認知機能低下を検知 スマホアプリの開発に着手

2020年 12月 17日

 ACCESS(東京都千代田区)と金沢大学は、早期認知症リスクを簡易に検知するスマートフォン向けサービスの開発に向けた共同研究に着手した。

 金沢大で共同研究に参加しているのは、医薬保健研究域保健学系の米田貢准教授、菊池 ゆひ助教、融合研究域融合科学系の米田隆教授の(米田研究グループ)で、小脳のフィードフォワード制御の学習回路に着目した。

 認知症の予防には早期発見が重要で、MCI(軽度認知障害)の段階で予防・適切な治療をすることで、回復あるいは発症を遅らせることができる場合があると言われている。しかし、MCIの段階では症状が軽いため、本人や周囲も気づきにくく、見逃される傾向にある。

 ACCESSと米田研究グループは、このような発見の遅れによる進行を防ぐため、認知機能の低下を捉える簡易で継続的に利用可能なツールが必要であると考え、共同研究を開始した。

 共同研究では協力者から得た課題データを基に、認知機能評価のアルゴリズムを構築する。ACCESSはこのアルゴリズムを基に、スマートフォン向け「認知機能チェックアップアプリ(仮称)」を開発する。

 サービスの仕組みは、認知機能チェックアップアプリをインストールしたスマートフォンを対象者が片手で持ち、その上から水の入ったペットボトルを置く。その際の手の上下の揺れをスマートフォン内蔵加速度センサーで取得・データ化し、アプリを介してクラウド上で解析、結果を手元のスマートフォン画面に表示する。

 この仕組みにより、スマートフォンさえあれば、誰でも、いつでも、どこでも、手軽に自身の認知機能を確認することができる。

 小脳のフィードフォワード制御を認知機能低下の早期発見に応用する研究は、世界で初めて。また、小脳のフィードフォワード制御に着目し、スマートデバイスとデータ解析を組み合わせ、ペットボトルなどの重りによる負荷課題を対象者に与え、人体の挙動データから認知に関わる脳機能を評価する仕組みは日本初となる。

このカテゴリーの最新の記事

このカテゴリはメンバーだけが閲覧できます。このカテゴリを表示するには、年会費(年間購読料) もしくは 月会費(月間購読料)を購入してサインアップしてください。

Chatwork活用による医師らの負担軽減を確認🆕

 kubell(東京都港区)は武蔵台病院(埼玉県日高市)と共同で「DXによる医師および医療従事者の負担軽減とその効果に関する調査」を行い、ビジネスチャット「Chatwork(チャットワーク)」などのICTツールを活用することで、医師・医療従事者の負担が軽減することを確認した。
 
 生産性向上により入院患者のケアや見守りの時間が増加したことで、医療の品質が向上したことも明らかになった。
 
 同病院では2020年4月から全職員300人がチャットワークを利用しており、22年11月に医療・看護体制の見直しに際し、チャットワークの利用方法をアップデートし、申し送りなど日々の業務連絡への本格活用を開始した。調査は同年10月から24年9月末まで実施した。
 
 まず、以前は医師や看護師、その他スタッフ間での情報共有や勤務交代時の申し送りなどを口頭や電話、紙で行っていたのに対し、院内の主な連絡手段をチャットワークに変更した。
 
 これにより、回復期病棟を担当する医師4人の22年10月と24年5月の1日当たり平均比較で、医師1人当たりのPHS平均着信回数が31.5回/日から5回/日となり…

自治体向けに「オンライン受診相談サービス」🆕

 KDDIとファストドクターは、KDDIが運営する「スマホdeドック」の付加サービスとして、自治体・企業・健康保険組合向けに「オンライン受診相談サービス」を提供することになり、導入する自治体の第1弾として、香川県高松市で10月1日からサービスを開始した。  スマホdeドックは血液検査セットとウエブサービスを組み合わせ、自宅にいながら一般的な健康診断と同等の検査が行えるサービス。検査結果で「C/D」判定を受けた人を対象に、KDDIからオンライン受診相談の案内メールを送信する。...

がん服薬アドヒアランスの評価で共同研究

 がん研究会有明病院(東京都江東区)とスズケンの子会社コラボプレイスは、同社が開発した服薬管理システム「CubixxDT(キュービックスDT)」を使い、服薬アドヒアランスの評価を行う共同研究を開始した。  服薬アドヒアランスとは、患者が医療従事者の指示や治療計画に基づき治療を受けること。特に薬物治療でアドヒアランスが低い場合、治療効果が十分に得られない可能性がある。  キュービックスDTは、治療薬を充填する専用服薬パックと、データをサーバーに自動送信する専用通信機器で構成されている。...

小児用歩行トレーニングロボ開発 AssistMotion

 信州大学発のベンチャーであるAssistMotion(長野県上田市)は、身長90㎝から着用可能な小児用歩行トレーニングロボット「curara(クララ)」を長野県立こども病院と共同開発した。
 
 同社はリハビリ用歩行トレーニングロボットcuraraの事業を展開している。今回、同病院とともに、脳性まひなどの子どもが使用する小型軽量なcuraraを開発した。
 
 小児は成長により体格の変化が大きいため、Sサイズ(身長115cm~)とSSサイズ(身長90cm~)の2つのサイズを…

据置式手すり新製品を10月発売 マツ六

 据置式手すり「たよレール」シリーズを展開するマツ六(大阪市天王寺区)は、新製品「たよレールUPDATE(アップデート)」を10月に発売する。
 
 立ち上がり動作を考えた「高さ」と「低さ」とし、膝立ち位・端坐位からの立ち上がりに使いやすい高さ(最低55cm)から、立位の補助に使いやすい高さ(最高85cm)までをカバーした。
 
 握っても押上げてもいいように、手すり上段の断面は丸みをおびた逆三角形とした。手すり棒をぎゅっと握ることも…

1週間無料でお試し購読ができます  詳しくはここをクリック

新着記事は1カ月無料で公開

有料記事は990円(税込)で1カ月読み放題

*1年間は1万1000円(同)

〈新着情報〉〈政策・審議会・統計〉〈業界の動き〉は無料

【アーカイブ】テーマ特集/対談・インタビュー

コラム一覧

【アーカイブ】現場ルポ/医療介護ビジネス新時代

アクセスランキング(10月7-13日)

  • 1位
  • 2位
  • 3位 90% 90%
メディカ出版 医療と介護Next バックナンバーのご案内

公式SNS