東京商工リサーチの調査によると、今年上半期(1-6月)の介護事業者の倒産件数は81件(前年同期比50.0%増)で、介護保険法が施行された2000年以降、最多件数を更新した。これまでの最多はコロナ禍の2020年の58件だった。
業種別では、訪問介護が40件(同42.8%増)で最も多く、デイサービスなどの通所・短期入所が25件(同38.8%増)、有料老人ホームが9件(同125.0%増)で、主要3業種そろって上半期での最多を更新した。
倒産の理由としては、売上不振が64件(構成比79.0%)と約8割を占めた。利用者の獲得が進まず、介護報酬を十分に得られない事業者が多いことを示している。
また、従業員10人未満が63件(同77.7%)、資本金1000万円未満が71件(同87.6%)と小・零細規模の事業者が多い一方、負債1億円以上も20件(同24.6%)と前年同期7件から2.8倍に増えるなど、中規模の倒産も増えている。
倒産の理由としては、介護報酬の改定、人手不足、物価高の影響が考えられる。介護報酬は2024年度改定で全体として1.59%引き上げられたものの、訪問介護は基本報酬が引き下げられた。訪問介護以外でも想定ほど上がらなかったとの声が多いという。
人手不足に関しては、介護職員の処遇改善が進んでいるものの、他業種の賃上げが加速しているため、介護業界における人材獲得が難航。業績低迷で人員増が困難な介護事業者も多く、人手不足の解消が遅れる悪循環に陥っていると見らえる。
物価高については、ガソリン代や光熱費、介護用品などの価格上昇を価格転嫁できず、業績が悪化するケースも目立つとしている。