“ケア”に当たるのが当の子どもしかいない世帯は実は多くないし、本当に要介護者と子どもしかいない世帯なら……
【筆者紹介】時不知すずめ(ときふち・すずめ) 医療や介護について取材する全国紙記者
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医療も介護も新年度からの報酬改定がまとまった。どちらも、かなりぎりぎりの内容である。表向きは「プラス改定」だが、人件費のベースアップを除けば、医療も介護もほぼゼロ改定だ。深刻さが世の中に共有されていないと思う。いくらか話題になったのは介護報酬の訪問介護だろうか。
■訪問介護引き下げの背景
介護報酬は、介護職の処遇改善に0.98%、介護職以外の処遇改善に0.61%を充てて1.59%のプラス改定である。プラス改定の全てを賃上げに充てた格好だ。事業所の収入に当たる報酬はゼロ改定だ。
そうはいっても、報酬改定は政策誘導のために行うものだから、上げる部分もあれば下げる部分もある。引き上げたのは、特別養護老人ホームなどの介護保険施設の基本報酬だ。事前の経営実態調査で赤字であることが分かっていた。
ゼロ改定なのに、どこかを引き上げるには、どこかを下げて原資を調達するしかない。ターゲットになったのは…
エーザイの抗認知症薬「レカネマブ(レケンビ)」が日本でも承認された。年内には薬価がついて医療現場に登場する。だが、気になることがある。
今までよりも、「認知症早期」の診断を、多くの人が受けるようになる。レケンビの対象者が、アルツハイマー型認知症「早期」と軽度認知障害(MCI)の人だからだ。
早期に検査を受ける人が増えて、確定診断を受ける人も増えるはずだ。その不安に対応できる社会になっているのだろうか?
この人たちは、要介護認定を受けるには症状が軽い。行政サービスの網の目からはこぼれ、日々の暮らしや将来への不安を抱える人がむしろ増えるのではないか…
医療と介護2040でも特集している通り、現場のケアマネジャー不足が顕著なのである。
旧知の介護事業者から、「足りないのは介護職じゃなくてケアマネですよ。このままだと、ケアプランを作れなくなるんじゃないですかね」と吐露されたのが半年ほど前。ただ、地域差もあるのか、厚生労働省の資料では数値で明確に裏付けられてはいない。
厚労相の諮問機関「介護給付費分科会」に6月に出された資料では、居宅介護支援事業所におけるケアマネジャーの従事者数は2021(令和3)年に11万7000人。19年の11万8000人から1000人減っているが、20年からは変わっていない。厚労省は…
少子化対策がホットだ。合計特出生率は2021年には1.30と6年連続で低下した。2022年の出生数は80万人を割り込んだ。すわ一大事というわけだ。
何を今ごろ言っているのかと思う。少子化の傾向は長らく変わっていない。対策に取り掛かるのが30年くらい遅いのである。
しかも、政策のピントがずれている。対策の1丁目1番地は現金給付なのである。政策立案をする高齢の男性政治家に課題への共感がないからではないか、という指摘がある。
子育ての孤独も、仕事と子育てを両立する苦しさも、貧困も、自分では経験したことがない人たちだからだ。
■伝統的家族観への回帰を期待?
さて、児童手当の拡充である。現金を配りたがるのは、選挙を控えた政治家の常ではある。
加えて、今回は伝統的家族観への郷愁も垣間見える。短時間労働や育児休業に現金給付を上乗せして…
新型コロナウイルスをめぐる政策に混迷の色が濃い。医療者や保健所が重症患者に神経をすり減らしているのに対して、一般市民は相当にコロナ慣れしてきている。
■検査待ち
あれ?と思ったのは、テレビの映像だった。第7波に入り…
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