日本在宅介護協会東京・北関東支部は5月11日、同支部に所属する在宅介護事業者を対象に実施した、新型コロナウイルスの影響に関する緊急アンケートの結果を公表した。
サービスを継続するための課題が多い中で、要介護高齢者に対し、さまざまな工夫をして、在宅生活継続のために努力をしている現状が明らかになった。
アンケートは4月26~30日にウエブで行い、108人の会員事業者から回答を得た。質問に対して「あてはまる」「ややあてはまる」「どちらともいえない」「ややあてはまらない」「あてはまらない」の5段階で回答する形式のほか、現在困っていることや国の施策に反映してほしいと考える内容を自由に記載してもらった。
現在の運営状況についての質問では、「大きな影響なく運営している」との項目に対し、「あてはまる」「ややあてはまる」との回答が4割以上で多数を占め、事業所としてなるべく在宅勤務を行うようにしたり、定期面談などは居宅に訪問せず電話などで対応したりするなど、感染拡大防止のため、各事業所が運営の工夫をしていることが分かった。
事業所の利用状況については、例年よりも居宅介護支援の新規利用者が少ない」との項目に対し、「あてはまる」「ややあてはまる」との回答が46%を占めるなど、本来必要である介護サービスが高齢者に届いていない可能性があることが判明。発熱者・疑感染者への訪問サービス提供の調整を行うなど、多くのケアマネジャーが、在宅でのサービス提供が継続できるよう調整していることも示された。
また、発熱者・疑感染者に対して必要なPCR検査を受検できないことや、発熱者・疑感染者発生時に保健所に連絡がつかないとの回答が多く、保健所の対応について困っている事業者が多いことも浮き彫りになった。
衛生用品については依然として不足しており、マスクや予防衣・防護服不足などを挙げる回答が7割を超えた。
これらのアンケート結果から、同支部では在宅介護利用者や介護職員へのPCR検査体制の拡充、在宅介護の現場への衛生物品の支給が必要だとするほか、医療機関の外来や入院が制限される中、在宅介護事業者は感染者や疑感染者などに対する在宅介護サービスの提供を行っていることから、介護報酬上の評価が必要と指摘している。