〈コラム〉の記事一覧
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第4回 思いをかなえるための情報共有と共同意思決定

第4回 思いをかなえるための情報共有と共同意思決定

■当事者不在の中で決めようとしていいの?
 2002年7月、大学病院の地域ネットワーク医療部看護師として、病棟からの「退院調整依頼箋」をもって、MSWと共にコーディネータ―として活動を始めました。
 依頼箋には医師と看護師が記載する欄があり、医師の欄には「○○癌、ターミナル期にある、疼痛コントロール中、家族は高齢な妻、転院調整」などが書かれています。看護師が記載する欄には、「寝たきり状態、全介助」といった……
【筆者紹介】宇都宮宏子(うつのみや・ひろこ) 在宅ケア移行支援研究所宇都宮宏子オフィス代表
訪問看護師や大学病院の退院調整看護師として研鑽を積み、2012年に在宅ケア移行支援研究所を設立。「退院支援の伝道師」として活躍する。

第5回 新型コロナの蔓延と今後の医療提供体制(下)

第5回 新型コロナの蔓延と今後の医療提供体制(下)

■病院医療改革は当事者である医療機関に委ねられている
 このように医療提供体制の改革、少なくとも病院医療改革の実現は当事者である医療関係者に委ねられたのである。日経のコラム子がいうように「医療提供体制の強化のための手が打たれてこなかった」というわけではないのだ。その「推進を阻んできた構造」があるとすれば、当事者である医療界自身なのである。
 2017年6月に閣議決定された「骨太方針2017」では……
【筆者紹介】中村秀一(なかむら・しゅういち)
医療介護福祉政策研究フォーラム理事長、国際医療福祉大学大学院教授。厚生労働省老健局長、社会・援護局長、内閣官房社会保障改革担当室長などを歴任。

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第5回 新型コロナの蔓延と今後の医療提供体制(下)

第5回 新型コロナの蔓延と今後の医療提供体制(上)

■緊急事態宣言で始まった2021年
 新型コロナウイルスの蔓延状況は、昨年11月以降、感染者が激増し、恐れていた第3波の到来となった。年が明けて早々に2度目の緊急事態宣言が出されることになった。1月7日に1都3県対象の緊急事態宣言が決定され、13日には対象地域の拡大が決定した。
 振り返ってみると最初の緊急事態宣言は昨年4月7日(対象:1都7県)であり、4月16日には全都道府県が対象とされた。解除は段階的に行われ……
【筆者紹介】中村秀一(なかむら・しゅういち)
医療介護福祉政策研究フォーラム理事長、国際医療福祉大学大学院教授。厚生労働省老健局長、社会・援護局長、内閣官房社会保障改革担当室長などを歴任。

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第8回 かかりつけ診療所機能の多機能化

第8回 かかりつけ診療所機能の多機能化

■“川下の医療”から水平統合へ
 在宅医療が普及した理由はいくつもあるが、第1には高齢患者が増えたことである。第2の理由――本質的な理由ともいえる――は、臓器の治療を中心とする医療からQOLを重視する医療へと、医療のあり方が大きく変化したことである。
 すなわち医療モデルから生活モデルへの変化であり、こうした変化に伴って、ごく自然に在宅医療が普及した。
 一方、介護保険制度が始まったばかりの20年ほど前、在宅医療は川下の医療と称された。川上は急性期病院で……

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第5回 新型コロナの蔓延と今後の医療提供体制(下)

第4回 続・後期高齢者の窓口負担2割への引上げ問題

■政治的決着を経て全世代型社会保障検討会議へ
 前回の拙稿(令和の社会保障3「後期高齢者の窓口負担2割への引上げ問題」)は締め切りの関係で12月8日までの段階での記述となってしまった。年が明けて早くも2月に入ったが前回中途半端に終わってしまったので、その後の決着について記しておきたい。
 前回の執筆段階では、厚生労働省が示した5つの「機械的選択肢」(下表)のうち、菅総理は④を選択した。自民党内から異論も出たようだが……

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第8回 かかりつけ診療所機能の多機能化

第7回 かかりつけ医機能の多機能化が必要になってきた

■訪問診療も訪問看護も断る患者
 84歳のAさんは83歳の妻と暮らしている。Aさんは足が不自由で車いすを使い、妻は軽度認知症だ。息子と娘はそれぞれに家庭があり、親とは同居していない。Aさんに訪問診療することになったが、2回訪問した後、家族から連絡が入った。もう訪問診療は必要ありません、何かあったら外来で診ていただきます、と言う。それで訪問は中止した。
 しばらくして、Aさんが娘に付き添われて外来を受診した。「お名前は」と尋ねてもAさんは答えず、一言も発しない。発熱したと娘が言うので検査すると、右肺の肺炎であった。さらに口腔内を見せてもらうと、かなり汚れている。唾液が詰まって、なるほど、これでは……

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第4回 転換する「地域づくり戦略」の行方

第4回 転換する「地域づくり戦略」の行方

 今回は、介護保険事業計画の基本指針でも重点が置かれた「地域づくり戦略」について、特に住民主体の通いの場に焦点を当てて、これまでの取り組みの評価と今後の行方について考えてみたいと思います。
■通いの場の成功と抜け落ちた「生活支援」
 総合事業の成果の1つは、「通いの場」、とりわけ体操教室の全国的な広がりだと思います。高知市の「いきいき百歳体操」等に端を発した住民主体の通いの場は、着実に全国に広がり、全国で10万か所をこえています。取り組みを支援した各地域の生活支援コーディネーターの貢献も、特筆すべきものです。
 こうした成功の裏で、見落とされがちな点もあります。生活支援の視点です。誰もが……

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第4回 国民経済のために、助け合い支え合いを形にした介護保険を守ろう(下)

第4回 国民経済のために、助け合い支え合いを形にした介護保険を守ろう(下)

■将来の介護労働・医療福祉需要
 将来の介護労働者の規模は、2018年度334万人を基準にすると、2025年では1.2倍、2040年では1.5倍も必要と見込まれている。この間、人口の減少を反映して就業者全体が減るため、介護労働者を就業者数の割合で見ると、2018年度5.1%から、2025年度6.4%、2040年度8.9%と高まっていく。医療福祉全体の就業者では、2018年度12.5%、2025年度14.7%、2040年度18.8%となる。
 今、懸念されることの一つは、医療福祉にそれほどのマンパワーを吸収して、国民経済は大丈夫なのか?
 かつて、財ではなくサービスが増えていって国民経済は大丈夫なのか? と問いを立てていった人たちが……

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第4回 国民経済のために、助け合い支え合いを形にした介護保険を守ろう(下)

第4回 国民経済のために、助け合い支え合いを形にした介護保険を守ろう(上)

■話題其の壱
 ドイツの哲学者、カール・ヤスパースはBC5世紀前後を「枢軸の時代」と呼んでいた。この時代に、仏教、ジャイナ教、儒教を始めとした諸子百家、パレスティナの預言者、ギリシャ哲学など、今にいたる人間の思想の源ができあがっている。この背景には、鉄器が普及し、そこに地球温暖化が起こって、農業生産力が飛躍的に高まったことがあった。いわゆる農業生産性の増強の中、生産活動に就く必要のない有閑階級の誕生を社会が許したのである。
■話題其の弐
 経済学の世界では、18世紀半ばの重農主義で知られるフランソワ・ケネーは、農業のみが生産的活動であり、他は農業での生産物を消費するだけの非生産的活動とみなしていた。ケネーの『経済表』よりも18年遅く『国富論』を出したアダム・スミスは、ケネーに敬意を払いながらもケネーの論を発展させて、生産活動に工業生産品などの財の生産も加えた。
 しかしスミスが視野に入れた生産活動はそこまでであり、農産物や財を生産する人たちまでは生産的労働とみなす一方、それを消費するだけの人たちを……

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第4回 こうして定期巡回サービスを始めることになった

第4回 こうして定期巡回サービスを始めることになった

 ある日知人から「近々、北杜市で定期巡回サービスの公募があるそうよ」という情報を得ました。2016年11月、法人を立ち上げてグループホームの建設を進めていた時期です。職員は1人も採用しておらず、私と理事の中嶋の2人で諸準備をしていましたが、無給の状態でした。グループホームは翌年4月にオープン予定で、その職員などの採用を1月に行う予定でした。
■定期巡回サービスに特別な思い
 私は東京での40年間の活動の中で、今でいう「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」事業の原型のような活動を実施してきた経験があります。
 それは、当時所属していた医療法人健和会が……

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