中央社会保険医療協議会(厚生労働相の諮問機関)は1月31日、来年度の診療報酬改定に向けた個別項目の議論を行い、急性期一般入院料1における平均在院日数の基準と重症度、医療・看護必要度の評価項目の見直しに関して、支払側委員と診療側委員の間で意見が真っ向から対立したため、公益委員が仲裁案を示し了承された。
支払側委員からは、人口減少と高齢化が進む中で、病床機能の分化や強化を推進する必要があることから、急性期一般入院料の基準を14日以内とすべきとの意見が出された。
重症度、医療・看護必要度については、これまでの議論の中で示された4つの見直し案のうち、救急搬送後の入院・緊急に入院を必要とする評価日数を1日としたり、該当患者の割合をさらに引き上げたりする最も変化の大きい案にすることを求めた。
これに対し、診療側委員からは、重症度、医療・看護必要度の見直し案は医療機関の裁量の幅を狭め、しかもコロナ特例が終了した10月以降、急性期病院の経営は厳しくなっているとして、4つの見直し案の中で最も変化の小さい案より、さらに影響が小さい見なしを検討すべきとした。
平均在院日数の基準に関しては、現行の18日から変更するべきではないとするとともに、重症度、医療・看護必要度の当該患者割合の基準も慎重に検討すべきと主張した。
公益委員はこれらの意見を基に検討を行い、平均在院日数の基準を16日以内とした上で、重症度、医療・看護必要度の見直し案については、評価日数を2日とし、最も変化による影響の小さい案を採用した。
また、該当患者割合については、基準を2つに分けた上で、①治療・処置に関するA項目が3点以上または手術に関するC項目が1点以上の患者が20%、②Aが2点以上またはCが1点以上の患者の割合が27%、とする案を提示した。
この公益裁定案を支払側委員・診療側委員ともに了承したが、支払側委員を代表する長島公之・日本医師会常任理事は「最近の公益委員の発言からは、裁定を安心して委ねにくいと実感している」と不満を述べた。