ノンフィクションライター
■介護従事者の状況が報道されない
5月25日、首都圏と北海道で発令されていた新型コロナによる「緊急事態宣言」が、1か月半ぶりに解除された。「この半年は、コロナで終わっちゃったね」と、友人たちとため息交じりで苦笑する日々だ。
今回のコロナ禍では、これまでなおざりにされてきた多くの問題が噴出した。医療では感染症に対する認識の低さ、経済では非正規労働者やひとり親家庭に対するセーフティネットの弱さ、社会的には日本社会の根源にある同調圧力など、数えるにいとまはないが、ダメージを受けているのはいずれも「生活者」であり「弱者」だ。介護でも感染に対する対策の遅れと、利用者を支えるサービスの脆弱性が、大きく浮かび上がっている。
国内で「新型肺炎」の初の感染者が報道されたのは今年の1月16日。その後、武漢市が閉鎖され……