骨折リスク軽減する床 医療機関などで採用進む

2021年 6月 1日

 介護福祉用品などの製造・販売を行うMagic Shields(浜松市)の転んだ時だけ柔らかい床「ころやわ」の採用が、全国の医療機関や介護施設で進んでいる。同社は5月31日、製造枚数が6000枚に達したと発表した。

ころやわ「マットタイプ」

ころやわ「マットタイプ」

 ころやわは歩行や杖、車椅子では凹まず、転んだ時に柔らかく凹んで衝撃を半減し、高齢者の転倒による骨折リスクを軽減する。メカニカルメタマテリアルの概念を応用したもので、素材では出せない特性を独自の構造体で実現した。

 資材サイズは縦30cm×横30cm×厚さ2cmで「マットタイプ」「設置タイプ」「新築/改築タイプ」の3タイプがある。

 マットタイプはビニール床ところやわを接着し、運べる商品として販売・レンタルしており、大学付属病院や総合病院など、全国の医療機関で使われている。畳1畳分のマットタイプ1枚には、約15枚のころやわが使われている。

 設置タイプは既存の床の上に設置でき、居室や食堂などの共有スペース全体に敷き詰められる。床の上にころやわを並べて配置し、その上にビニール床を敷き、居室入り口部分などには車いすで自走可能な1/12勾配のスロープを設置する。

 新築/改築タイプは2cm下げた床にころやわを敷き、その上からビニール床を敷くことで、完全にフラットなころやわエリアを構築する。

 2020年8月の発売後、医療機関や介護施設の現場から、高齢者の転倒による大腿骨骨折予防に重要な要素は、衝撃吸収性に加えて歩行安定性が重要との指摘があった。そこで、今年2月に商品仕様を一新し、歩行安定性を高めた商品の販売を開始したところ、受注が拡大した。

 同社の調べによると、5月1日時点で、導入した施設でころやわ上で転倒し骨折したとの報告はないという。現在、生産量増強に向け、オフィス移転などを進めている。

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