薬価制度で関係業界からヒアリング 中医協部会

2021年 5月 12日

 中央社会保険医療協議会(厚生労働相の諮問機関)薬価専門部会は5月12日、薬価制度に関して関係業界からヒアリングを行い、業界からは新薬創出加算の見直しや再算定のあり方、特許期間中の薬価などに関する要望や意見が出された。

中医協

   専門部会の後に総会が開催された

 新薬創出加算については、日本製薬団体連合会(日薬連)が現行ルールでは薬価収載時であれば有用性加算の対象となり得るような効能を薬価収載後に追加した品目などが、新薬創出等加算の対象とならない場合があるとして、薬価収載後に認められた革新性・有用性に基づき、新薬創出等加算の適否を改めて判断する仕組みを求めた。

 米国研究製薬工業協会(PhRMA)は、有用性を示すエビデンスが存在していても、審査報告書で臨床的意義について評価されていなければ加算が認められないのは問題との認識を示し、加算の根拠となるエビデンスは、科学的・客観的評価に耐え得るものであれば、審査報告書に含まれていない場合でも受け入れられることをルール上明確化すべきとした。

 再算定のあり方に関しては、日薬連が現行ルールでは効能・効果を追加すると再算定が適用され、薬価の引下げになる可能性があるが、効能追加は薬剤治療の選択肢を増やし、医療の質の向上に貢献することから、効能追加などによる革新性・有用性を考慮して評価を行うよう要望した。  欧州製薬団体連合会(EFPIA Japan)も効能追加が再算定のきっかけになり、企業としては慎重にならざるを得ない状況があると指摘した。

 特許期間中の薬価では、PhRMA が2018年の新薬創出加算の品目要件見直しや、2021年の中間年改定により、特許期間中の多くの新薬が毎年薬価改定の影響を受けることとなったとして、特許期間中の新薬が対象外となるよう対象範囲の再考を求めた。

 EFPIA Japanも欧米主要国で特許期間中の新薬の薬価を強制的に毎年引き下げる仕組みがルール化されている国はないと指摘し、制度の再整備を提案した。

 また、日本医薬品卸売業連合会は累次の薬価改定により薬価が下がり続け、医薬品流通体制にダメージを与えているとして、医薬品を安全・安定的に流通させるためのコストについて、どのようなルールで負担すべきなのかを検討すべきとの意見を述べた。

 これらの要望・意見などに関して委員から質問があったが、予定時間を大幅に超過したため、次回の会合で回答することになった。

このカテゴリーの最新の記事

このカテゴリはメンバーだけが閲覧できます。このカテゴリを表示するには、年会費(年間購読料) もしくは 月会費(月間購読料)を購入してサインアップしてください。

医師偏在是正へ 医療法改正案を国会提出 政府

 政府は2040年ごろを見据えた医療提供体制を確保するため「医療法等の一部を改正する法律案」をこのほど国会に提出した。  地域医療構想については病床だけでなく、入院・外来・在宅医療、介護との連携を含む将来の医療提供体制全体の構想とする。地域医療構想調整会議の構成員として市町村を明確化し、在宅医療や介護との連携などを議題とする場合の参画を求める。...

訪問介護の協働化に最大200万円補助 厚労省

 訪問介護事業者の倒産件数が過去最多で推移する中、厚生労働省は協働化により人材募集や一括採用、物品の共同購入。IGT整備などを行う事業者に対し補助を行う。  (ア)1法人あたり1つの訪問介護等事業所を運営する(イ)運営する訪問介護等事業所の月の延べ訪問回数が平均200回以下(ウ)運営する訪問介護等事業所の職員数が常勤換算方法で平均5人以下(エ)運営する訪問介護等事業所がすべて中山間地域または離島地域にある、のいずれに該当する法人を1つ以上含むことが要件となる。...

24年の介護事業者の倒産過去最多 半数が訪問介護

 東京商工リサーチの調査によると、2024年の介護事業者の倒産が過去最多の172件(前年比40.9%増)に達したことがわかった。これまで最多だった2022年の143件を29件上回った。
 
 ヘルパー不足や集合住宅型との競合、基本報酬のマイナス改定などが影響した訪問介護が過去最多の81件、多様化したニーズに対応できなかったデイサービスも過去2番目の56件、有料老人ホームも過去最多の18件といずれも増加している。
 
 介護事業者の倒産は16年に年間100件を超えた。コロナ禍で利用控えなどにより増加し、コロナ関連支援で21年は一時的に減少したが…

23年度の介護施設の高齢者虐待が過去最多 厚労省

 厚生労働省の調査によると、2023年度の介護施設の職員らによる高齢者への虐待は1123件(前年度比31.2%増)で3年連続増加し、過去最多となった。同省は12月7日、高齢者施設などの関係団体に対し、虐待防止策を徹底するよう要請した。  虐待の種別(複数回答、以下同)では「身体的虐待」(51.3%)が最も多く、「心理的虐待」(24.3%)、「介護等放棄」(22.3%)、「経済的虐待」(18.2%)と続き、性的虐待も2.7%あった。...

今後の検討事項を提示 第116回介護保険部会

 12月23日、第116回社会保障審議会介護保険部会が開かれ、「主な検討事項(案)について」「介護保険をめぐる状況について」などが議論された。  同部会が2022年12月に公表した「介護保険制度の見直しに関する意見」をふまえ、今後の検討テーマとして  ①地域包括ケアシステムの推進  ②認知症施策の推進・地域共生社会の実現  ③介護予防・健康づくりの推進  ④保険者機能の強化  ⑤持続可能な制度の構築、介護人材確保・職場環境改善 の5つが提案され、了承された。委員の意見を以下に紹介する。...

1週間無料でお試し購読ができます  詳しくはここをクリック

新着記事は1カ月無料で公開

有料記事は990円(税込)で1カ月読み放題

*1年間は1万1000円(同)

〈新着情報〉〈政策・審議会・統計〉〈業界の動き〉は無料

【アーカイブ】テーマ特集/対談・インタビュー

コラム一覧

【アーカイブ】現場ルポ/医療介護ビジネス新時代

アクセスランキング(4月14-20日)

  • 1位
  • 2位
  • 3位 90% 90%
メディカ出版 医療と介護Next バックナンバーのご案内

公式SNS