11月6日、第230回社会保障審議会介護給付費分科会が開催され、①令和6年度(2024年度)介護報酬改定に向けて「訪問介護・訪問入浴介護」「訪問看護」「訪問リハビリテーション」「居宅療養管理指導」「居宅介護支援」、②横断的事項の「介護人材の処遇改善等」「複合型サービス(訪問介護と通所介護の組み合わせ)」について議論した。
それぞれの主な論点は以下の通り。
訪問介護…看取り期の対応、同一建物の居住者にサービス提供する場合の報酬など
訪問看護…専門的ケアのニーズが高い利用者への対応、看取り体制の強化など
訪問リハ…リハにおける医療・介護連携の推進、認知症リハの推進など
居宅療養管理指導…薬剤師によるICTを用いた服薬指導の評価、管理栄養士の居宅療養管理指導の見直しなど
居宅介護支援…公正中立性の確保、特定事業加算の見直し、ケアマネ1人当たりの取扱件数など
介護人材の処遇改善等…処遇改善加算の一本化、職場環境等要件等の見直し
複合型サービス(訪問介護と通所介護の組み合わせ)…組み合わせと機能・役割、基準や報酬の考え方
委員の賛否が分かれたのは複合型サービス(訪問介護と通所介護の組み合わせ)である。
第230回介護給付費分科会資料7より
複合型サービスとは2012(平成24)年の介護報酬改定で創設され、訪問看護と小規模多機能型居宅介護(小多機)を一体化した、現在の看護小規模多機能型居宅介護(看多機)が想定された。
看多機に限らず「居宅要介護者について一体的に提供されることが特に効果的かつ効率的なサービスの組み合わせ」として厚生労働省令で定める。
2022年12月に介護保険部会が公表した「介護保険制度の見直しに関する意見」で、「複数の在宅サービス(訪問や通所系サービスなど)を組み合わせて提供する複合型サービスの類型などを設けることも検討することが適当」とされた。
これを受けて分科会でサービスの組み合わせと機能・役割、基準や報酬を議論している。
賛成の委員は「通所介護事業所からの訪問が可能になれば、訪問介護事業所の人材不足対策になりうる」「小多機の泊まりが不要な利用者にとって合理的」といった意見を述べた。
反対する委員は「通所のスタッフが果たして訪問もできるのか」「既存のサービスで十分なのに新設する意味はない」「介護保険制度がさらに複雑になるだけ」などと発言した。
また、この新類型創設がすでに決まったように一部で報道されたことに苦言も呈された。