AI医療機器ベンチャーのアイリス(東京都千代田区)は、AI搭載の咽頭内視鏡システム「nodoca(ノドカ)」を使ったインフルエンザ診断の保険適用開始を受け、12月23日から全国の医療機関向けに一般販売を開始する。
nodocaは日本で初めて「新医療機器」として製造販売承認を取得したAI搭載医療機器。咽頭の画像と問診情報をAI解析し、感染症に特徴的な所見などを検出することで、インフルエンザの診断補助に使うことができる。
主な特徴は患者の痛みが少なく、判定結果が得られるまでの時間が短いこと。
前者については、専用の咽頭カメラを患者の口腔内に挿入し、撮影するだけなので患者の負担は最小限で済む。
治験時のNRSによる痛みの評価は平均0.8と低く、患者に優しいインフルエンザ検査を提供できる。実際、治験参加者の90.6%が「今後はnodocaの検査を受けたい」と回答しているという。
後者に関しては、判定開始から数秒ないし数十秒で判定結果が得られるため、患者に待合室に戻って待ってもらうことなく、その場で検査結果を伝えることができる。
nodocaを使ったインフルエンザ診断は、12月1日から保険適用されている。AI医療機器を用いた診断への新機能・新技術(C2区分)での保険適用も、日本で初めて。診療報酬は、既存検査法と同等の305点(3050円)となる。
nodocaのAIアルゴリズムは、延べ100以上の医療機関、1万人以上の患者の協力で収集された、50万枚以上の咽頭画像データベースを基に開発された。
AI解析に適した咽頭画像を撮影するための専用カメラは、自社で独自に設計・開発しており、口腔内・咽頭をクリアに撮影することができる。
インフルエンザ濾胞(ろほう)がインフルエンザの診断に有用であることは、内科医の宮本昭彦医師の発見と報告により知られていた。
インフルエンザ濾胞を視診のみで高精度に見分けるには、熟練の医師による判断が必要とされていたが、nodocaにより熟練医の視診をAIで再現することが可能になった。