1点以上の患者が20%、②Aが2点以上またはCが1点以上の患者の割合が27%、とする案を提示した。

 この公益裁定案を支払側委員・診療側委員ともに了承したが、支払側委員を代表する長島公之・日本医師会常任理事は「最近の公益委員の発言からは、裁定を安心して委ねにくいと実感している」と不満を述べた。

このカテゴリーの最新の記事

このカテゴリはメンバーだけが閲覧できます。このカテゴリを表示するには、年会費(年間購読料) もしくは 月会費(月間購読料)を購入してサインアップしてください。

訪問介護事業者の倒産が10月で年間最多上回る🆕

 東京商工リサーチによると、介護事業者(老人福祉・介護事業)の倒産が1-10月で145件発生し、これまで年間最多だった2022年の143件を上回り、2カ月残して過去最多を記録した。  業種別では、訪問介護72件で23年の67件を抜いて過去最多となった。ヘルパー不足や燃料代などの運営コスト上昇に加え、24年の介護報酬マイナス改定の影響が出ている可能性がある。  訪問介護以外では、通所・短期入所が48件、有料老人ホームが11件、その他が14件だった。...

23年度の介護保険費用の総額は11兆5139億円

 厚生労働省によると、介護給付費と自己負担額を合わせた2023年度の介護保険費用の総額は11兆5139億円で、前年度に比べ約3227(2.9%)増え過去最多となった。  介護サービス費は11兆2146億円で、同3066億円(2.8%)増、介護予防サービス費は2993億円で同161億円(5.7%)増えた。  受給者数は介護サービスが566万6500人で同7万4900人(1.3%)の増加、介護予防サービスは124万4600人で同5万9900人(5.4%)増えている。...

高齢者数が過去最多、高齢化率は200カ国中最高に

 総務省がまとめた65歳以上の高齢者人口推計によると、「敬老の日」の9月15日時点の高齢者数は3625万人で過去最多となった。総人口に占める割合は29.3%で過去最高となっている。  総人口が前年に比べ59万人減少しているのに対し、65歳以上人口は2万人増加した。この結果、総人口に占める割合は前年に比べ0.2ポイント増加した。  総人口に占める65歳以上人口の割合の推移をみると、1950年(4.9%)以降、一貫して上昇しており、1985年に10%、2005年に20%を超えていた。...

「高齢社会対策大綱」決定 医療費負担拡大を検討

 政府は6月13日、2018年以来6年ぶりの改定となる「高齢社会対策大綱」を閣議決定。75歳以上の後期高齢者の医療費について、窓口負担が3割となる対象範囲の拡大を検討する方針を示した。  後期高齢者の窓口負担は現在、原則1割、一定の所得があれば2割、現役並みの所得があれば3割負担となっている。これを、年齢にかかわりなく、能力に応じて支え合うという観点から、3割負担の対象の拡大を検討することになった。...

6月の訪問介護事業所の廃業が前年に比べ1割増

 厚生労働省の調査によると、6月の訪問介護事業所の廃業数が前年同月に比べ1割増加していることが分かった。4月の介護報酬改定で訪問介護の基本報酬が引き下げられたことも一因と見られそうだ。  都道府県・政令市・中核市129自治体に照会し、126自治体から回答を得た。その結果、廃止事業所数は133で、前年同月の119から11.8%増加した。...

1週間無料でお試し購読ができます  詳しくはここをクリック

新着記事は1カ月無料で公開

有料記事は990円(税込)で1カ月読み放題

*1年間は1万1000円(同)

〈新着情報〉〈政策・審議会・統計〉〈業界の動き〉は無料

【アーカイブ】テーマ特集/対談・インタビュー

コラム一覧

【アーカイブ】現場ルポ/医療介護ビジネス新時代

アクセスランキング(11月11-17日)

  • 1位
  • 2位
  • 3位 90% 90%
メディカ出版 医療と介護Next バックナンバーのご案内

公式SNS