単月調査含む医療経済実態調査案を承認 中医協

2021年 2月 10日

 中央社会保険医療協議会(厚生労働相の諮問機関)は2月10日、オンラインで会合を開催し=写真、厚労省が示した医療経済実態調査案を承認した。

中医協2月10日

 新型コロナ感染症の流行下で行われる今回の調査では、前回調査からの主な変更点として、新型コロナ関連の補助金を把握するため、収益の内訳として同補助金の項目と、病院・一般診療所での新型コロナ感染症患者の受け入れ状況に関する項目を追加した。

 また、保険薬局について、費用の内訳項目として調剤用医薬品費・一般用医薬品費・建物賃借料を、特定の医療機関と不動産の賃貸借関係がある場合、その不動産の種類を問う項目を付け加えた。

 新型コロナの影響で借入金が増えているかどうかを把握するため、すでに項目のある病院以外の一般診療所・歯科診療所・保険薬局についても、資産・負債の中に長期借入金の項目を加えた。

 年度調査に加え、単月の収益と費用の項目を設けたが、実施の可否については簡素化した調査票を用意した上で、今後の新型コロナ感染症の状況を踏まえ、春ごろをめどに中医協に諮って決定することになった。

 また、調査は3月末までに終了した事業年を対象とするが、決算月の違いにより新型コロナの影響を受ける期間が異なるため、今回は3月決算の施設の損益状況を集計。併せて新型コロナ感染症患者の受け入れ状況別の損益の状況などもまとめる。保険者調査は例年通り実施する。

費用対効果評価制度で専門家不足が露呈
 この日の会合では、これ以外に医療機器の保険適用や医薬品の薬価収載、医薬品・医療機器の費用対効果評価の当面の運用などについて厚労省から提案があり、いずれも承認された。

 このうち、費用対効果評価は2019年4月から本格的な運用を開始し、14品目の評価が行われているものの、専門組織が評価案を策定して中医協に報告し、中医協が審議して費用対効果の決定を行うことが決まっているが、審議以降の運用はこれまで詳細に示されてはいなかった。

 この点について、厚労省は専門組織での評価策定後、速やかに中医協で審議して結果を決定し、対象品目の価格決定を新薬保険収載と四半期算定と同じタイミングで審議して、告示・適用は四半期算定と同様の取り扱いとすることを提示した。

 この案に関しては委員から承認が得られたが、現在評価が行われている14品目のうち最初の2品目について、「時間がかかりすぎているのではないか」との疑問が委員から出された。

 標準的な期間は企業分析に9カ月、公的分析に3~6カ月、総合的評価と価格決定に3カ月とされている。ただ、この間に3回の専門組織での決定・確認・評価があり、それに時間を要していることが分かった。

 その背景には「専門家の確保が厳しい状況にあること」が判明。これに対し、厚労省は昨年4月から教育プログラムをスタートさせ、現在49人が受講しており、このうち21人が3月に終了し、その4分の3が費用対効果の研究に関わっていく考えであることを明らかにした。

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中山間地域の訪問介護への定額導入など提案🆕

 10月9日、第126回社会保障審議会介護保険部会が開かれ、「人口減少・サービス需要の変化に応じたサービス提供体制の構築等」「地域包括ケアシステムの深化(相談支援の在り方)」などが議論された。
 
 「人口減少…に応じたサービス提供体制の構築等」の論点は①地域の類型の考え方、②地域の実情に応じたサービス提供体制の維持のための仕組み、③地域の実情に応じた包括的な評価の仕組み、④介護サービスを事業として実施する仕組み、⑤介護事業者の連携強化、⑥地域の実情に応じた既存施設の有効活用、⑦調整交付金の在り方、と多岐にわたる。
 
 以下、①~⑤について事務局からの提案をまとめる。
 
 ①については、サービス需要が減少する「中山間・人口減少地域」ではサービス提供の維持・確保を前提に新たな柔軟化のための枠組みを設ける必要がある。その対象は「特別地域加算」の対象地域が基本となるが、拡充も考えられる。また、市町村の中でもエリアによって人口減少の進み方は異なるため、市町村内の一部エリアも対象とできないか。
 
 「中山間・人口減少地域」は、介護保険(支援)計画の策定時に、都道府県が市町村の意向を確認して決定する。「大都市部」「一般市等」では、現行制度の枠組みを活用したサービス基盤の維持・確保が求められる。
 
 委員からは、地域類型を定める根拠となる高齢者人口について、「その場合の高齢者とは何歳以上か、定義を定める必要がある」との指摘が相次いだ。
 
 ②は「中山間・人口減少地域」のサービス提供体制の維持・確保のために、特例介護サービスの枠組みを拡張する。新たな類型は下図の赤い部分だ。

介護保険見直しの議論始まる 介護保険部会

 第125回社会保障審議会介護保険部会が9月29日に開かれ、「地域包括ケアシステムの深化、持続可能性の確保」などが議論された。
 
 具体的な論点は①地域包括ケアシステムの実現・深化に向けた支援体制の整備、②医療介護連携の推進、③持続可能性の確保、の3点。
 
 事務局は①について、地域の状況に応じたサービス提供体制や支援体制の構築が重要、との前提で、地域の性格によって課題を以下のように位置づけた。
 
 中山間・人口減少地域…サービス基盤の維持・確保
 都市部…新たな事業者や人材の持続的な確保
 一般市等…前2者それぞれへの対応
 
 そのうえで中山間・人口減少地域では、前回の部会で議論されたサービス提供体制の確保のための方策について、介護保険事業計画に反映することが重要、との方向性を提示する。
 
 さらに、者向け住まいについては、「有料老人ホームにおける望ましいサービス提供のあり方に関する検討会」の議論もふまえ、介護保険部会で議論して整理する。介護予防や人材確保、生産性向上に関する事項も含めて…

中山間地域のサービス提供柔軟に 介護保険部会

 第124回社会保障審議会介護保険部会が9月8日に開かれ、「人口減少・サービス需要の変化に応じたサービス提供体制の構築」などが議論された。
 
 具体的な内容は、これまでの同部会での議論を踏まえた以下の6項目で、②~⑥は中山間・減少人口地域でのサービス提供体制の維持・確保についての提案である。
 
 ①地域の類型の考え方
 ②地域の実情に応じたサービス提供体制の維持のための仕組み
 ③地域の実情に応じた包括的な評価の仕組み
 ④介護サービスを事業として実施する仕組み
 ⑤介護事業者の連携強化
 ⑥地域の実情に応じた既存施設の有効活用
 
 ①地域の類型の考え方は、全国を「中山間・人口減少地域」「大都市部」「一般市等」の3つに分類し、状況に応じたサービス提供体制を構築していくことが重要、とする。「中山間・人口減少地域」についてはサービス提供の維持・確保を前提として新たな柔軟化のための枠組みを設けることを提案する。

人材確保に向け処遇改善を議論 給付費分科会

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