マイナンバーカード保険証利用 本格運用先送り

2021年 3月 26日

 厚生労働省は3月26日、マイナンバーカードを健康保険証として利用するシステムについて、本格運用の開始時期を当初の3月から10月に変更した。同日開催した社会保障審議会医療保険部会=写真=に、変更したスケジュールを提示した。

医療保険部会縮小

、 本格運用は「骨太の方針2019」で3月から運用するとしていた。しかし、医療機関・薬局では、新型コロナの影響によるシステム改修の遅れ、世界的な半導体不足によるパソコン調達の遅れ、一部カードリーダーメーカーの生産遅れなどで導入準備が遅れており、プレ運用を3月4日から500機関で開始する予定だったが、22日時点で54機関に留まっている。

 一方、保険者ではコロナ禍による出勤制限などにより、データの登録、確認・修正作業に時間を要しているほか、保険者が登録した個人番号に誤りがあったり、被保険者番号が正確でなかったりするなど、加入者データの正確性に課題が生じていた。

 こうしたことから、本格運用時期を先送りすることになった。ただ、医療機関・薬局に関しては、システム改修が徐々に完了し、カードリーダーの生産についても遅くとも6月までに約10万台となることが見込まれている。

 また、保険者のデータ誤りも、2月には約3万件あったものが、3月24日の時点で50件程度まで減っている。このため、プレ運用を継続したうえで、薬剤情報の閲覧開始を予定している10月までに、本格運用を開始することにした。

 本格運用に向けて、医療機関・薬局についてはプレ運用を行う機関を当面500程度まで増やし、本格運用に向けて約10万機関まで順次拡大させる。

 保険者では、番号誤りなどを確認・修正後、個人番号の誤入力をシステム的にチェックする機能を導入するとともに、請求に必要となる資格情報の再確認・修正を重点的に実施。その上で、個人番号の誤入力がないか再確認し、実際の運用を通じて検知したデータ誤りも含めてデータを確認・修正して、本格運用につなげる。

 会合では複数の委員から、医療機関・薬局を対象とするカードリーダーの導入補助に関して、3月末までを期限とする全額補助の延長について質問が出た。

 これに対し厚労省から、全額補助は消費税が財源であることから予定通り3月末までとするとの方針が示され、それまでに申請することを求めた。その後は2023年3月まで、病院と大型チェーン薬局に対しては導入費用の2分の1、診療所と薬局は4分の3の補助が適用される。

このカテゴリーの最新の記事

このカテゴリはメンバーだけが閲覧できます。このカテゴリを表示するには、年会費(年間購読料) もしくは 月会費(月間購読料)を購入してサインアップしてください。

在宅精神医療にも包括的支援の評価を 中医協

 中央社会保険医療協議会(厚生労働相の諮問機関)は12月22日、精神科医療や遺伝学的検査、人工腎臓などについて議論した。  精神科医療については、長期入院者を地域に移行する取り組みや、入院を長期化させず、可能な限り早期に退院し、地域で暮らすことができるよう、医療提供体制の整備、医療と障害福祉などとの連携を進めることが求められている。  また、多職種による包括的支援を中心とした、回復期の入院患者に対する医療や入退院の支援などを含めた医療提供体制を評価することが必要とされている。...

診療報酬改定率が決定 中医協で各項目議論へ

 鈴木俊一財務相と武見敬三厚生労働相による診療報酬改定に関する復活折衝が12月20に行われ、診療報酬を0.88%引き上げる一方、薬価などを1.00%引き下げることで、全体として0.12%のマイナス改定とすることで決着した。  同日開催の中央社会保険医療協議会(厚労相の諮問機関)に報告された。今後、同協議会で各項目の報酬を議論していく。...

2024報酬改定案を議論 給付費分科会

 12月18日、第236回社会保障審議会介護給付費分科会が開催され、令和6年度(2024年度)介護報酬改定に向けて「審議報告のとりまとめに向けて②」を議論した。  改定の柱は1.地域包括ケアシステムの深化・推進、2.自立支援・重度化防止に向けた対応、3.良質な介護サービスの効率的な提供に向けた働きやすい環境づくり、4.制度の安定性・持続可能性の確保、5.その他、の5つ。  前回(令和3=2021=年度)改定の柱は1.感染症や災害への対応力強化、2. 地域包括ケアシステムの推進、3....

アルツハイマー病新薬の薬価を承認 中医協

 中央社会保険医療協議会(厚生労働相の諮問機関)は12月13日、アルツハイマー病による軽度認知症障害(MCI)と認知症の進行を抑制する新薬「レカネマブ」の薬価を承認した。  類似薬がないことから、原価計算方式により1回に投与される500mgで7万8926円と算定。これに認知症の進行を抑制する初めての薬剤として有用性加算が適用されたことで同11万4443円と算定された。  2週間に1度投与するため、1人当たりの年間費用は約298万円となる。患者の自己負担額は1~3割。高額療養費制度が適用される場合は、負担がさらに軽減される。...

医療と介護の報酬改定、方針が出揃う

 12月11日、令和6年度の診療報酬改定の基本方針と介護報酬改定の審議報告案が出揃った。診療報酬改定は社会保障審議会の医療保険部会と医療部会、介護報酬改定は介護給付費分科会がまとめた。それぞれの基本認識・視点は以下の通り。共通する(と考えられる)項目を同じ色で示した。 【診療報酬改定にあたっての基本認識】●物価高騰・賃金上昇、経営の状況、人材確保の必要性、患者負担・保険料負担の影響を踏まえた対応 ●全世代型社会保障の実現や、医療・介護・障害福祉サービスの連携強化、新興感染症等への対応など医療を取り巻く課題への対応...

1週間無料でお試し購読ができます  詳しくはここをクリック

新着記事は1カ月無料で公開

有料記事は990円(税込)で1カ月読み放題

*1年間は1万1000円(同)

〈新着情報〉〈政策・審議会・統計〉〈業界の動き〉は無料

【アーカイブ】テーマ特集/対談・インタビュー

コラム一覧

【アーカイブ】現場ルポ/医療介護ビジネス新時代

アクセスランキング(4月22-28日)

  • 1位
  • 2位
  • 3位 90% 90%
メディカ出版 医療と介護Next バックナンバーのご案内

公式SNS