中央社会保険医療協議会(厚生労働相の諮問機関)は11月17日、不妊治療の保険適用に関して、関係4団体からのヒアリングと議論を行った。
不妊治療のうち、特定不妊治療については現在、特定治療支援事業による助成措置が設けられているが、昨年12月に閣議決定された全世代型社会保障改革の方針により、2022年度から保険適用とすることになっている。
厚労省はこの日の会合で、保険適用に当たっては、日本生殖医学会がまとめた「生殖医療ガイドライン」に基づいて、算定対象となる治療法や薬剤などを決める方針を示した。
最初に行われた関係団体からのヒアリングでは、日本生殖医学会の大須賀穣理事長がガイドラインで治療実施の推奨度をA(強く推奨)B(推奨)C(考慮)の3つに分類していることなどを説明した。
次に日本産婦人科医会の谷川原真吾常務理事は、人工授精も保険適用とすることや、診療報酬改定時点で承認を得られない薬剤が使われなくなる問題などを指摘した。
JISART(日本生殖補助医療標準化機関)の蔵本武志理事長は、保険点数が低く抑えられると質の高い生殖補助医療が行えなくなること、不妊原因は多様できめ細かな医療が必要なのに、保険適用となる標準医療では、妊娠できない患者が増えることなどの課題を挙げた。
また、不妊治療経験者の団体であるFineの松本亜樹子理事長は、現行治療の維持や保険適用されない部分への助成、第三者機関による医療機関の審査、事実婚のカップルの治療にも保険を適用することなどを求めた。
委員からは基本的にこれらの意見や課題に賛同する意見が出たほか、保険適用に当たりガイドラインで示された推奨度ABCをどう考えるべきか、という点に関して複数の委員が質問を行った。
これに対し大須賀理事長は、エビデンスのレベルで標準なのはAとBだが、その差は微妙で、コストや患者の利便性などを考慮して分類したと説明。一方、Cの多くは、エビデンスはあるものの、そのレベルが十分ではないためにこの分類となっていると述べた。