介護の生産性向上実証で3事業者選定 厚労省

2022年 7月 6日

 厚生労働省はテクノロジー活用などによる生産性向上の取り組みに関する効果検証のうち、介護事業者からの提案手法について、善光会、SOMPOケア、チャーム・ケア・コーポレーションを実証対象として選定した。7月5日開催の介護給付費分科会で公表した。

 この効果検証は①見守り機器などを活用した夜間見守り②介護ロボットの活用③介護助手の活用④介護事業者からの提案手法―の4テーマで、生産性向上の取り組みに関する効果を測定するもの。

 実証から得られたデータを分析し、次期介護報酬改定の検討のためのエビデンスの収集を行うことを目的としている。

 介護事業者からの提案手法については、介護現場での生産性の向上の取り組みに意欲的な介護施設からの実証に関する提案を受け付け、応募のあった事業者の中から有識者で構成する実証委員会が選定した。

 善光会は特養2施設で、これまでのケア記録に追加で取得が必要なデータを推測して記録。これらの記録と、複数の介護機器・センサーにより記録したデータを合わせたデータ群を分析し、介護アウトカムに影響を与えるケア因子の特定を図る。

 SOMPOケアは特定12施設で見守り機器や体位変換機器、入浴支援機器などのテクノロジー導入による介護の品質改善、介護補助者・外部業者の活用による介護職員の負担軽減、チャットツールによるリアルタイムでの情報共有などに取り組む。

 チャーム・ケア・コーポレーションは特定3施設で、見守り機器・インカムの活用による夜勤業務軽減、高機能のおむつを使用することによる夜間おむつ交換回数の削減による夜間良眠ケアなどを実践する。

 一方、見守り機器などを活用した夜間見守りについては、夜間の人員配置の変更も視野に、見守り機器を複数導入することで、ケアの質の確保と職員の負担軽減が可能かを実証する。

 介護ロボットの活用に関しては、移乗支援(装着・非装着)、排泄予測、介護業務支援に関する機器を導入し、効果を測定。介護助手の活用では、介護助手の業務と役割分担を明確化し、介護助手導入によるケアの質の確保、職員の業務負担軽減の効果を検証する。

 スケジュールとしては、6・7月に事前調査、10・12月に第1回と第2回の事後調査を実施し、12~3月にデータ分析・実証結果の取りまとめを行う。

このカテゴリーの最新の記事

このカテゴリはメンバーだけが閲覧できます。このカテゴリを表示するには、年会費(年間購読料) もしくは 月会費(月間購読料)を購入してサインアップしてください。

在宅精神医療にも包括的支援の評価を 中医協

 中央社会保険医療協議会(厚生労働相の諮問機関)は12月22日、精神科医療や遺伝学的検査、人工腎臓などについて議論した。  精神科医療については、長期入院者を地域に移行する取り組みや、入院を長期化させず、可能な限り早期に退院し、地域で暮らすことができるよう、医療提供体制の整備、医療と障害福祉などとの連携を進めることが求められている。  また、多職種による包括的支援を中心とした、回復期の入院患者に対する医療や入退院の支援などを含めた医療提供体制を評価することが必要とされている。...

診療報酬改定率が決定 中医協で各項目議論へ

 鈴木俊一財務相と武見敬三厚生労働相による診療報酬改定に関する復活折衝が12月20に行われ、診療報酬を0.88%引き上げる一方、薬価などを1.00%引き下げることで、全体として0.12%のマイナス改定とすることで決着した。  同日開催の中央社会保険医療協議会(厚労相の諮問機関)に報告された。今後、同協議会で各項目の報酬を議論していく。...

2024報酬改定案を議論 給付費分科会

 12月18日、第236回社会保障審議会介護給付費分科会が開催され、令和6年度(2024年度)介護報酬改定に向けて「審議報告のとりまとめに向けて②」を議論した。  改定の柱は1.地域包括ケアシステムの深化・推進、2.自立支援・重度化防止に向けた対応、3.良質な介護サービスの効率的な提供に向けた働きやすい環境づくり、4.制度の安定性・持続可能性の確保、5.その他、の5つ。  前回(令和3=2021=年度)改定の柱は1.感染症や災害への対応力強化、2. 地域包括ケアシステムの推進、3....

アルツハイマー病新薬の薬価を承認 中医協

 中央社会保険医療協議会(厚生労働相の諮問機関)は12月13日、アルツハイマー病による軽度認知症障害(MCI)と認知症の進行を抑制する新薬「レカネマブ」の薬価を承認した。  類似薬がないことから、原価計算方式により1回に投与される500mgで7万8926円と算定。これに認知症の進行を抑制する初めての薬剤として有用性加算が適用されたことで同11万4443円と算定された。  2週間に1度投与するため、1人当たりの年間費用は約298万円となる。患者の自己負担額は1~3割。高額療養費制度が適用される場合は、負担がさらに軽減される。...

医療と介護の報酬改定、方針が出揃う

 12月11日、令和6年度の診療報酬改定の基本方針と介護報酬改定の審議報告案が出揃った。診療報酬改定は社会保障審議会の医療保険部会と医療部会、介護報酬改定は介護給付費分科会がまとめた。それぞれの基本認識・視点は以下の通り。共通する(と考えられる)項目を同じ色で示した。 【診療報酬改定にあたっての基本認識】●物価高騰・賃金上昇、経営の状況、人材確保の必要性、患者負担・保険料負担の影響を踏まえた対応 ●全世代型社会保障の実現や、医療・介護・障害福祉サービスの連携強化、新興感染症等への対応など医療を取り巻く課題への対応...

1週間無料でお試し購読ができます  詳しくはここをクリック

新着記事は1カ月無料で公開

有料記事は990円(税込)で1カ月読み放題

*1年間は1万1000円(同)

〈新着情報〉〈政策・審議会・統計〉〈業界の動き〉は無料

【アーカイブ】テーマ特集/対談・インタビュー

コラム一覧

【アーカイブ】現場ルポ/医療介護ビジネス新時代

アクセスランキング(4月22-28日)

  • 1位
  • 2位
  • 3位 90% 90%
メディカ出版 医療と介護Next バックナンバーのご案内

公式SNS