7月10日、第106回社会保障審議会介護保険部会が開かれ、「第9期介護保険事業計画の基本指針」「給付と負担」などについて議論を行った。
同部会の開催は2月27日以来、およそ4カ月半ぶりとなる。「給付と負担」では、2022年12月に公表した「介護保険制度の見直しに関する意見」で「第9期計画に向けて結論を得ることが適当」とされた3項目――①2割負担の判断基準、②1号保険料のあり方、③老健・介護医療院の多床室の室料負担――のうち、①②が取り上げられた。
①について、介護保険サービスの利用者負担は2000年の制度創設以来、1割負担が長く続いてきた。15年8月、被保険者の上位20%を対象に2割負担が導入され、18年8月には、上位20%のうち「特に所得の高い者」について3割負担となっている。
焦点は、2割負担となる範囲を「上位20%(特に所得の高い者を除く)」より拡大する場合の基準をどうするか。事務局は「上位30%」への拡大を提案、上位30%のモデル支出を示した。
このモデルでは、上位30%に拡大しても75歳以上世帯の家計は年間で赤字にならない。医療保険では70歳以上の患者負担について22年10月以降、上位30%が2割負担となっている。
②では、1号保険料は現在、所得に応じて9段階が標準とされ、段階ごとに乗率が定められる。保険者によってはこれより細かく段階を設定している。現在は第9段階で1.7倍が最大だが、これを多段階化し、高所得者の標準乗率を引き上げる。これにより低所得者の乗率は引き下げる。
委員からは「応能負担には賛成。昨今の物価高騰もあり、慎重に検討を」といった意見が多く出された。「現役世代とは、就労して収入のある人だけでなく、資産活用で収入がある人も現役世代に含めるべき」との意見もあった。