大賞に駒ヶ根市など アジア健康長寿イノベ賞

2020年 7月 30日

 「第1回アジア健康長寿イノベーション賞」の受賞団体が727日に発表され、大賞の自立支援部門に長野県駒ケ根市、準大賞に神奈川県藤沢市の地域密着型事業所ぐるんとびーが選ばれた。

 同賞は日本政府によるアジア健康構想の一環として、日本国際交流センター(JCIE)と東アジア・アセアン経済研究センター(ERIA)が創設した。健康長寿の達成と高齢者ケアの向上に資する取り組みを、アジア各国から募集し表彰する。

 テクノロジー&イノベーション、コミュニティ、自立支援の3分野で、高齢化によるさまざまな課題の解決となる革新的なプログラム、サービス、製品、政策を募集・表彰することにより、アジア地域内で優れた知見を共有。その応用を後押しし、この地域の共通課題である急速な高齢化に、共に対応していくことを目的としている。

 今回は日本を含むアジア 12カ国・地域から約130件の応募があり、国際選考委員会による厳正なる審査の結果、大賞はタイ、ベトナム、日本の3団体に、準大賞は6カ国の7団体に決定した。

 大賞の自立支援部門に選ばれた駒ケ根市は、病院と自治体の協働による脳卒中再発要望のためのセルフマネジメント支援の取り組みを行っている。入院中は専門職の支援のもと、患者本人が再発予防のための目標を設定してセルフマネジメント力を高め、退院後も専門職との定期的な面談や専用のアプリで健康状態の記録を取るなど、一連のプログラムを実施。これにより、1年以内の脳卒中再発率が低下するという実績を上げている。

 駒ケ根市以外には、タイの高齢者発展財団(FOPDEV)がテクノロジー&イノベーション部門で、ヘルプエイジ・インターナショナル・ベトナムがコミュニティ部門で大賞を受賞した。

 高齢者発展財団(FOPDEV)はモバイル・アプリを活用して、タイ・チェンマイの低所得層向けの在宅ケア事業を行っている。アプリを使い、高齢者の健康状態の確認やケアプランの共有など、健康管理とモニタリングを実施。このプラットフォーム技術は、高い品質の在宅ケアの効率的な提供のみならず、貧困層の若者に介護の職業訓練の機会を提供する上でも貴重なツールとなっている。

 ヘルプエイジ・インターナショナル・ベトナムは、パートナー団体と多世代間自助クラブを運営している。地域内でさまざまな世代間交流を行い、社会参加を促すことで、高齢者の健康を支えている。同クラブは2006年に開始され、ベトナム全域に普及し、現在3000団体を数え、ベトナム最大の高齢者ケアの担い手となっている。

 準大賞はぐるんとぴーのほか、タイのパトゥムタニ県ブンイトー市と国境なきヘルプ財団 forOldy Project、インドネシア・ラマ・ランシア財団、韓国高齢者福祉センター協会 (KASWC)、マレーシアのスマート・ピープ社、ベトナム高齢者協会が選ばれている。

 受賞発表式は、31日午後1時からオンラインでライブ配信する。

このカテゴリーの最新の記事

このカテゴリはメンバーだけが閲覧できます。このカテゴリを表示するには、年会費(年間購読料) もしくは 月会費(月間購読料)を購入してサインアップしてください。

介護用を連想させないデザインの電動ベッド発売🆕

 フランスベッドグループの東京ベッド(東京都港区)は、医療福祉用ベッドを手がけるランダルコーポレーション(埼玉県朝霞市)と初めてコラボレーションした電動ベッド「A-Shape」を発売した。
 
 新製品は背上げ・脚上げ・昇降機能の3モーター仕様の家庭用電動ベッドで、介護用ベッドを連想させない生活空間に馴染むデザインが特徴。ランダルコーポレーションの特許技術である「八の字」形状のフレームで昇降時に揺れが少ない「八の字垂直型昇降機構」、背上げ時に腹部の圧迫を軽減する機能「ストレッチラインモーション」を採用している。

訪問スケジュール自動作成と記録ソフトが連携🆕

 ゼスト(東京都新宿区)とロジック(金沢市)は、それぞれが提供する訪問スケジュール自動作成クラウドと、訪問介護・看護事業者向け業務支援SaaS「Care-wing 介護の翼」のデータ連携を開始した。  ゼストはAIがスケジュール作成者に代わり、利用者と職員のマッチング条件、職員の勤務シフト、担当者の固定やチーム制、ローテーション、複数人による同行訪問などの条件を考慮した上で、最も効率的な移動ルートのスケジュールを提案する。  一方、Care-wing...

医療と介護の複合施設が東京・練馬区にオープン🆕

 東京都練馬区が所有する練馬光が丘病院跡施設を活用した、区内初の医療と介護の複合施設である「光が丘医療福祉プラザ」がオープンした。  医療分野では慈誠会「光が丘病院」と訪問診療を行う「ねりま在宅診療所」が入る。光が丘病院は157床で、うち区内初の緩和ケア病床が16床、光が丘地域初の地域包括ケア病床が50床、認知症治療病床が43床、医療療養病床が48床となっている。  介護分野は特別養護老人ホームの慈誠会「光が丘介護医療院」、「光が丘福祉専門学校」、看護小規模多機能型居宅介護事業所「光が丘ライフプラザ」で構成されている。...

NTTが上越市の介護事業所で56%の業務効率化を実証

 上越5e協議会と丸互(新潟県上越市)、NTT東日本は、2024年8月から25年3月まで上越市の複数の介護事業所で「tsuzumi」を活用した業務効率化を目的とする実証事業を行い、業務効率を56%向上させることに成功した。  tsuzumiはNTTが開発した、軽量でありながら世界トップレベルの日本語処理性能を持つ大規模言語モデル(LLM)。同グループでは、これを使った商用サービスを24年3月に開始した。...

遠隔リハビリ実現へ 上肢・肩甲骨運動データ公開

 NEDOが進める「人工知能活用による革新的リモート技術開発事業」で、産業技術総合研究所(産総研)と京都大学、東京大学、セイコーエプソン、エブリハは、遠隔でリハビリテーションができる社会の実現に向けて、上肢・肩甲骨運動に特化した世界初のオープンデータセットを公開した。  同事業では、リハビリ利用者がリハビリやトレーニングを継続する上で直面するさまざまな課題に着目し、各リハビリプロセスを遠隔で実現するリモート技術基盤のプロトタイプの開発を進めてきた。...

1週間無料でお試し購読ができます  詳しくはここをクリック

新着記事は1カ月無料で公開

有料記事は990円(税込)で1カ月読み放題

*1年間は1万1000円(同)

〈新着情報〉〈政策・審議会・統計〉〈業界の動き〉は無料

【アーカイブ】テーマ特集/対談・インタビュー

コラム一覧

【アーカイブ】現場ルポ/医療介護ビジネス新時代

アクセスランキング(4月28日-5月4日)

  • 1位
  • 2位
  • 3位 90% 90%
メディカ出版 医療と介護Next バックナンバーのご案内

公式SNS