■セーフティネットから漏れ落ちるダニエル
ダニエルとは、映画「わたしは、ダニエル・ブレイク」のダニエルのことで、彼は59歳で心臓発作を起こし、医師から働くことを止められていた。イギリスでは、就労が可能なのかどうかを福祉事務所でチェックを受けることになっており、ダニエルは、政府の委託業者によるマニュアル通りの問診に嫌気がさした返事をしてしまい、就労可能の判定を出されてしまう。そうなると、彼は、ユニバーサル・クレジットという、日本でいう生活保護や失業給付などが統合された普遍的(ユニバーサル)な制度の対象とならざるを得なくなる。
この制度は、就労を促進するための仕組みが組み込まれている代わりに……