〈医療と介護2040 管理者02〉の記事一覧
第61回 バリ島の医療・介護を垣間見た🆕

第61回 バリ島の医療・介護を垣間見た🆕

 7月、インドネシア・バリ島を訪れた。現地の保健局、保健センター、高齢者施設、病院などを駆け足で視察させてもらった。
 
■情報を登録して健康管理
 1日目はギャニャール市保健局で地域について説明を受ける。同市はリゾート地ウブドを擁するギャニャール県の県都。高齢化があまり進んでおらず、若い人の人口が比較的多い構造だ。人口の90%はヒンドゥー教徒で、教義にのっとり、毎日3回お祈りをする。保健局だから日本の保健所のような機関かと思ったが、診療所が併設されていた。
 
 保健センターでは、高齢者の情報を国に登録して健康管理に役立てるシステムを見せてもらった。新型コロナが収束した3年前から始め、昨年は96%の人のデータを集めてスクリーニングしている。家族構成やワクチン接種歴といった情報が網羅されているそうだ。ただ、システムエラーが起こり入力できないことがよくあるという。
 
■日本の措置時代のような高齢者施設
 高齢者施設ワナ・セラヤは、日本の特養のような施設だった。多床室ばかりで、地元の人が多い。入所している人は低栄養のようで、寝たきり状態に見えた。昼間なのにスタッフの姿はない。聞けば、看護師3人と介護職4人でケアしているそうだ。
 
 医療的なサポートは受けられないようで、医療が必要になると病院に搬送される。そのまま病院で亡くなることが多いそうで、そういった人のベッドに花が置かれているのが物悲しい。日本の措置時代の高齢者施設を思い起こした。
 
バリ州(バリ島と周辺の島からなる)には社会省の施設が4カ所あって、高齢者施設が2カ所(ワナ・セラヤはそのひとつ)と、子ども向け施設と若い人向けの施設が1カ所ずつ。どれも利用は無料だそうだ。民間施設は3カ所で、主に外国人が利用するという。
 
■病院がホームケアサービスを提供
 2日目、空港のある州都デンパサールでカシ・イブ病院を訪問した。同病院は100床ほどで、現地の民間病院としては最大規模というが…

中山間地域のサービス提供柔軟に 介護保険部会🆕

中山間地域のサービス提供柔軟に 介護保険部会🆕

 第124回社会保障審議会介護保険部会が9月8日に開かれ、「人口減少・サービス需要の変化に応じたサービス提供体制の構築」などが議論された。
 
 具体的な内容は、これまでの同部会での議論を踏まえた以下の6項目で、②~⑥は中山間・減少人口地域でのサービス提供体制の維持・確保についての提案である。
 
 ①地域の類型の考え方
 ②地域の実情に応じたサービス提供体制の維持のための仕組み
 ③地域の実情に応じた包括的な評価の仕組み
 ④介護サービスを事業として実施する仕組み
 ⑤介護事業者の連携強化
 ⑥地域の実情に応じた既存施設の有効活用
 
 ①地域の類型の考え方は、全国を「中山間・人口減少地域」「大都市部」「一般市等」の3つに分類し、状況に応じたサービス提供体制を構築していくことが重要、とする。「中山間・人口減少地域」についてはサービス提供の維持・確保を前提として新たな柔軟化のための枠組みを設けることを提案する。

重度訪問介護の提供事業者が連絡会を設立

重度訪問介護の提供事業者が連絡会を設立

 重度訪問介護の提供事業者による任意団体「全国障害者地域生活支援事業者連絡会(ぜんちれん)」がこのほど設立記念総会を開催。国会議員や地方議員、厚生労働省障害福祉課長、医師系団体の関係者、企業・団体のリーダー、記者、重度訪問介護事業の経営者など、オンライン参加を含め250人以上が参加した。...

在宅向け介護用ベッド新製品発売 パラマウント

在宅向け介護用ベッド新製品発売 パラマウント

 パラマウントベッドは在宅向け介護用ベッドの新製品「楽匠Fit(フィット)」シリーズを8月末に発売する。  2020年8月に発売され、累計販売台数23万台を超える主力製品「楽匠プラス」シリーズの後継機種で、在宅の療養環境の質をさらに高めることを目的に開発した。...

「家族の権利宣言」発表 認知症本人と同じように家族への支援求める🆕

「家族の権利宣言」発表 認知症本人と同じように家族への支援求める🆕

インタビュー 川井元晴さん(認知症の人と家族の会共同代表理事・山口県支部代表世話人、脳神経筋センターよしみず病院副院長)
 
 45周年を迎えた「認知症の人と家族の会」は、6月の総会で「認知症の人とともにある家族の権利宣言」を発表し、認知症本の人への支援と同様に、家族への支援の必要性を訴えた。認知症の人と家族が住み慣れた地域で、自分らしく暮らし続けていくために大切なことは何か。共同代表理事の1人である川井元晴さんに聞いた。
 
■業務量増加への対応で代表理事を2人体制に
――福井県支部世話人の和田誠さんとともに共同代表理事という形になったのは。
 
 当会が設立されてから4代目の代表理事となる今回、定款を変え初めて2人体制になりました。役員についても、会の発足当初から活動に参加していた会員や理事から、若い世代へバトンを受け渡すような形で改選しています。
 
 その理由として、ここ数年、認知症に関する状況が大きく変わってきていることがあります。アルツハイマー病の治療薬が上市されて使えるようになったことや、共生社会の実現を推進するための認知症基本法が策定され、自治体が認知症施策推進基本計画を立てるようになったことなど、医療的にも社会的にもかなり様変わりしています。
 
 認知症本人と家族についての社会的ニーズがとても多くなっている上、会への問い合わせや共同研究などが増えている中で、1人の代表理事だけでは対応が難しいことから、共同代表理事という体制となりました。
 
――今回の総会では、家族の権利宣言の発表もありました。趣旨は。
 
 認知症基本法には「認知症の人と家族等」と、主語に家族も入っていますが、認知症本人の発信がとても大きなウエイトを占めていて、どうしても本人視点に重きが置かれます。このため、家族が置いていかれるような不安や危機感を持っている会員がいることから、家族も大事なのだということを宣言しました。
 
 宣言自体は抽象的ですけれども、その解説版を作成中で、宣言と解説版をセットにして、各都道府県支部の世話人や自治体、地域の人たちと、権利宣言をどう活用していったらいいのかを考えていくことにしています。
 
――認知症施策推進基本計画については。
 
 各自治体が基本計画を策定するにあたり、本人と家族が参画することになったのはとても重要です。
 
 ただ、私は山口県支部の代表世話人も兼務しており、県の基本計画の策定会議に参加していますが、行政の書類が独特な様式と内容で書かれているため、策定案を議論するのに、本人と家族はついていくのが精一杯のような状況で、行政の会議に本人と家族が参画する上での課題と改善点が浮き彫りになった感じがします。
 
――本人の意見をどう聞いたらいいか、計画を策定する人たちは悩んでいるようですが。
 
 意見が聞けるのは診断当初の人や軽度認知障害の人など、症状が比較的軽めの人が想定され、その中でもしっかりと自分の考えを自分の言葉で発信できる人ということになりますと、意見を言える人は限られるでしょう。
 
 基本法の対象は認知症の人と家族全体なので…

第61回 バリ島の医療・介護を垣間見た🆕

第60回 かかりつけ医の機能が定着していく🆕

 前回も触れたが、「地域包括診療料1」の診療報酬点数は1660点で、同2は1600点。どちらも月1回算定できる。低くない点数であり、このことは同時に、患者負担も安くないことを意味する。
 
■地域包括診療加算の同意書
 新田クリニックは「地域包括診療加算1」を算定している。その点数は、2024年度診療報酬改定で25点から28点に引き上げられた。点数は低いが算定要件や施設基準は地域包括診療料と同じで、けっこう細かい。
 
 算定要件は「患者・家族からの求めに応じ、疾患名・治療計画等の文書を交付し適切な説明を行うことが望ましい」「患者についてのケアマネジャーからの相談に適切に対応」などで、施設基準は「担当医は認知症に係る適切な研修を修了していることが望ましい」「担当医がサービス担当者会議/地域ケア会議に出席した実績がある」などである。
 
 当院では、この地域包括診療加算を算定する患者には同意書にサインしてもらっている。ある患者に対してこの加算をとることは、その患者のかかりつけ医になることと同義だ。日本はフリーアクセス・自由開業制だから、同一患者に対して複数の医療機関が地域包括診療加算(料)を算定するような事態が起こりかねない。
 
 同意書にサインしてもらうのはこれを防ぐためではあるが、かかりつけ医の役割を明示するためでもある。地域包括診療料に関する説明書や同意書のひな型を基に作成した。
 
 同意書は、まず、かかりつけ医として行うことを明記している。
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 ・生活習慣病や認知症等に対する治療や管理を行います
 ・他の医療機関で処方されるお薬を含め、服薬状況等を踏まえたお薬の管理を行います
 ・必要に応じ、専門の医療機関をご紹介します
 ・介護保険の利用に関するご相談に応じます

「折り畳み式洗浄機能付き簡易トイレ」を開発

「折り畳み式洗浄機能付き簡易トイレ」を開発

 自動車・二輪車の販売、キャンピングカー事業などを展開するTCL(名古屋市)は、アウトドアだけでなく、介護や災害時の備蓄にも最適な「折り畳み式簡易トイレ(仮称)」を開発した。  パイプ椅子のように折り畳めて、コンパクトに保管・使用できる。「おしり洗浄機能」を搭載しているため、これまでの簡易トイレで実現が難しかった「簡易性」と「快適性」を両立させた。...

日本の人口55万人減少 日本人減も外国人は増加

日本の人口55万人減少 日本人減も外国人は増加

 総務省の人口動態調査によると、今年1月1日現在の日本の人口は1億2433万690人で、前年に比べ55万4485人(0.44%)減少した。  日本人が1億2065万3227人で同90万8574人(0.75%)減少したのに対し、外国人は367万7463人で同35万4089人(10.65%)増加した。減少する日本人の数を外国人の数が補う形となっている。...

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