制度見直しの議論を再開 介護保険部会

2023年 7月 12日

 7月10日、第106回社会保障審議会介護保険部会が開かれ、「第9期介護保険事業計画の基本指針」「給付と負担」などについて議論を行った。

 同部会の開催は2月27日以来、およそ4カ月半ぶりとなる。「給付と負担」では、2022年12月に公表した「介護保険制度の見直しに関する意見」で「第9期計画に向けて結論を得ることが適当」とされた3項目――①2割負担の判断基準、②1号保険料のあり方、③老健・介護医療院の多床室の室料負担――のうち、①②が取り上げられた。

 ①について、介護保険サービスの利用者負担は2000年の制度創設以来、1割負担が長く続いてきた。15年8月、被保険者の上位20%を対象に2割負担が導入され、18年8月には、上位20%のうち「特に所得の高い者」について3割負担となっている。

 焦点は、2割負担となる範囲を「上位20%(特に所得の高い者を除く)」より拡大する場合の基準をどうするか。事務局は「上位30%」への拡大を提案、上位30%のモデル支出を示した。

 このモデルでは、上位30%に拡大しても75歳以上世帯の家計は年間で赤字にならない。医療保険では70歳以上の患者負担について22年10月以降、上位30%が2割負担となっている。

 ②では、1号保険料は現在、所得に応じて9段階が標準とされ、段階ごとに乗率が定められる。保険者によってはこれより細かく段階を設定している。現在は第9段階で1.7倍が最大だが、これを多段階化し、高所得者の標準乗率を引き上げる。これにより低所得者の乗率は引き下げる。

 委員からは「応能負担には賛成。昨今の物価高騰もあり、慎重に検討を」といった意見が多く出された。「現役世代とは、就労して収入のある人だけでなく、資産活用で収入がある人も現役世代に含めるべき」との意見もあった。

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 など、注目度が高い項目が多く、これまでも議論が続いてきたが、今回は事務局から具体的にどうするか、施策の方向は示されていない。
 
 ケアマネジメントに関する給付の在り方については、他サービスと同様に幅広い利用者に負担を求めること(ケアマネジメント有料化)や、その判断にあたって利用者の所得状況を考慮することをどう考えるか、住宅型有料老人ホームの入居者に係るケアマネジメントについて利用者負担を求めるか、などの論点が示された。

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 「人口減少・サービス需要の変化に応じたサービス提供体制の構築等」は、10月に開催された第126回部会で提案された、「特例介護サービス」の新たな類型案について、具体的に提案された。
 
 現行の特例介護サービスは、全国を対象地域とする「基準該当サービス」と厚労大臣が定める地域を対象とする「離島等相当サービス」である。事業者は指定でなく登録、人員配置基準は指定サービスより緩和されている(離島等相当サービスでは人員配置基準の規定はない)。報酬も、介護報酬を基準に市町村が設定する。これらは居宅サービスに適用される。

有料は届出から登録へ 望ましいあり方検討会

 第7回有料老人ホームにおける望ましいサービス提供のあり方に関する検討会が10月31日に開催され、とりまとめ案について議論した。
 
 とりまとめ案は有料老人ホーム(以下、有料)における安全性やサービスの質の確保、入居契約の透明性確保、紹介事業の透明性や質の確保、指導監督や「囲い込み」対策の在り方など多岐にわたる。主な内容を以下に挙げる。
 
 ●中重度の要介護者(要介護3以上)や医療ケアを必要とする要介護者、認知症の人などを入居対象とする有料については、行政の関与により入居者保護を強化するため、登録制を導入。
 
 ●登録制は、公平性の観点から、要件に該当する既存の有料にも適用される。既存の有料が新制度に移行する際は一定の経過措置を設ける。
 
 ●参入後も事業運営の質の維持が求められるため、更新制や更新拒否の仕組みもつくる。行政処分を受けた運営事業者は一定期間、有料の開設が制限される。
 
 ●こうした有料については、高齢者の尊厳の保障やサービスの質の確保の観点から、職員体制や運営体制に関する一定の基準を法令で儲ける。

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