千葉大学予防医学センターの阿部紀之特任研究員らの研究チームが互助共助コミュニティ型資源回収ステーション(コミュニティ拠点)の利用と、高齢者の要介護リスクとの関連を検証したところ、コミュニティ拠点利用者は非利用者に比べ、要支援・要介護リスクが約15%低いことが明らかになった。
さらに、外出機会・人との交流・地域活動への参加機会が増加し、コミュニティ拠点は単なる資源回収ステーションではなく、日常生活に根差した交流の場としての役割を果たしていることを示した。
コミュニティ拠点はアミタホールディングスが展開する資源ごみ回収拠点で、日常的な資源ごみ出しという行動を起点に、互助共助と資源循環を同時に促進するもの。研究は奈良県生駒市の1地区と福岡県大刀洗町の2地区に居住する65歳以上の高齢者973人を対象に、自記式郵送調査で行った。
コミュニティ拠点導入前と1年後の2回調査を実施し、主要な評価項目として、「要支援・要介護リスク評価尺度により算出された点数」を使った。これは、将来的に要介護認定を受ける可能性を予測する尺度で、性別や年齢に加え、生活状況に関する計12項目で構成される。
1年後の追跡調査によって、コミュニティ拠点利用者は非利用者に比べて要介護リスク点数が平均で1.2ポイント低下していた。これは、将来的な要介護認定リスクが約15%低下したと推定される。
また、利用者は非利用者に比べて外出機会や人との交流、地域活動への参加が増えていた。具体的には、外出機会が増えたと答えた人は利用者で43.9%、非利用者で27.6%、人との交流機会が増えたと答えた人は利用者で43.0%、非利用者で22.7%だった。さらに、地域活動への参加も利用者で33.7%、非利用者で17.2%と大きな差が認められた。