全国児童養護施設協議会会長 桑原教修
■はじめに
2016年、国連で採択された「児童の権利に関する条約(1989)」を下敷きとした児童福祉法の改正が行われ、児童福祉法の理念が明確化されました。その後、当時の厚生労働大臣のもとに設置された「有識者会議」によってとりまとめられたのが2017年の「新しい社会的養育ビジョン(以下養育ビジョン)」です。
その主な論点は、①家庭養育優先原則、②里親委託率の数値目標、③「家庭における養育環境と同様の養育環境」としての里親委託優先、④「できる限り家庭環境」の確保に向けた施設整備、となっています。そして、向こう10年間で施設の変革を求めています。
このように具体的に社会的養護施設の方向が示されたのは、戦後70年余の歩みの中で初めてのことでした。ある意味で画期的なことだと思います。
しかしながら、唐突に社会的養護施設を一括りとして示された〈養育ビジョン〉は……
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