パナソニックはIoTモニタリングなどを使った在宅高齢者向け「デジタル・ケアマネジメント」の効果検証を行い、本人と家族のQOL向上に効果があることを国内で初めて確認した。
同社はデジタル・ケアマネジメントの実用化を目指し、ケアマネジャー向けにケアプラン作成機能とIoTモニタリング機能を持つソフトウェアを開発。宮崎県都城市、宮崎県介護支援専門員協会都城・北諸県支部(都城市ケアマネ協会)、都城市北諸県郡医師会と共同で、2019年10月から3カ月間、効果検証を実施した。
検証では、在宅高齢者向けのケアマネジメントの質向上を狙い、都城市ケアマネ協会との連携により、同市在住の要介護高齢者4人を対象に、ケアマネの実際の業務でデジタル・ケアマネジメントの機能を活用した。その結果、4事例全てで「本人状態が改善傾向」という評価が得られた。
4事例のうち、脳血管疾患・脳血管性認知症で要介護1の84歳の人(夫婦同居)の場合、排泄トラブル解消により介護負担が軽減。地域の医療介護の専門職種代表者とケアマネ(18人)による実証3カ月後の状態に対する評価で、本人・家族のQOLについて全員が「改善傾向」と評価した。
検証により、自立支援・重度化防止に向けた適切なケアプランと、生活実態を正確に把握するIoTモニタリングを組み合わせることによって、ケアマネジメントの質が向上する可能性が示された。
今後は検証で得た実践的な知見を、パナソニックが進めるヘルスケア・プラットフォームの構築に活かし、高齢者と家族のQOL向上につなげる。さらに、医療費・介護給付費の適正化や医療介護連携の促進という、地方自治体の抱える課題解決に役立てていく。