社会福祉法人の合併などに関するガイドラインを承認した第25回福祉部会
社会保障審議会(厚労相の諮問機関)福祉部会は7月15日、第25回会合を開催し、事務局が提示した社会福祉法人の合併と事業譲渡・譲り受けに関するガイドラインを承認した。
昨年6月に閣議決定された「成長戦略フォローアップ」で、社会福祉法人の事業の大規模化や協働化に円滑に取り組めるよう、ガイドラインなどを策定することを求めていた。
ガイドラインでは、合併と事業譲渡・譲り受けの手続きと留意点について、適切・不適切例を交えながら解説。合併と事業譲渡・譲り受けに共通する事項として、法人諸官庁などへの事前相談、利用者・職員に対する十分な説明と理解の促進、寄付財産や国庫補助を受けている財産に関する税務署・行政庁への相談を挙げた。
合併に関しては、社会福祉法に規定されている手続きを示し、留意点として当事者法人の十分な協議と当事者間の適切な合意形成、消滅法人の退職役員に対する報酬の社会福祉法に基づく手続きの厳守を明記。租税の取り扱いとしては、租税特別措置法第40条の適用を継続する場合の申請について記した。
事業譲渡・譲り受けでは、譲り受ける事業に関する新規の許認可などの手続き、事業を譲り渡す法人の事業廃止などの各種手続きを紹介。また、合併と異なり包括継承がされないため、利用者や職員、調理、清掃などの委託業務、土地や建物など事業に関連するものは、改めて契約行為が必要になることを指摘した。
留意点としては、事業の譲り渡しでは、譲り渡し先法人の事業実施可能性を事業所管行政庁へ事前協議を行うこと、相手方法人の関係者が特別の利益供与の禁止対象者となる場合、社会福祉法の規定に抵触しないようにすること、資産を譲渡する際には法人外流出に当たらないように適正な評価を行った上で価格を検討すること、を求めている。
この日の会合では、今回のガイドラインは現行法を前提としたもので限界があることから、新たな法制度の整備が必要との意見が複数の委員から出た。これに対し、事務局からはガイドラインを出したことで、今後どのように合併や事業譲渡が進むのかを把握し、その上で必要な対応を検討していく考えが示された。