中央社会保険医療協議会(厚生労働相の諮問機関)は11月29日、かかりつけ医による認知症対応力を向上するため、医療・ケアに関する研修を受講していることを地域包括診療料・加算の施設基準の要件とすることについて議論し、診療側委員と支払側委員で意見が分かれた。
診療側委員からは取り組みの重要性を認めつつ、「かかりつけ医認知症対応力向上研修」を修了した医師の配置割合が、全医療機関の3割にとどまっているとの調査結果を踏まえ、ただちに要件化することは実態と乖離しすぎているなどとして反対の意思が示された。
これに対し、支払側委員からは同研修の受講により知識・理解、対応・行動の全項目が改善し、研修を受けた医師が所属する施設でかかりつけ医機能を有していることが高いこと、介護との連携に積極的に取り組んでいることから、研修を要件化することに賛成する意見が述べられた。
また、入院医療機関での認知症対応をめぐり、身体拘束を実施した日は認知症ケア加算について減算する案が提示された。
診療側委員からは医療機関が置かれている厳しい状況や看護補助者が不足している中で、現場が疲弊して逆効果になる可能性があるとして反対した。
むしろ、現場で1カ月間、身体拘束が行われなかった病棟に対し、看護補助加算に関してプラスの評価をするという形なら検討する余地はあるとの意見が出された。
支払側委員からはすぐに身体拘束をゼロにすることは難しいとの診療側委員の事情を認めつつ、すべての医療機関が身体拘束の最小化に取り組むべきとの指摘がなされた。
この日の会合では、このほか医療機関での敷地内薬局の問題、薬剤師による在宅患者や高齢者施設などへの薬剤管理なども議論した。