コロナ重症化因子を特定 国際医療研究センター

2020年 9月 25日

 国立国際医療研究センター=写真=は9月24日、新型コロナウイルスに感染した患者が重症化することを予測する血液中の分子マーカーを突き止めたと発表した。重症化する可能性がある患者を特定することで、適切な治療が行われることが期待できる。

国立国際医療研究センター

 新型コロナウイルスに感染した患者のうち、約8割は軽症でそのまま回復する。一方、約2割は重症化するが、感染後すぐに重症化するのではなく、軽症から急激に重症化するという経過を取ることが知られている。これまで、重症化する患者としない患者を区別することが困難なことから、症状のある人をホテルなどへ隔離することで、感染拡大を防止しつつ、日々の観察で経過を診る必要があった。

 同センターでは患者の血液を経時的に収集し、病態の経過に沿った形で血中の液性因子の網羅的解析を行った。その結果、重症化する人は感染初期から血液中の「CCL17」の濃度が基準値よりも低いことを発見した。また、「IFN-λ3」「CXCL9」「IP-10」「IL-6」は、重症となる数日前から血液中で急激に高い値を示すことが分かった。

 これらのことから、感染初期にはCCL17を測定することで重症化する可能性がある患者を特定し、さらにIFN-λ3、CXCL9、IP-10、IL-6を測定することにより重症化発症のタイミングを事前に察知し、適切な治療を施すことが可能になった。

 なお、これらの検査は血液検査として実施可能で、侵襲性が低く、簡便・迅速に結果が得られるため、臨床の現場で利用しやすい検査マーカーになるという。

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