岡山大学は認知症患者を対象とした臨床研究で、化粧療法には開始直後から情動機能改善効果があることを証明した。さらに、AI を使った顔の解析を行い、化粧療法は見た目年齢を若返らせ、特にADLの障害が中等度の患者では、喜びが増加することを世界で初めて発見した。
同大大学院医歯薬学総合研究科脳神経内科学の阿部康二教授と岡山大学病院の森原隆太助教、田所功医員らの研究グループが、日本介護美容セラピスト協会の谷都美子代表理事らと共同で実施した。
化粧療法は認知症の非薬物療法として注目されているが、効果を証明する医学的な根拠はこれまで不十分だった。今回の研究では、女性の認知症患者を対象に、化粧療法を実施した群と実施しなかった群で比較したところ、化粧療法では開始直後から認知症の情動症状(BPSD)スコアで有意な改善がみられた。
また AI を用いた顔解析を行うことで、見た目年齢の若返りや喜びの増加といった効果を、瞬時に数値化して見出すことに成功した。有効性が科学的に示されたことで、認知症患者に対する化粧療法の普及につながることが期待される。
なお、これらの研究成果は、2月6日の日本化粧療法学会第 2 回学術集会で発表した。